2019年11月28日木曜日

[256] Colors Of The Land - Autumn Leaves


Label: Colors

Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: US
Released: 2014 (2005)

1 Amber Waves 3:50

2 A Winding Lane 3:45
3 In the Stillness 3:26
4 Dancing in the Moonlight 5:26
5 Silver and Gold 3:43
6 Secret Path 4:37
7 First Snow 3:02
8 Each Passing Day 3:53
9 Falling Leaves 3:36
10 Yesterday's Memories 4:17
11 Elegy 3:59
12 As the Sun Sets 5:00

季節の色彩や自然の情景をテーマとするプロジェクト「Colors Of The Land」によるニューエイジ・インストゥルメンタル3部作の最終作。作者の記名はなく、「Colors Of The Land」という名義も作品タイトルやシリーズ名の一部のように見えますが、その正体はシアトル出身のコンポーザー/鍵盤奏者Dan Siegel(ダン・シーゲル)。70年代末からLAのジャズ・シーンで活動。80年代のフュージョン〜スムースジャズ・ブームの火付け役となり、これまで数多くのリリースとレコーディング・キャリアを誇る巨匠シーゲル。本作は自身のアコースティック・ピアノを主軸に、元Shadowfaxのメンバーとして知られるCharlie Bisharatのバイオリン、Allen Hindsのアコースティック・ギター、Mark Hollingsworthのサックス/フルートを主旋律楽器としてフィーチャーしたアンサンブル編成による録音。サティやバッハの名曲をモチーフにするなどライト・クラシカルな要素を織り交ぜ、秋の終わりに身を委ねたくなるような、円熟しつつも瑞々しいコンテンポラリー・サウンドを演じています。元々はカリフォルニアのジャズ・レーベルNative Language Musicより紅葉の写真を配したカバーアートでCDリリースされたものですが、2014年以降はモノトーンのグラフィックを採用したColorsシリーズの1枚として装いも新たにデジタル配信されています。





Colors Of The Land - American Spirit

Colors Of The Land - Forest Dance

2019年11月25日月曜日

[255] Matthew Halsall - Oneness


Label: Gondwana Records

Catalog#: GONDCD033
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 2019
DISCOGS

1 Life 9:58

2 Oneness 11:26
3 Stan's Harp 7:40
4 Loving Kindness 9:39
5 Distant Land 8:42
6 Stories from India 9:33
7 The Traveller 6:49

白地に黒のインクが潔く塗られたカバーアートの視覚的なインパクトにただ興味を引かれるまま視聴してみたところ、その美しさにさらに惹き込まれた、マシュー・ハルソールなるUKジャズ・ミュージシャンの未発表音源集。聴き手を沈思に誘うラーガ的進行の中、ハルソール自身が奏するトランペットを中心に、ハープ、シタール、タブラを加えたアンサンブルが実に心地よく羽ばたき、豊かに響きあう瞑想的空間。2008年にリリースされたファースト・アルバムの頃の録音らしく、このハルソールはこの10年以上にわたって新世代ジャズシーンで注目を集めてきた人物とのこと。人種・国籍・文化・言語の違いなど、様々な障壁を音楽愛を根源とするポジティヴな姿勢で乗り越えようとするような、静かでいて強い生気と精神性を感じさせる音楽。アルバム・タイトルである「ワンネス=ひとつであること」、そしてオープニング・トラックの曲名「Life」にも、何かとても腑に落ちるものがありました。サム・ウィルクスのライブ盤「Live on The Green」と一緒に、2019年のアンビエント・ジャズとして愛聴中。


“I really believe in Oneness and I’ve always loved the term ‘greater than the sum of its parts’. I could make music on my own and live a fairly isolated antisocial life, but there’s something far more rewarding about creating things with others. And for me these sessions document the coming together of lots of different musicians in a wonderfully organic soulful way to make egoless music.” - Matthew Halsall


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2019年11月21日木曜日

[254] Jeremy Dower ‎- Music For The Young & The Restless


Label: Bit Of Heaven
Catalog#: BOH 002
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2004
DISCOGS

1 Going Home : Second Guess 6:31

2 A Point For The Pointless 5:32
3 Music For Kellie, Railway Place 2:32
4 Spinning Top 4:20
5 Morning Frost Over Paddocks With Live Stock, Myers Flat, Victoria 3:26
6 Sea Breeze Saphire 2:54
7 Young Talent Time 4:00
8 Music For Log Fires 3:33
9 Windy Ponies : When You Try To Laugh, But All You Can Do Is Cry 4:17
10 Fua Fua 6:33

オーストラリア出身の音楽家/ビジュアル・アーティストJeremy Dower(ジェレミー・ダウアー)が、Slowmanこと鶴谷聡平氏主宰のレーベルBit Of Heavenからリリースした3作目のアルバム。タイトルは「若者と眠れない人のための音楽」。古いTVゲームを思わせる電子音のプログラミングを主軸とした作品ですが、時にアコースティック・ギターのつま弾きや、猫の鳴き声などのSE、アウトオブキー気味なふにゃふにゃメロディも交え、ミニマルでありつつもポップでフォーキーな味わい。弾んだり、転んだり、眩んだり、黄昏れたり、溶けたり。バラエティに富んだ曲調・構成で、Pacific 231やWooにも通じるよい湯加減のチルアウト・サウンドを全編にわたって聴かせてくれます。Bluemarkが手がけた可愛い鮭(?)のカバーアートがこの音楽の世界観とよく合っていますが、中古盤ではこの絶妙なピンク色が退色しているものが多く残念。実名義のアルバムとしては本作がラスト。現在はメルボルンを拠点にアニメーターの仕事をメインに活動する傍ら、Nakamichi 600 II名義でチップチューン路線の作品をリリースするなど音楽制作も続けられているようです。


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2019年11月18日月曜日

[253] Alessandro Pizzin - Received: Selected Works 1981-1993


Label: Incidental Music

Catalog#: NC003
Format: Vinyl, LP, Album, Compilation
Country: US
Released: 2019
DISCOGS

A1 Dedicated To You 2:09

A2 Francesco (live In Studio) 5:29
A3 Questions 3:59
A4 I See 3:59
A5 Received 4:54
B1 The Floating Sound (Excerpt) 3:43
B2 Sunset On The Hill 8:51
B3 Suspension (Version) 3:38
B4 In Loving Memory 4:40

ヴェネツィアを拠点に音楽と美術のシーンを股にかけ先進的な創作活動を行ってきた作曲家/プロデューサーAlessandro Pizzin(アレッサンドロ・ピツィン)のソロワークを集めたコンピレーション・アルバムが、Austin Tretwold主宰のレーベルIncidental Musicよりアナウンスされました。先月、画家Luigi Violaのビデオ・パフォーマンスのための電子音楽集「Marea / Tide」が、アムスのレーベルMusic From Memoryから復刻されたばかりですが、本作は最初期にあたる80年代初頭から自身のレーベルExploraを立ち上げた90年代前半まで、約13年にわたり制作された様々なマルチメディア作品から選曲。レデントーレ教会内で行われたライヴ・レコーディング "Questions" "I See"、ミラノ在住の画家・松山修平のエキシビジョンのための "The Floating Sound"、自然出産プログラムのために作曲されるもアウトテイクになった "Sunset On The Hill"、複数のスピーカーとモニターを使い音と光の相互作用を試みた "In Loving Memory" など、Brian Enoの意匠を継ぐミニマルな反復構造と実験的手法に基づきながらも、ピツィン特有のエモーティヴなメロディの配置が印象的なアンビエント・サウンドが並びます。RuinsやWind Projectに比べると過小な評価が続いていたソロワークに光を当てるとともに、美術や舞台芸術と深い結びつきをもっていたイタリアン・アンビエント史の知られざる一面を解き明かしてくれるような素晴らしいコンパイル。各曲の詳細を含むライナーノーツが付属したヴァイナルとデジタル・フォーマットで12月13日にリリース予定。


Alessandro Pizzin’s production work resonates far and wide throughout the prolific music scene of 1980s Venice, Italy. His work as one half of the influential experimental combo RUINS gave way to his later productions as a founding member of the acclaimed ambient electronic group Wind Project, whose whose complete works were recently reissued on CD. Though Pizzin’s sonic fingerprint is present throughout many landmark recordings of the minimalist and experimental Venetian music scene, his groundbreaking works as a solo producer were only quietly released on his own EXPLORA label in the early 1990s - until now. Received: Selected Works 1981-1993, compiled by Incidental Music in collaboration with the artist, provides a valuable retrospective overview of Pizzin's solo material - from some of his earliest Fluxus-inspired work of the 1980s to the rich sonic palette of his early '90s CD material. The pieces featured on "Received" touch upon the atmospheric and polychromatic sounds of Pizzin's electronic work, often developed in conjunction with various occasions of art shows, grandiose chapel productions, and even a natural birth method training video - such as the ethereal Hiroshi Yoshimura-esque "Sunset on a hill" - a previously unreleased piece commissioned by a natural birth center in Venice. Other compositions, such as "In loving memory" and the previously unreleased "Francesco (live in studio)" exhibit the profound emotive range of Pizzin's compositions, at times evoking the eclectic environmental works of Brian Eno as well as Italian musical contemporaries Piero Milesi, Riccardo Sinigaglia, and Pepe Maina. Compiled by Incidental Music in collaboration with the artist, Received: Selected Works 1981-1993 includes extensive track-by-track liner notes, giving a comprehensive and critical overview of Alessandro Pizzin’s solo career. Out on vinyl and digital formats December 13, 2019.





Ruins - Marea / Tide
Sound And Image Research Volume One (2019)
画家Luigi Violaの映像作品「ノルウィドの夢」のために制作された
Piergiuseppe Cirannaとのデュオ名義による実験電子音楽集。
タイトルは「海・波」の意。


Alieno De Bootes - I Giorni Del Vento (2018)
再評価される一方で「憎しみと悲しみの日々だった」と自身が顧みる
Wind Projectへのセルフオマージュを込めたソロアルバム。

2019年11月12日火曜日

[252.1] 月間サウンドステージ 心を癒すアンビエント・ミュージック




音楽現代別冊 月間サウンドステージ
1996年3月号

特集 アンビエント・ミュージック〜自然からのメッセージ
・自然音も聴けるアンビエントCDコレクション
・アーティストからのメッセージ〜FOAレコード
・やすらぎを求めて〜自然音CDコレクション
・心の奥底で木霊するアンビエントなリズムたち 吉村弘
ほか

平成8年3月30日発行
編集長 船木文宏
出版 株式会社芸術現代社

クラシック音楽専門誌「音楽現代」の別冊として刊行されていた月刊誌「サウンドステージ」。「情報選択時代の音楽オーディオ誌」と謳われるように、時代とともに多様化するオーディオ/ヴィジュアル機器と音楽ソフトに関する最新情報を発信する音楽総合誌でした。1996年3月号の特集は「心を癒すアンビエント・ミュージック」。80年代末から90年代にかけて、ハードさを志向するアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックの反作用として生まれ、ともに発展を遂げてきたチルアウト〜アンビエント・ミュージック。本号が発行された90年代半ばは、ちょうどチルアウト・カルチャーを先導してきたプロデューサー達がアンビエント路線をやや離れて、エレクトロニック・ミュージックの新しいフォームに歩みを進めた時期。アンビエント・ミュージックは「聞き手が想像力で参加することができる抽象性でクリエイティヴなスピリチュアル・サウンド」として、ポップ・ミュージックと混交しながら、よりオーバーグラウンドなフィールドでの認知を広げていたのだろうと思います。この特集では、自然音を取り入れたニューエイジ色の濃いアンビエント作品のディスクガイド、ユーキャン内に設立された音楽レーベルFOA (FORCE OF AMBIENT) RECORDSの紹介、細野晴臣、ワールド・スタンダード、高橋鮎生、ドリーム・ドルフィンなどポップとアンビエントの両極を志向する所属アーティストからのメッセージ、橋本元司や吉村弘によるコラム、アンビエント作品やグッズを買うことができるショップ情報などを掲載。今読むと、マスとコアの間で揺れ動く当時のアンビエント・ミュージックと、それをめぐる動向や概観が感じ取れるような内容になっています。注目すべきは、日本のアンビエント史に輝く巨星にして、ほとんど交わることはなかったであろう2人の音楽家、吉村弘と細野晴臣が同じ紙面に寄稿していること。かたや音の美術〜環境デザインの先覚者、かたや俗世を離れてアンビエントたる仙境に身を置いた音楽王、という、双方異なる「アンビエント/環境音楽」を体現する2人。下の文章は、各々のコラムから特に印象的な部分を抜粋したものです。


「アンビエント感のもとになっているものは、やはり自然なリズム、自然音や地球の発信している様々な鼓動、宇宙からの波動、遠い記憶、民族の伝統によって育まれてきた風土性など失いかけているものの中に投影されることが多い。失ってからでは遅いし、そんな心の中の小さな波紋として、聴く人の心の中に広がっていくからであろう。私達は生活には便利になったが、アンビエント感の乏しい時代にいることをじわじわと感じ始めている。「アンビエント・ミュージック」は音の一ジャンルを形成するものではなく、アンビエント感のある音楽の総称としてあるべきであろう。」 - 吉村弘


「僕はここ数年、渚に立ってずっと海を見ていた。海は激しさと静けさをひとつのこととして感じさせてくれた。そこにはエゴも名もない太洋感覚があった。アンビエントとはそのような視点〜世界の観望から、日々成生と消滅をくりかえしてゆく音楽と思われる。僕の背後には陸が広がり、そこには多様なノイズが渦巻いている。地震が起こり津波がおし寄せると、海のスピリットが陸に影響を及ぼし、陸のアンビエントが生まれた。」 -細野晴臣