Label: Celluloid
Catalog#: 66975-2
Format: CD, Album
Country: France
Released: 1996
1 Secret Sound No.1 5:51
2 Secret Sound No.2 4:16
3 Secret Sound No.3 4:22
4 Secret Sound No.4 2:57
5 Secret Sound No.5 9:18
6 Secret Sound No.6 4:03
7 Secret Sound No.7 4:01
8 Secret Sound No.8 3:56
9 Secret Sound No.9 6:38
10 Secret Sound No.10 2:59
11 Secret Sound No.11 2:13
スペインのレーベルCanela En Surcoからの再発でも注目を集めた、カーボベルデの音楽家Vasco Martins(ヴァスコ・マルティンス)。彼が昨年秋に逝去されていたことを最近になって知りました。享年69歳。
モルナやコラデラといった伝統音楽をベースにしながらも、同国初となる本格的な現代クラシック交響曲を作曲し、芸術音楽の土壌を築いた人物。さらに、国内にフルオーケストラが存在しないという環境を逆手に取り、80年代からシンセサイザーとMIDIシステムを積極的に導入。当時の保守的な音楽界から激しい批判を受けながらも、カーボベルデにおける電子音楽の可能性を切り拓いた孤高の先駆者でもありました。
マルティンスの作品が海外リスナーに広く知られるようになったのは、ニューエイジ再評価が進んだ2010年代以降のこと。しかし本人はニューエイジという枠組みで捉えられることを望まず、シンセサイザーを用いた創作においては「South Bound Music(南へ向かう音楽)」という理念を掲げていました。チベット仏教や東洋の瞑想音楽、宇宙へのイマジネーション、大西洋の自然、そして電子テクノロジーを結びつけながら、欧米主導のニューエイジとは異なる視座を提示。アフリカ西海岸の島国というごくローカルな地から、「人間と空の間にある垂直の宇宙」を見上げるように、普遍的な領域へと意識を開いていく独自のスピリチュアルな音響表現を探求し続けました。
90年代以降「South Bound Music」シリーズの一環で、96年に発表された本作「Island of the Secret Sounds」は、そうした理念が最も色濃く反映された一枚。サン・ヴィセンテ島の砂浜や平原、丘陵、街を歩き巡り、そこに潜む「Secret Sounds(秘密の音)」に耳を澄ませ、シンセサイザーの音響へと変換されています。マルティンスの創作と自然との関係を追ったドキュメンタリー映画のタイトルにもなっていますが、その芸術思想が最も純粋な形で結実した作品の一つなのだと思います。
過去に一度、マルティンスさんに「Oceano Imenso」(1986年発表のシンセ作品)をデジタル配信してほしい旨のメールを送ったことがありました。残念ながら現在も配信されていませんが、その時期に制作していると話されていて、後にリリースされたアルバムが「MAR」。海からインスピレーションを得たという作品で、オーバーダブや編集を施さずに仕上げられています。
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