Label: Smiling C
Catalog#: SC#07
Format: Vinyl, LP, Album
Country: US
Released: 2021 (1982)
A1 Glass Dreams 4:51
A2 Last Chances 3:12
A3 Coast Lines 4:07
A4 Dance For Two Strangers 2:23
A5 Jules & Jen 3:13
B1 Sandpatterns 3:55
B2 Reflections 3:07
B3 Quickdance 3:31
B4 Highlife 4:19
B5 Sunshowers 2:12
B6 Special Places 3:12
マンチェスターを拠点に活動していた2人のギタリスト、Kevin McCormick(ケヴィン・マコーミック)とDavid Horridge(デヴィッド・ホーリッジ)。初期Pink Floydのプロデューサーとして知られるPeter Jennerが設立したレーベルSheetから1982年に発表された唯一のアルバムを、カリフォルニアのレーベルSmiling Cが正規再発。発掘されるまで存在すら知らなかった作品ですが、近年のリイシューワークの中でもとりわけ印象深い一枚です。
2人が出会ったのは1970年、職業紹介所で働いていた頃。マコーミックは地元の小さなクラブで演奏し、ホーリッジはいくつかのバンドで活動していたそうです。ともに空気感や余白を重視した音楽を志向し、その感覚を共有できる相手を探していたことから意気投合。マコーミックの実家でジャムセッションを重ねながら、デュオとしてのサウンドを少しずつ形にしていきました。70年代後半のマンチェスターといえば、Joy DivisionやThe Fallをはじめとするポストパンク勢が台頭していた時代。しかし彼らはそうした潮流とは距離を置き、John MartynやDavid Crosbyら先達に触発されながら、シンプルな編成でジャズとフォークの境界をたゆたうような独自のインストゥルメンタルを追求しました。本作に収録された11曲は、自宅の簡素な録音環境で古いアナログ機材とカセットデッキを使って制作されたもの。ミニマルなアルペジオの反復、メランコリックな旋律、そして即興性を織り交ぜた静かなアンサンブル。2人の楽曲がほぼ交互に並べられ、アルバム全体がローファイでくぐもった質感に貫かれています。土地柄からThe Durutti Columnを引き合いに出されることも多いですが、彼らの音楽はよりメロウでリラックスした雰囲気があり、靄がかった淡い白昼夢のような佇まいと繊細な感性は、フランスのDidier BoninやドイツのG. B. Beckersにも近しく感じられます。
この再発盤でもうひとつ興味深いのが、オリジナルLPのジャケットを手がけたグラフィックデザイナーBarney Bubbles(バーニー・バブルス)に関する資料。インナースリーブには、ジャケットのラフスケッチやコンセプトを書き記した2人宛ての手紙をはじめ、代表的なデザインワーク、1983年に急逝した際のNME誌の追悼記事が掲載されています。バブルス自身の手紙によれば、オリジナル盤はライトグレーを基調に淡いピンクとグリーンを配色することで、ハレーションを起こしてゆっくりと動いて見える視覚効果を意図していたとのこと。2色の淡いインクは、2人の存在をなぞらえたものだったのでしょうか。再発盤ではタイポグラフィの配色がモノトーンに置き換えられ、よりモダンな印象へと再構築されています。音楽そのものはもちろん、デザインの背景にも光を当てた素晴らしいリイシューワークだと思います。
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