2026年2月4日水曜日

Orkiestra Ósmego Dnia

Jan A.P. Kaczmarek (1953-2024)

ポーランド出身の作曲家ヤン・A・P・カチュマレクを中心とする音楽プロジェクト「Orkiestra Ósmego Dnia」(オルキェストラ・ウスメゴ・ドニャ:第八の日の楽団)。1976年、古都ポズナンに拠点を置く実験劇団「Teatr Ósmego Dnia(テアトル・ウスメゴ・ドニャ:第八の日劇場)」の劇伴制作のために結成。その翌年以降に独立したプロジェクトへと発展していきました。この「第八の日」という名は、神による7日間の天地創造を経て、「人間が自らの手で自由な世界を創り始める日」という意味で、表現の自由が厳しく抑圧された当時のポーランドにおいて、創造性と自由を切望する芸術家たちの意志が投影されています。

カチュマレクは、ドイツ製チターを改造した創作楽器「Fisher's Fidola(フィッシャーズ・フィドラ)」を考案。ハープのようでもあり電子音のようでもある、この神秘的で透明感のある音色が、彼らの作品を特徴づける音響的な核となっています。クラシック、ミニマリズム、ジャズ、フォークロア、電子音や即興───様々な要素を複雑に融合させた独特のスタイルは、当時の既存ジャンルでは形容しがたいものでした。それはまた、重苦しい社会情勢の中で「外の世界が閉ざされているなら、自らの内面へ進むしかない」という強い信念のもとで、新たな芸術形式を模索しながら「内なる自由」「精神の解放」を表現しようという実験的な試みでもありました。

以下は、1982年から85年にかけて彼らが発表した3枚のアルバム(ポーランド3部作)についての短いレビューです。作品ごとに編成が変わり、共同制作者それぞれの持ち味が作風に反映される点もこのプロジェクトの大きな特徴であり魅力だと思います。

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①「Muzyka Na Koniec / Music For The End」(1982)
舞台の劇中音楽をもとに制作されたデビューアルバム。カチュマレクが操るフィドラ、フルートやピアノといった伝統楽器に、グジェゴシュ・バナシャクのアコースティック・ギターが重なり合う繊細なアンサンブルが核をなしています。東欧特有の幽玄な空気感。張り詰めた静寂。詩性と霊性。全編通して深く沈んだ暗いモノトーンな音響が展開されますが、その曇り空から差し込む鈍い光のようなフィドラの音色が印象的です。グループ初期の作風「アコースティック・ミニマリズム」を象徴する作品であり、当初の演劇的な演出要素が色濃く反映されています。初版はアメリカのFlying Fish Recordsより。フォークやブルースを主軸とする同レーベルからのリリースは、当時東側陣営の一員だったポーランドのバンドとしては異例なことでした。1984年にポーランドのSavitorレーベルから再発。検閲により政治的言説が封殺された時代における、言葉を超えた「静かな抵抗」のドキュメントとして極めて重要な作品だと思います。

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②「At The Last Gate」 (1984) 
ポーランド屈指のベーシスト、クシシュトフ・シチェラニスキを共同制作者に迎えたセカンドアルバム。前作のフォーク/クラシカル要素に加え、チェラニスキが持ち込んだジャズ・フュージョンの語法や民俗的旋法を高度に融合させた作品。カチュマレクが操るフィドラの崇高な響きに、シチェラニスキのフレットレス・ベースとギターがもたらす浮遊感とミニマルなグルーヴ。音響はより重層的になり、全編通して静謐でありながら濃密な熱量も感じさせる、奇跡のようなアンサンブルへと昇華されています。A面は旅の始まりと自然の風景。B面は内面への深い沈降を経て、旅の終着点へ。前作の「終わり」のその先にある未知の領域。内省から外の世界へと意識が広がり始めた過渡期を象徴し、現代のアンビエント・ジャズ視点からも高く評価される一枚。ジャケット右端の折れ目は、見開き中面に印字されたレーベルロゴを表示させるための仕様だったようです。リリース元はポーランドのSavitor。

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③「Czekając Na Kometę Halleya」 (1985) 
当時接近していたハレー彗星をテーマにしたコンセプチュアルなサードアルバム。邦題「ハレー彗星を待ちながら」。カチュマレクが作曲・指揮、フィドラなどの主要楽器を担当。初作の共同制作者であったグジェゴシュ・バナシャク、そしてマチェイ・タラガら総勢16名もの奏者が参加した意欲作です。前作までのアコースティックな音響から一転して、シンセサイザーを大々的に導入したダークでスペーシーな世界観。ドローンやサステインを主体とした音響構造に、ソプラノ歌唱や朗読、合成音声も交え、「耳で鑑賞する舞台作品」というような叙事性と宇宙的漂泊感が演出されています。音楽ファンからは「荘厳なシンフォニック・プログレ」とも評されるオーケストラルな音作りが特徴的で、映画音楽作曲家として大成するカチュマレクの来たるべき作家性がいち早く萌芽した一枚といえます。初版はSavitor。2011年にYesterdayレーベルからCD再発。

2026年2月2日月曜日

空気公団 - だぁれも


山崎ゆかりを中心とするユニット空気公団が2000年に発表したミニアルバム「呼び声」より。第1期メンバーによる録音で、作詞・作曲は山崎ゆかり。
絵本作家・荒井良二によるアートワークを含めて、作品全体がぽつねんとした空気感があり、はじめて耳にした時に感じた不思議な手触りは今も変わらず。当時は喫茶ロック界隈やはっぴいえんど的な文脈で語られることもありましたが、冬の入り口のしんとした静けさを思わせるような独特の雰囲気には、ポップでありながらアンビエントな感性も感じます。2024年にリマスターされてデジタル配信も開始。オフィシャルの音源で共有できることが幸せだと、しみじみ思う曲です。⋆˙⟡

2026年1月29日木曜日

Cláudio Mourão - Cuma-É


Label: -
Catalog#: 7804.558
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Brazil
Released: 1992

A1 As Sete Cores Do Arco-Íris 2:59
A2 A Era De Aquário (Instrumental) 4:02
A3 Os Mistérios Da Paixão 2:36
A4 Cuma-É 4:00
A5 Anjo 3:49
B1 Pala 3:31
B2 Imagem 2:57
B3 Refletino 3:49
B4 Sentimento De Artista 3:41
B5 Os Mistérios Da Paixão (Instrumental) 2:36

リオグランデ・ド・スル連邦大学の教授であり、ろう教育・ブラジル手話(Libras)の専門家として知られるCacauことCláudio Mourão(クラウディオ・モウラン)。彼が故郷ミナス・ジェライス州でシンガーソングライターとして活動していた1992年に、自主制作で発表した唯一のアルバム。
音楽監督およびアレンジを務めたのは、ミナス派の重鎮ギタリストJuarez Moreira。クレジットにはAndré Dequech、Ivan Corrêa、Ezequiel Lima、Roberto Zara、Esdra "Neném" Ferreira、Paulinho Pedra Azul、Ronaldo Venturiniといった「街角クラブ(Clube da Esquina)」界隈の重要人物や、ブラジリアン・ジャズ/フュージョン界の実力派プレーヤーが名を連ねています。
希望の虹をモチーフにした瑞々しいオープニング曲「As Sete Cores do Arco Íris」に始まり、浮遊感溢れるシンセとギターのアルペジオが印象的な「A Era de Aquário」。子供の無邪気さと社会的な現実を対比させた表題曲「Cuma-É」。繊細なスローナンバー「Anjo」。ビートルズ風の「Refletino」。哀愁漂うカンサォン「Sentimento de Artista」。曲ごとのスタイルはとりどりでありながら、全編通してミナス特有の透明感とメランコリー、ジャジーなサウンドに特徴付けられる極めて純度の高い楽曲が並び、Lo BorgesやBeto Guedesの作品に親しんだリスナーであれば間違いなく心に響く内容だと思います。
音楽家としてのアルバムは本作のみですが、先述の通り現在は教育学の博士としてLibrasを用いた文学や芸術の普及に尽力。手話による詩の朗読(Sarau)や、俳優、ダンサー、振付師としてのキャリアも長く、ろう文化における教育と芸術表現の第一人者として長年にわたり活動を続けています。

「Cuma-É(クマ・エ)とは、謙虚な心で世界やわが国の出来事を考え、普遍的なものとして捉えてくれた、ある子供のニックネームです。それは私たちの日常生活、日々の現実を映し出しています。物質的(社会的)な貧困と、夢を実現しようとする精神的な豊かさとの対比。Cuma-Éとは、まさに生きる意志そのものなのです。」 - ジャケット裏より

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2026年1月27日火曜日

Heitor - Unreal


St.GIGA Stream「海流の中の島々」より。リオグランデ出身のギタリスト/マルチ奏者Heitor T.P.ことHeitor Pereira(エイトル・ペレイラ)が1994年に発表したソロアルバム「Heitor」の収録曲。Simply Redに在籍していた頃の録音で、ブラジル音楽のフィーリングが漂う洗練されたインストゥルメンタル曲が並ぶ中、この曲ではペレイラ自身の柔らかなスキャットをフィーチャー。プログラムではGontiti「UPC」とMichael Franks「Vincent's Ear」の間に挟まれていて、その流れも心地よいです。

2026年1月25日日曜日

Dumptruck - For The Country


Label: Big Time
Catalog#: 6051-2-B
Format: CD, Album
Country: US
Released: 1987
DISCOGS

1 Island 4:16
2 50 Miles 4:17
3 Friends 3:31
4 Carefree 3:05
5 Brush Me Back 2:31
6 Hung Out On a Line 4:09
7 Going Nowhere 2:58
8 For the Country 5:01
9 Dead Weight 4:25
10 Wire 3:11
11 Barking Up the Wrong Tree 3:45

ボストン出身のオルタナティヴ・ロックバンドDumptruck(ダンプトラック)の3枚目となるアルバム。プロデュースはEcho & the Bunnymenなどで知られるHugh Jonesが担当。前作「Positively Dumptruck」までは、Seth TivenとKirk Swanによる共同ソングライティング体制でしたが、その発表後にSwanが脱退。そうした変化が反映されたためか、従来のざっくりとしたギターロックを軸としながらも、「孤独・自己探究」といったテーマのもと、ルーツロック/アメリカーナへと一歩踏み込み、より牧歌的で哀愁漂うレイドバックした音楽性へと深化を遂げています。
ハイライトはイギリスのペダルスティール名手BJ Coleが客演した#7「Going Nowhere」。そこから徐々に深みを増してゆく後半、LPのB面にあたる部分の流れがよく、Uncle TupeloやThe Jayhawksに先駆けるようなオルタナカントリー的な渋みにほどよいポップ風味を織り交ぜた楽曲構成の妙に引き込まれます。
Apple Musicのプレイリスト「Inspired by R.E.M.」にも選出されていますが、Miracle LegionやThe Connellsといったバンドと同様に、R.E.M.のフォロワーというよりは同時代のカレッジロック/オルタナティヴ・シーンにおいて独自のバンド像を確立した稀有な存在だと思います。

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2026年1月22日木曜日

豊かな睡眠のためのボディーワークと音環境I


Label: Nash Studio
Catalog#: NM-3546
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 1993

1 seaside(腰を主体にしたボディーワーク) 20:27
2 水つぶ(IMAGE WORK) 30:09

眠るための空間づくりと身体のコンディショニングを目的に、1993年に発売されたCDシリーズ「豊かな睡眠のためのボディーワークと音環境」の第1弾タイトル。監修を医学博士・杉本寛治、ボディーワークを健康運動指導士・鴇田佳津子、音楽プロデュースを環境音楽作曲家・梨木良成がそれぞれ担当。シリーズ全5作はいずれも共通して、音声ガイド付きボディーワーク(身体をゆっくり動かすことで心身の緊張を解きほぐす)と、イメージワーク(音環境)の2トラックで構成されていて、単なるリラクゼーションBGMに留まらず、寝る前の準備から入眠、睡眠の質向上までの一連の流れをサポートする実用性に重点が置かれています。
本作(I)には、腰を主体にしたボディーワーク「seaside」とイメージワーク「水つぶ」を収録。前半は、水中を漂うような柔らかなシンセサイザーを背景に、女性ナレーターが腰を中心とした動きをガイド。フェルデンクライス・メソッドを取り入れ、力まずに気づきを重視した動作が丁寧に誘導されます。後半は水滴をモチーフにした音環境。吉村弘「Surround」や初期の環境音楽を思わせる、極めてミニマルで静謐なアンビエントサウンドが約30分にわたって大きく変化することなく淡々と連なっていきます。

「豊かさとは何だろう。ありあまる工業製品と豊富で多彩な食物、そしてあふれんばかりの情報と音の洪水に、またそれらをスクリーンにして見る幻影に、私たちは何を見い出すべきなのだろう。私たちは社会の中でどう自分を位置づけるのかに人生を使い切ってしまい、やがて老いたぬけがらが残るのみなのだろうか。わたしたちは社会の一員であると同時にまぎれもなく自然の一部だ。豊かな環境の調和の構成員として存在していながら、わたしたちの感性はどれだけそのイメージを自分のものとすることができるだろう。音の環境。イメージワークは全体としての自然環境を音の世界に写実したもの、つまり川の流れであり、水の粒のありさまであり、風であり、幻想であり、光であり、自己であろうとしている。これは情報としての音楽ではなく環境としての音。音の作品として孤立するのではなく、空間の要素として全体の調和に帰するものであり、自己と環境の、個々の生かされたいのちと全体である自然の、そして主観と客観の境界線を漂う音である。」 - 梨木良成(イメージワーク研究会主宰)

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2026年1月20日火曜日

David Cunningham - Water


Label: Made To Measure
Catalog#: MTM 31 CD
Format: CD, Album
Country: Belgium
Released: 1992
DISCOGS

1 Stars 5:17 
2 The Next Day 2:23
3 Once Removed 1:54
4 The Fourth Sea 2:20
5 White Blue And Grey 4:58
6 Shade Creek 2:33
7 Short Winter's Day 4:05
8 Blue River 3:59
9 Beneath The Vines 2:56
10 Yellow River 6:04
11 Low Sun 2:27
12 Only Shadows 3:20
13 A Liquid Hand 2:51
14 Dark Ocean 2:07
15 The Same Day 7:01

北アイルランド出身の音楽家/プロデューサーDavid Cunningham(デヴィッド・カニンガム)が、ベルギーのレーベルCrammed Discsの環境・付随音楽シリーズの一作として発表したアルバム。
1984年から85年にかけてイギリスのテレビ局Channel 4で深夜帯に放送された、5部構成の短編プログラム「Five Closedowns」のサウンドトラックを中心に、91年までに制作された関連楽曲を加えて収録。映像作家Deborah Kingによるこの映像作品は、テレビ放送終了時(クロージング)の静寂に「アンビエント・テレビ」という概念を持ち込んだもので、映像の停滞と遅延に焦点を当て、テストパターンや静止画などを編集・再構成した実験的な試みであったといいます。
ゆっくりと揺らぐ水面に反射する光を音像化した#1ではRobert Frippがギターと作曲で参加。そのギターを異なるピッチで重ねた#3(とても美しい一曲です)。地中海の海洋汚染を題材にしたAshley Bruceによる記録映画のための#4。同音源から派生した硬質な電子ピアノミニマル#8など。全編を通じてループやディレイを多用したミニマルな構造による、ぼんやりと静かに漂うような楽曲が並んでいて、当時のカニンガムの環境的聴取に対する志向が伺える内容となっています。Made to Measureや彼自身のpianoレーベルは他にも、アンビエントという観点から興味深い作品が数多くあります。

Five Closedowns for Channel 4 Television (1984/1985)
Creator: David Cunningham
Duration: 5 Parts: 
1. Stars/Eagle Clouds 8'47
2. Green River/Yellow River 9'41
3. Spire 8'50

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※旧ログ整理のため一部リライトして再投稿しました

2026年1月18日日曜日

Reyvision - The Sound Cage


Label: Reyvision
Catalog#: 787 REY VIS
Format: Vinyl, LP, Album
Country: US
Released: 1987
DISCOGS

A1 Drum Overture To Djuba
A2 The Pineal Eye
A3 The Open Abyss
B1 Conversations
B2 Pinnae
B3 Orphealic Innosence

サンフランシスコの伝説的アンビエント・レーベルSilentの中核ユニットPGRに在籍していたKen Reyvision。彼が自主制作盤として残したワンオフ・プロジェクトによる唯一のアルバム。録音にはレーベル主宰のKim Casconeをはじめ、Dine Forbate、Paul Trent Adams、Alley MarcelといったPGRの主要メンバーが参加しています。
A面「The Other Acts」は、宗教儀式を思わせる重厚なフロアドラム、不穏に歪められたフルート、金属的なドローン、モジュレーテッド・ベースなどを駆使した、ダークで輪郭の定まらない音響工作。B面「Pianos And Thinking」では一転して、Dine Forbateのピアノが中心となり、反復するフレーズが洞窟のような深い残響の中へと消えてゆく、メランコリックなアンビエントが展開されます。全編を通して、夜や孤独、夢の淵といったイメージを喚起する極めてオブスキュアな内容です。

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2026年1月16日金曜日

Karel Arbus & Eiji Takamatsu - Mizugumi


西オーストラリア出身で1990年代後半から岐阜県で大工として働くカレル・アーバス。日本人の両親のもとハワイに生まれ、軽井沢にある叔父の温泉宿を手伝うために移住したエイジ・タカマツ。二人は2008年、長野のバーで偶然出会い、John BarryやKlaus Schulzeといった共通の音楽的嗜好を通じて意気投合。それがデュオ・プロジェクトとしての活動に繋がっていったとのことです。
この「Mizugumi」は、2017年に発表された1stアルバム「Some Backland Plaza」の収録曲。制作時期を考えると日本の環境音楽やニューエイジからの影響も推察されますが、直接的な引用ではなくエッセンスとして取り入れ、それを独自の美しいクワイエット・ミュージックへと昇華させています。現在聴くことができる彼らの音源は、2枚のアルバムとCantoma「Kasoto」のリミックスのみですが、いずれも素晴らしい出来栄え。長い目で見守りながら、今後のリリースを楽しみに待ちたいと思います。

[related]
Interview / Karel Arbus and Eiji Takamatsu – Ban Ban Ton Ton (October 18, 2017)
https://banbantonton.com/2017/10/18/interview-karel-arbus-and-eiji-takamatsu/
Mizugumi (Max Essa Extended Mix)
https://jansenjardin.bandcamp.com/album/mizugumi-max-essa-extended-mix

2026年1月14日水曜日

Shaun Rigney - Wetland


Label: Terra Australia Records
Catalog#: TACD0010
Format: CD, Album
Country: Australia
Released: 1995

1 Wetland I 16:16
2 Wetland II 21:18
3 Wetland III 21:01

メルボルン出身の作曲家/ギター奏者Shaun Rigney(ショーン・リグニー)が、Terra Australiaの自然環境シリーズの一環で制作したサウンドスケープ作品。舞台はオーストラリア・ビクトリア州に広がる湿地帯。現地で録音された30種を超える州固有種のカエルの鳴き声や自然の営みに、ぽつりぽつりと配される素朴なギターの調べと、ごく淡く漂う電子音。楽器と自然音がいずれも主役になることはなく、すべてが溶け合い、ひと続きの抽象的な風景として提示されていて、聴き進めていると、眠りに落ちる直前の半覚醒状態のようなぼんやりと心地よいリスニング感覚を覚えます。主にギター協奏曲や室内楽作品などクラシック寄りのフィールドで活動する作者ですが、本作はアンビエント・プロデューサーとしての編集能力が色濃く表れた秀作だと思います。

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