2026年1月27日火曜日

Heitor - Unreal


St.GIGA Stream「海流の中の島々」より。リオグランデ出身のギタリスト/マルチ奏者Heitor T.P.ことHeitor Pereira(エイトル・ペレイラ)が1994年に発表したソロアルバム「Heitor」の収録曲。Simply Redに在籍していた頃の録音で、ブラジル音楽のフィーリングが漂う洗練されたインストゥルメンタル曲が並ぶ中、この曲ではペレイラ自身の柔らかなスキャットをフィーチャー。プログラムではGontiti「UPC」とMichael Franks「Vincent's Ear」の間に挟まれていて、その流れも心地よいです。

2026年1月25日日曜日

Dumptruck - For The Country


Label: Big Time
Catalog#: 6051-2-B
Format: CD, Album
Country: US
Released: 1987
DISCOGS

1 Island 4:16
2 50 Miles 4:17
3 Friends 3:31
4 Carefree 3:05
5 Brush Me Back 2:31
6 Hung Out On a Line 4:09
7 Going Nowhere 2:58
8 For the Country 5:01
9 Dead Weight 4:25
10 Wire 3:11
11 Barking Up the Wrong Tree 3:45

ボストン出身のオルタナティヴ・ロックバンドDumptruck(ダンプトラック)の3枚目となるアルバム。プロデュースはEcho & the Bunnymenなどで知られるHugh Jonesが担当。前作「Positively Dumptruck」までは、Seth TivenとKirk Swanによる共同ソングライティング体制でしたが、その発表後にSwanが脱退。そうした変化が反映されたためか、従来のざっくりとしたギターロックを軸としながらも、「孤独・自己探究」といったテーマのもと、ルーツロック/アメリカーナへと一歩踏み込み、より牧歌的で哀愁漂うレイドバックした音楽性へと深化を遂げています。
ハイライトはイギリスのペダルスティール名手BJ Coleが客演した#7「Going Nowhere」。そこから徐々に深みを増してゆく後半、LPのB面にあたる部分の流れがよく、Uncle TupeloやThe Jayhawksに先駆けるようなオルタナカントリー的な渋みにほどよいポップ風味を織り交ぜた楽曲構成の妙に引き込まれます。
Apple Musicのプレイリスト「Inspired by R.E.M.」にも選出されていますが、Miracle LegionやThe Connellsといったバンドと同様に、R.E.M.のフォロワーというよりは同時代のカレッジロック/オルタナティヴ・シーンにおいて独自のバンド像を確立した稀有な存在だと思います。

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2026年1月22日木曜日

豊かな睡眠のためのボディーワークと音環境I


Label: Nash Studio
Catalog#: NM-3546
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 1993

1 seaside(腰を主体にしたボディーワーク) 20:27
2 水つぶ(IMAGE WORK) 30:09

眠るための空間づくりと身体のコンディショニングを目的に、1993年に発売されたCDシリーズ「豊かな睡眠のためのボディーワークと音環境」の第1弾タイトル。監修を医学博士・杉本寛治、ボディーワークを健康運動指導士・鴇田佳津子、音楽プロデュースを環境音楽作曲家・梨木良成がそれぞれ担当。シリーズ全5作はいずれも共通して、音声ガイド付きボディーワーク(身体をゆっくり動かすことで心身の緊張を解きほぐす)と、イメージワーク(音環境)の2トラックで構成されていて、単なるリラクゼーションBGMに留まらず、寝る前の準備から入眠、睡眠の質向上までの一連の流れをサポートする実用性に重点が置かれています。
本作(I)には、腰を主体にしたボディーワーク「seaside」とイメージワーク「水つぶ」を収録。前半は、水中を漂うような柔らかなシンセサイザーを背景に、女性ナレーターが腰を中心とした動きをガイド。フェルデンクライス・メソッドを取り入れ、力まずに気づきを重視した動作が丁寧に誘導されます。後半は水滴をモチーフにした音環境。吉村弘「Surround」や初期の環境音楽を思わせる、極めてミニマルで静謐なアンビエントサウンドが約30分にわたって大きく変化することなく淡々と連なっていきます。

「豊かさとは何だろう。ありあまる工業製品と豊富で多彩な食物、そしてあふれんばかりの情報と音の洪水に、またそれらをスクリーンにして見る幻影に、私たちは何を見い出すべきなのだろう。私たちは社会の中でどう自分を位置づけるのかに人生を使い切ってしまい、やがて老いたぬけがらが残るのみなのだろうか。わたしたちは社会の一員であると同時にまぎれもなく自然の一部だ。豊かな環境の調和の構成員として存在していながら、わたしたちの感性はどれだけそのイメージを自分のものとすることができるだろう。音の環境。イメージワークは全体としての自然環境を音の世界に写実したもの、つまり川の流れであり、水の粒のありさまであり、風であり、幻想であり、光であり、自己であろうとしている。これは情報としての音楽ではなく環境としての音。音の作品として孤立するのではなく、空間の要素として全体の調和に帰するものであり、自己と環境の、個々の生かされたいのちと全体である自然の、そして主観と客観の境界線を漂う音である。」 - 梨木良成(イメージワーク研究会主宰)

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2026年1月20日火曜日

David Cunningham - Water


Label: Made To Measure
Catalog#: MTM 31 CD
Format: CD, Album
Country: Belgium
Released: 1992
DISCOGS

1 Stars 5:17 
2 The Next Day 2:23
3 Once Removed 1:54
4 The Fourth Sea 2:20
5 White Blue And Grey 4:58
6 Shade Creek 2:33
7 Short Winter's Day 4:05
8 Blue River 3:59
9 Beneath The Vines 2:56
10 Yellow River 6:04
11 Low Sun 2:27
12 Only Shadows 3:20
13 A Liquid Hand 2:51
14 Dark Ocean 2:07
15 The Same Day 7:01

北アイルランド出身の音楽家/プロデューサーDavid Cunningham(デヴィッド・カニンガム)が、ベルギーのレーベルCrammed Discsの環境・付随音楽シリーズの一作として発表したアルバム。
1984年から85年にかけてイギリスのテレビ局Channel 4で深夜帯に放送された、5部構成の短編プログラム「Five Closedowns」のサウンドトラックを中心に、91年までに制作された関連楽曲を加えて収録。映像作家Deborah Kingによるこの映像作品は、テレビ放送終了時(クロージング)の静寂に「アンビエント・テレビ」という概念を持ち込んだもので、映像の停滞と遅延に焦点を当て、テストパターンや静止画などを編集・再構成した実験的な試みであったといいます。
ゆっくりと揺らぐ水面に反射する光を音像化した#1ではRobert Frippがギターと作曲で参加。そのギターを異なるピッチで重ねた#3(とても美しい一曲です)。地中海の海洋汚染を題材にしたAshley Bruceによる記録映画のための#4。同音源から派生した硬質な電子ピアノミニマル#8など。全編を通じてループやディレイを多用したミニマルな構造による、ぼんやりと静かに漂うような楽曲が並んでいて、当時のカニンガムの環境的聴取に対する志向が伺える内容となっています。Made to Measureや彼自身のpianoレーベルは他にも、アンビエントという観点から興味深い作品が数多くあります。

Five Closedowns for Channel 4 Television (1984/1985)
Creator: David Cunningham
Duration: 5 Parts: 
1. Stars/Eagle Clouds 8'47
2. Green River/Yellow River 9'41
3. Spire 8'50

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※旧ログ整理のため一部リライトして再投稿しました

2026年1月18日日曜日

Reyvision - The Sound Cage


Label: Reyvision
Catalog#: 787 REY VIS
Format: Vinyl, LP, Album
Country: US
Released: 1987
DISCOGS

A1 Drum Overture To Djuba
A2 The Pineal Eye
A3 The Open Abyss
B1 Conversations
B2 Pinnae
B3 Orphealic Innosence

サンフランシスコの伝説的アンビエント・レーベルSilentの中核ユニットPGRに在籍していたKen Reyvision。彼が自主制作盤として残したワンオフ・プロジェクトによる唯一のアルバム。録音にはレーベル主宰のKim Casconeをはじめ、Dine Forbate、Paul Trent Adams、Alley MarcelといったPGRの主要メンバーが参加しています。
A面「The Other Acts」は、宗教儀式を思わせる重厚なフロアドラム、不穏に歪められたフルート、金属的なドローン、モジュレーテッド・ベースなどを駆使した、ダークで輪郭の定まらない音響工作。B面「Pianos And Thinking」では一転して、Dine Forbateのピアノが中心となり、反復するフレーズが洞窟のような深い残響の中へと消えてゆく、メランコリックなアンビエントが展開されます。全編を通して、夜や孤独、夢の淵といったイメージを喚起する極めてオブスキュアな内容です。

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2026年1月16日金曜日

Karel Arbus & Eiji Takamatsu - Mizugumi


西オーストラリア出身で1990年代後半から岐阜県で大工として働くカレル・アーバス。日本人の両親のもとハワイに生まれ、軽井沢にある叔父の温泉宿を手伝うために移住したエイジ・タカマツ。二人は2008年、長野のバーで偶然出会い、John BarryやKlaus Schulzeといった共通の音楽的嗜好を通じて意気投合。それがデュオ・プロジェクトとしての活動に繋がっていったとのことです。
この「Mizugumi」は、2017年に発表された1stアルバム「Some Backland Plaza」の収録曲。制作時期を考えると日本の環境音楽やニューエイジからの影響も推察されますが、直接的な引用ではなくエッセンスとして取り入れ、それを独自の美しいクワイエット・ミュージックへと昇華させています。現在聴くことができる彼らの音源は、2枚のアルバムとCantoma「Kasoto」のリミックスのみですが、いずれも素晴らしい出来栄え。長い目で見守りながら、今後のリリースを楽しみに待ちたいと思います。

[related]
Interview / Karel Arbus and Eiji Takamatsu – Ban Ban Ton Ton (October 18, 2017)
https://banbantonton.com/2017/10/18/interview-karel-arbus-and-eiji-takamatsu/
Mizugumi (Max Essa Extended Mix)
https://jansenjardin.bandcamp.com/album/mizugumi-max-essa-extended-mix

2026年1月14日水曜日

Shaun Rigney - Wetland


Label: Terra Australia Records
Catalog#: TACD0010
Format: CD, Album
Country: Australia
Released: 1995

1 Wetland I 16:16
2 Wetland II 21:18
3 Wetland III 21:01

メルボルン出身の作曲家/ギター奏者Shaun Rigney(ショーン・リグニー)が、Terra Australiaの自然環境シリーズの一環で制作したサウンドスケープ作品。舞台はオーストラリア・ビクトリア州に広がる湿地帯。現地で録音された30種を超える州固有種のカエルの鳴き声や自然の営みに、ぽつりぽつりと配される素朴なギターの調べと、ごく淡く漂う電子音。楽器と自然音がいずれも主役になることはなく、すべてが溶け合い、ひと続きの抽象的な風景として提示されていて、聴き進めていると、眠りに落ちる直前の半覚醒状態のようなぼんやりと心地よいリスニング感覚を覚えます。主にギター協奏曲や室内楽作品などクラシック寄りのフィールドで活動する作者ですが、本作はアンビエント・プロデューサーとしての編集能力が色濃く表れた秀作だと思います。

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2026年1月12日月曜日

Robert Haigh - Written On Water


Label: Crouton
Catalog#: crou042
Format: CD, Album
Country: US
Released: 2008
DISCOGS

1 Over Land 4:13
2 Interior Device 2:40
3 Written On Water 6:26
4 Ten Form 5:33
5 Persistence Of Memory 4:13
6 New Harmony 4:39
7 Eight Form 5:15
8 Orbits 5:37
9 Untitled 3:12

海底に沈んだ家具への鎮魂歌、もしくは青白い鬼火のミニマリズム。レタープレスされた手製の白いジャケット、四方の角を紙の額縁で留められた海のカラー写真がとても美しく、「はかなく消える/忘れられてしまう」という意味のタイトルも、音の世界観をよく表していると思います。Robert Haigh(ロバート・ヘイ)は、FoteやSema名義での実験ノイズ作、Omni Trio名義でのドラムンベース作など、多彩な音楽性をもつイギリス出身の作曲家/ピアニスト。活動の主軸には本作のような、サティやドビュッシーに影響を受けたうつろなピアノ作品があります。往年のミニマル作曲家を思わせる冷ややかで淡々としたミニマルピアノ#1「Over Land」から始まり、曇り硝子や薄汚れた鏡越しに眺めるような不鮮明な影像を描く#5「Persistence Of Memory」や#6「New Harmony」が秀逸で、アンビエントの古典としての静かな風格を漂わせています。

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※旧ログ整理のため一部リライトして再投稿しました

2026年1月10日土曜日

TIME 1 Produced by PARLIAMENT


Label: E-License
Catalog#: EF-2003-01
Format: CD, Compilation
Country: Japan
Released: 2003

1 Hajime Yoshizawa - I Am With You (Radio Edit) 3:51
2 Hajime Yoshizawa - Secret Flight (Original Mix) 4:59
3 Electric Sheep - Green 6:51
4 Electric Sheep - Naked Noon 6:36
5 Cosmic Village - Starseed 4:50
6 Sleep Walker - Elina 5:01
7 Cosmic Village - Earth Rise 3:51
8 Cosmic Village - Aquasphere 4:58

フィリップ・モリス社のタバコブランド「パーラメント」のプロモーション用として制作された非売品コンピレーション・アルバム。選曲・監修は音楽プロダクションExtra Freedomが手がけています。
収録内容は、Kyoto Jazz Massiveで知られる沖野修也と、ピアニスト吉澤はじめの両氏が関わる複数のプロジェクト、および吉澤氏のソロ楽曲で構成。「アメリカン・ブルー」を基調とするパッケージで、パーラメントが掲げる「洗練された大人のリラックスタイム」というブランドイメージと寄り添うように、全体はフューチャージャズ/ラウンジ系の落ち着いたグルーヴで統一されています。なかでも印象深いのが、シェリー酒ブランドTio Pepeのレーベルから12インチレコードで限定リリースされたクロスオーバー#3「Green」と、都市の孤独感をたたえたジャジーなディープハウス#4「Naked Noon」。CDでは本作以外で聴くことができない、Electric Sheep名義による2曲の流れがとてもよく、交互に繰り返し聴きたくなります。パーラメントからは本作のほかに「Quiet Voyage」というコンピレーションも制作されていますが、そちらは女性ジャズヴォーカル曲からセレクトされたものでした。

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2026年1月8日木曜日

Simon Stockhausen - Floating Free


Label: UBM Records
Catalog#: UBM 1141
Format: CD, Album
Country: Germany
Released: 1992

1 Floating Free 6:13
2 Snail Groove 5:20
3 Approaching Mars 7:30
4 Good Morning 8:35
5 Feeling Home 8:14
6 Volcano 7:34
7 One World 6:47

現代音楽の巨匠を父に持つドイツ出身の作曲家/サウンドデザイナーSimon Stockhausen(ジーモン・シュトックハウゼン)が、ベルリンのライブラリーレーベルUBM Recordsのために書き下ろしたソロワークス。ケルンのStudio Cornetにて録音。コンポジションからマルチ・インストゥルメンタリストとしての演奏に至るまで全てを作者自身が手がけています。
浮遊感のあるシンセサイザーのレイヤーを基調に、抑制を効かせたリズムセクション、フレットレスベースや生楽器のモチーフが織り込まれてゆくニューエイジ/アンビエント作品。ジャケットに写る地平線のイメージに近い牧歌的なオープニングトラック「Floating Free」が特に印象的ですが、全体を通しては、未知の領域を探索するようなスペーシーでミステリアスな空気感が強調されていて、曲ごとに趣の異なるイマジナリーな風景を描き出しています。
現在は「Research」「Technology」「Space Travel」「Futuristic」といったカテゴリーのもと、Universal Production Musicのカタログとして管理。個人的には本作を知ったのがコロナ禍直前ということもあり、聴いていると当時の色々なことが思い出される1枚です。

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