2015年10月26日月曜日

[007] Pacific 231 - Tropical Songs Gold


Label: Transonic Records
Catalog#: TRS-25017
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 1997

1 Traveling 231 5:52
2 Jewels Of The Ocean 7:22
3 Special Guide Book 9:38
4 Café Équatorien (Original Mix)
5 Have A Nice Trip! 5:51
6 Adventures In A Tropical Temple 12:05
7 The Best Of Mineral Springs 9:02
8 Jewels Of The Ocean (Bon Voyage Mix) 7:25

96年に刊行された「モンド・ミュージック2」を手にして、当時モンドという現象はスペースエイジやストレンジ・サウンドを再評価し、数年前までタダ同然だったレコードの値を跳ね上がらせたマーケット面の一方で、フィールドレコーディングされた民族音楽も、最先端の録音技術が注がれたリッチな娯楽音楽も、どこかでひそりと録音された出来損ないのレコードも全て、地球人の遺産、地球音楽として肯定するメンタリティであったように感じました。David Toopが「Ocean Of Sound」をリリースし、アンビエントが地球全体とその音楽史を俯瞰する聴き方として提示されたのも同じく96年。リスニングに新たな好奇心をもたらすきっかけになっていたのだろうと思います。
95年刊行の前号「モンド・ミュージック」の選者別カタログページで、ラヴェルやミヨーのストレンジな試みを紹介していたのが、山口優率いる職業作曲家集団の一人であった蓮実重臣。本作は蓮実重臣が、Organization(w/永田一直)で活動していた三宅剛正と組んだアド(広告)ベンチャー・ユニットPacific 231のファーストアルバムで、南洋航海というテーマに、転がったり揺らいだり心地よいエレクトロニクスと、様々なヴィンテージ・レコードからのサンプリングを使い、50年代エキゾチカのフェイク感と、何とも暢気な秘境感を演出した架空のサントラ的作品。両氏とも近代音楽や軽音楽などの多彩な素養を身につけていたと見られ、音楽史の断片の間を浮遊しているような感覚も。暑い日に涼聴、寒い日に温聴できるラウンジ・ミュージックの秀作。

...