2017年1月9日月曜日

[103] Llorenç Barber - Linguopharincampanology


Label: Hyades Arts
Catalog#: hyCD-19
Format: CD, Album
Country: Spain
Released: 1994

1 Cantinela 8:38
2 Manjar 38:41
3 Lingua Ludens 16:28

1960年代以前のスペインで、人々の誕生と死、祭りなどを告げるための通信手段として使われていた教会の鐘。孤立した村々では、その目的によって固有の「鐘の言語」が存在したといいます。バレンシア出身のLlorenç Barber(リュレンツ・バルベー)は、人類学者Frances Llop(フランセス・リヨップ)と共同で鐘の伝統的な鳴鐘法を研究、それを再構成し、街中すべての教会の鐘を交響させる大規模な作曲に取り組んだ作曲家/音楽学者。フォークロアに基づく「環境の音楽」として展開された市民コンサート・プロジェクトと並行して、屋内空間で行われていたソロ・パフォーマンスが「リンゴファランカンパノロジー」。この呼び名は、Linguo(言語)とCampanology(鐘学・鋳鐘術・鳴鐘術)を組み合わせた作者自身の造語とみられます。本作に収められている3曲は、バルベーが70年代から近年まで活動拠点としていたマドリッド市内にあるギャラリーCRUCEで録音されたもの。木製ラックに吊り下げられた16の鐘。調律の精度もサイズも個々で異なるその鐘を「鐘の言語」に基づいて打ち鳴らし、口腔で共鳴させ、ホーミーに似たハーモニック・ボイスを発する。鐘と声の倍音をコントロールしつつ、建物内の反響による複雑なリズムや予測不能なエフェクトを招きながら、金属・肉体・空間が浸食しあう響きの迷宮を作り上げています。この創作楽器は、薪ストーブの煙突を探していた時に、ある工房で発見したという小さな鉄製皿(ストーブの熱水を受けるため部品)が元になり、当初は1枚の皿のみを使った演奏からはじまり、持ち運びのできる組み鐘へ発展したとのこと。ライナーノーツでは、バルベーを「バルセロナのCarles Santos(カルレス・サントス)と並び、スペインにおけるミニマル音楽の最重要作曲家の1人」と紹介。Hyades Artsレーベルのカタログでは、Francisco López(フランシスコ・ロペス)、Suso Sáiz(スーソ・サイス)、Iury Lech(ユーリ・レッヒ)らサウンドアート〜実験音響探究の先覚者として大きな存在感を放っています。

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(Hyades Arts, 1992)

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