2026年1月7日水曜日

The I-Rails - Panharmonium


Label: Primal Rhythm Music
Catalog#: -
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 1990

A1 Around The World 3:48
A2 Disconnected 3:11
A3 Lucifer, Paul & John 3:47
A4 Willingness 3:51
A5 Two Feet In Front Of Me 4:04
A6 The Light Of The Sun 3:40
B1 Real Time 2:40
B2 Fallen 2:16
B3 Behold 3:19
B4 In The End 5:03
B5 Where I Am 4:17
B6 Courage, Etc. 6:02
B7 Anything In Space 4:13

80年代後期にカリフォルニア州オックスナード/ヴェンチュラ周辺のローカルシーンで活動した3人組オルタナティヴ・ロックバンドThe I-Rails(アイ・レイルズ)。作品は一貫して自主制作カセットで発表してきた彼らにとって、本作は活動末期に制作された4作目にあたるアルバム。メロディ志向のUSインディーの流れを汲む瑞々しいボーカルハーモニーと、ジャングリーなギターサウンドを核としたアンサンブル。疾走感あふれるパワーポップから、スローダウンした切なく内省的な楽曲まで、ビブラートがかかったヴォーカルスタイルを含めて、その全体的な感触は後年のGin Blossomsを彷彿とさせます。
当時のメジャー作品に引けを取らない内容ですが、シーンの過密さゆえか商業的な成功には恵まれず、本作を最後にバンドは解散。その後、フロントマンのChris O'ConnorはPrimitive Radio Gods名義でソロ活動を開始。1996年にはシングル「Standing Outside a Broken Phone Booth with Money in My Hand」を全米ヒットさせ、現在まで同名プロジェクトを率いて活動を続けています。

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2026年1月5日月曜日

Brian Eno - 2/2



その水の名前は 雲。雲は地上にこがれて。その水の名前は 雨。初夏のやわらかい雨になる。その水の名前は 川。歓びの声をあげて流れる。川は大地を潤し、水は音もなく吸いあげられる。草に。木に。その水の名前は 花。一斉に咲き乱れる、高原の桜。ツツジ。その花びらを剥げば。私は水。あらゆる草や木とともに、めぐる水に足を浸している。あらゆる生き物とともに、私はめぐる水の名前のひとつ。その名前の水は 海。無数の流れはただひとつの大きな水となり。たゆたう光の中、空にこがれる。その水の名前は 雲。

St.GIGAアーカイヴ「Time of water A」より。Brian Eno「2/2」と、寮美千子によるヴォイス「水の名前」。(※放送時の朗読を聞き起こしたため、作者ご自身が公開されているテキストとは一部表現が異なっているようです。)音の潮流はその後、小久保隆「森の目覚め」、Morgan Fisher「Shinesound #1」、小久保隆「水の城」、吉村弘「Time Forest」と連なっていきます。St.GIGAは、遙か遠くに存在する誰か——あるいは自分自身の——足音に、目を閉じて耳を澄ますような感受性を必要とする人々にとって、心の拠り所として聴かれていたのかもしれません。

2026年1月4日日曜日

Oriental Homeward - Camland


Label: Ryoondo-Tea
Catalog#: DES018
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2004

1 Soft Rime 4:50
2 Over Spray 5:27
3 Summer Moon 1:28
4 Winter Moon 1:39
5 Eolie 4:20
6 Stella Di Mare 7:20
7 For Sure 1:40
8 Wintertime Pulse 3:59
9 Time Rag 5:48
10 Fanfan 6:04
11 Time Rag (Firo Remix) 5:35

温泉や茶の湯といった日本伝統の美意識を通して電子音楽の可能性を追求する、京都の名門レーベル・涼音堂茶舗より。桑原美樹によるソロプロジェクトOriental Homeward(オリエンタル・ホームワード)のデビューアルバム。湧水や雪解け水が静かに集まり、川から海へ、そして雨雲となって再び地へと還る。そんな水のめぐりを想起させる、清冽で瑞々しい音像に満ちたイマジナリーな作品。
90年代に隆盛したアンビエント・カルチャーが形骸化し、ニューエイジという言葉とともに否定的に語られがちであった2000年代半ば。テクノ文脈に連なる繊細な電子音響意匠と、環境音楽の空間性・機能性とを結び直して再定義するような、ポジティヴな眼差しを感じさせる1枚です。小さな空想世界を顕微鏡で覗き込んだようなアートワークも、本作の世界観にしっくりとなじんでいます。プロデュースはsnoweffectの石川貴史。マスタリングはPsysExの糸魚健一。ボーナストラックとしてFiroによるリミックスを収録。

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2026年1月3日土曜日

Morgan Fisher - Water Music


Label: Cherry Red
Catalog#: CDMRED178
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 2000

1 Water In The City 6:34
2 Ice Melting 7:41
3 The Great Lakes 11:41
4 After The Rain 6:26
5 We Are All Water 13:24
6 Breathing Rain 5:56
7 On The Brink 8:22
8 We Are All Water (Oceanic Remix) 9:12

元ロックグループのメンバーという出自を持ちながら、早い時期から「アンビエント/環境」をめぐる多様な文脈に深く関わってきたイギリス出身の鍵盤奏者/プロデューサーMorgan Fisher(モーガン・フィッシャー)。環境音楽の黎明期にLol Coxhillと共同制作した「Slow Music」をはじめ、サティ作品を独自に解釈した「Inside Satie」、英国実験音楽家による1分間の小品を集成したコンセプトアルバム「Miniatures」、さらには環境ビデオや鈴木大拙記録映画の音楽、自然療法書籍の付属CDに至るまで、その活動は多岐にわたっています。
本作は、1980年代半ばに日本に移住したFisherが、自身のハンドメイド・スタジオで録音し、Veetdharm名義で発表したオリジナルアルバム「Water Music」収録の4曲に、ボーナストラックやリミックスを加えてアートワークを新装した拡張再発盤。テープ・ディレイを駆使して幾重にも重ねられたシンセサイザーのレイヤーと、リリカルなピアノの即興演奏。春の雪解け、鏡のように静まり返った湖面、都市に降る雨。小さなしずくの滴りから果てしない海原まで、移ろいゆく水のさまざまな表情を、潤いに満ちたサウンドで描き出した「水アンビエント」の名作です。
電子楽器の蒐集家としても知られるFisherは、2004年以降、長年にわたり「モーガンのオルガン」と題した月例ソロ演奏会を開催。希少なヴィンテージ・キーボードを多数用いた独自の演奏活動を、現在も続けています。

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※旧ログ整理のため一部リライトして再投稿しました

2026年1月2日金曜日

Winter Hours - Wait Till The Morning


Label: Link
Catalog#: LINK CD022
Format: CD, Album
Country: US
Released: 1989

1 Hyacinth Girl 4:36
2 Wait Till The Morning 2:42
3 Simple John 3:44
4 Island Of Jewels 5:10
5 Incendiary 2:47
6 Churches 2:57
7 Walk Away 4:17
8 At A Turtles Pace 4:11
9 I Want 2:35
10 All Along The Watch Tower 4:03

アメリカ・ニュージャージー出身の5人組ロックバンドWinter Hours(ウィンター・アワーズ)の初期インディー時代をまとめたコンピレーションCD。1986年にリリースされた「Wait Till the Morning」に、1985年のデビュー作「Churches」を追加収録した内容で、同名EPの拡張版と言える構成となっています。
Winter Hoursは、Joseph Marques(ボーカル/リリック)、Michael Carlucci(リードギター)が中心となり、前身バンドWard 8から発展する形で1983年に結成。1991年の解散まで精力的にライヴツアーを行い、東海岸のアンダーグラウンド・シーンやカレッジ・ラジオを中心に熱心なリスナーからカルト的な支持を集めました。彼らのサウンドの特徴は、The Byrdsを彷彿とさせる12弦ギターの繊細なアルペジオとジャングリーなトーン。当時この界隈を象徴する存在であったR.E.M.からの影響は明らかですが、単なるフォロワーにとどまらず、個々のプレイには確かな個性があり、とりわけフロントマンJoseph Marquesの内省的で深みのある歌声とインディヒーロー然とした佇まいは、Michael Stipeとは毛色の異なるカリスマ性を放っています。
1980年代半ば、R.E.M.の成功の陰で、同様の感性を共有しながらも商業的評価に恵まれなかったバンドが数多く存在したアメリカの地下オルタナティブ・シーン。近年では、アメリカ版C86とも言えるジャングル・ポップの発掘プロジェクト「Strum & Thrum: The American Jangle Underground 1983-1987」などの動きがあり、こうした埋もれたバンド群が少しずつ再評価され始めているのかもしれません。

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2026年1月1日木曜日

DSK - Thinking About Freedom


Label: Crue-L Records
Catalog#: KYTHMAK086D
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2004

1 Empty Box 3:05
2 Song For Snow 3:12
3 Still Reminds Me 5:08
4 Take Me To The Countryside 3:39
5 Gentle Slope 5:16
6 Guitarring Blue 4:43
7 Visionareality 5:03
8 Catch A Clear Sky 6:38

Port of NotesやAurora Acousticでの活動で知られる小島大介が、DSK名義で発表したソロ2作目となるフルレングスアルバム。歌声を交えた前作「Man and Guitar」から趣を少し変え、本作は全編インストゥルメンタルで統一されています。
エレクトリックギターによるメロウなフレージングと淡い旋律。そしてプログラミングと最小限の鍵盤を添えたシンプルな編成で奏でられるメランコリックなサウンド。フュージョン/クロスオーバーと呼ぶには風景的で、イージーリスニングと呼ぶには深い青さを感じさせる。チルアウトや癒やしといった言葉さえもおおらかに受け入れる。そんな既存のジャンルの境界に浮かぶような、タイムレスなギターアルバム。CDショップの試聴機でDISC番号ボタンを押し間違えたことをきっかけに知り、今も変わらず愛聴している思い入れ深い1枚です。ヨーウィーかイェティのような空想のモンスターが描かれたジャケットデザインはYosuke Kojima氏によるもの。

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2025年12月31日水曜日

Estratos - Estratos


Label: La Reserve Records
Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: US
Released: 2025

1 Incantation 1:29
2 Puzzle 3:23
3 Gameover 3:17
4 Vesper (ft. Michael Mayo) 2:35
5 Paddy's Interlude 1:18
6 Battlecry 2:32
7 Donal's Sequence 3:03
8 Crush (ft. Julia Easterlin) 3:23

ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動するDiego Joaquin Ramirez(ディエゴ・ホアキン・ラミレス)によるソロプロジェクトEstratos(エストラトス)。父はグアテマラ人、母はヤキ族のネイティブ・アメリカン。幼少期からアメリカ西部、アムステルダム、アイルランドを旅しながら多様な音楽に触れてきたという多文化的なバックグラウンドを持つドラマー/作曲家です。本作は2025年3月にリリースされた彼のデビュー作。
浮遊感に満ちたギターのフレーズループで幕を開け、緻密なリズムワークに鍵盤やサックスが折り重なるレフトフィールドなジャズ/クロスオーバー、Michael MayoやJulia Easterlinをフィーチャーしたアトモスフェリックなボーカル曲、さらには短いインタールード的なミニマル小品まで。Ramirez自身の旅の記憶や心象描写が投影されたノスタルジックなサウンドスケープが静かに広がっていきます。全21分というコンパクトな構成ながら、緩急自在なトラックの満ち引きが心地よく、一年通して移動中や仕事中に何度も繰り返し耳を傾けた1枚です。

Diego Joaquin Ramirez AKA Estratos is an Irish-born drummer and composer based in NY. Known for his vibrant sound, versatility and effortless groove, he has worked with a wide range of world-class artists, including Marc Cary, Carrtoons, Melanie Charles, Kiefer, Jeremy Pelt, and Wayne Tucker. He has performed on world-renown stages such as NPR Tiny Desk, The Blue Note, and The Kennedy Center.

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2025年12月30日火曜日

Azure Lounge featuring Little Big Bee


Label: Imperial Records
Catalog#: TECI-1006
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2000

1 Still Dreaming 6:26
2 Fingers 6:59
3 This Wave 6:35
4 Emerald Mountain 5:34
5 Frigid (I Used To Be) 5:54
6 Fancy Woman 7:16
7 Reminiscence 5:37
8 Urban Young Deers 6:28
9 Against Opprssion 7:03
10 Finder 7:20

テイチク傘下のImperial Recordsが展開した「カラー・ラウンジ・シリーズ」の1枚。ホワイト、アジュール、イエロー、ミント、バイオレットの5色をテーマにそれぞれ異なるアーティストをフィーチャーした本シリーズの中で、このアジュール(青)編は、90年代中頃から国内クラブシーンで活動してきたプロデューサーチームLittle Big Beeが楽曲監修を務めています。
レコーディングには、Flower Records主宰の高宮永徹(プログラミング)を中心に、神宮寺謙次(ベース)、PLAZA藤崎(ピアノ/キーボード)に加え、奥山みなこ(ボーカル)をはじめとするReggae Disco Rockersのメンバーが参加。穏やかな波のように揺れるビート、鍵盤の優しいメロディ、ギターやエレクトロニクスに、St.GIGAの自然音素材が織り交ぜられ、ほどよい温度感と余白を残しながら、ゆったりとした午後や夜のクールダウンに寄り添う心地よいチルアウト/ラウンジ・ミュージックを演出しています。
アートワークを含め、シリーズ全体のコンセプトが強く打ち出されているため、オリジナルアルバムとしての記名性は控えめに感じられますが、「Still Dreaming」から「Fingers」へと続く冒頭の流れは、名曲「Scuba」に並ぶクラシックだと思います。

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2025年12月28日日曜日

Heights Of Abraham - Electric Hush


Label: ZTT
Catalog#: ZTT99CD
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 1998 (1995)

1 The Cleric 6:43
2 Boogie Heights 6:44
3 High Time 10:31
4 Dolphins 3:51
5 What's The Number 6:50
6 Olive Branching 9:32
7 E.V.A. 10:30
8 700 Channels 7:07
9 Sunyatta 6:51
10 Make Love 8:39

イギリスのエレクトロニック・プロジェクトHeights Of Abraham(ハイツ・オブ・エイブラハム)。メンバーは、80年代にシェフィールドのポストパンク/インダストリアル・シーンで活躍したChakkの元メンバーであるSim Lister(サックス/プログラミング)とJake Harries(ボーカル/リリック)、そしてSteve Cobby(ギター/プログラミング)の3人組。もともとChakkの熱心なファンだったというCobbyが、80年代半ばに地元のクラブで両者と出会い、その後Chakkが運営していたFon Studiosで短期間働くなどして親交を深め、90年代初頭に結成。
本作「Electric Hush」は、CobbyがDave Brennandと共同で立ち上げたレーベルPork Recordingsから95年にリリースされた2ndアルバム。初版のジャケットデザインはデザイナーズ・リパブリックによるものでしたが、このZTT盤では新たなアートワークが採用されています。The Blue Nileに通じるアーバン・ソウルの好作だった前作から一転し、よりアンビエント色を強めたダウンテンポを基調に、ジャズやダブの感触を自然に溶け合わせた、陽性で心地よいリスニング・ミュージック。当時のチルアウト系コンピレーションで繰り返し取り上げられたクラシック「E.V.A.」をはじめ、UKエレクトロニック/チルアウトの隠れた名盤として語られる1枚です。

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2025年12月27日土曜日

George Bishop - Mountain Path


St.GIGAアーカイヴ「Easy wind B」より。フィラデルフィア出身のサックス/マルチ奏者George Bishop(ジョージ・ビショップ)が1992年に発表した初のリーダーアルバム「Like A Butterfly」の収録曲。リリース元はドイツの名門Innovative Communication。プロデュースは同レーベルの看板アクトDancing Fantasyのメンバー2人が担当しています。スムースジャズ的なクールで都会的なタッチでまとめられたアルバムの中、この「Mountain Path」では風の音のSEが添えられ、ひときわ牧歌的で穏やかなサウンドスケープを感じさせます。

Smooth all the way, love-jazz vocals of the finest sort, great tunes, warm and soft as silk with a laid- back touch of cool. This thing simply grooves along while you slide through the night, a breeze of music gently ruffling the air-waves. One of New York's finest sax players merges his distinct sound and talents with the DANCING FANTASY producer team of Chris W. Williams & Curtis McLaw and the fine voice of singer Romy Camerun.