2017年4月21日金曜日

[124] Miguel Angel Noya ‎- Esferas Vivientes


Label: World Sound Bank

Catalog#: WSB 007-12-11
Format: Digital, Album
Country: Venezuela
Released: 2012 (1986)
DISCOGS

1 Sistema Vega 3:27

2 Islas Mecanicas 3:35
3 Huellas Circulares 6:30
4 Meteoro M - 17 1:23
5 Meteoro A - 23 1:47
6 Meteoro N - 5 2:20
7 Esferas (feat. Eleazar Yanez) 7:34

Angel Rada(アンヘル・ラーダ)と並び、ジャーマン・エレクトロニクスから影響を受けたコズミックなシンセ使いでベネズエラにおける電子音楽の地平を切り開いたMiguel Angel Noya(ミゲル・アンヘル・ノーヤ)。9歳年上でキューバ出身のラーダとは電子音+民族性という点で共通するも、自ら「エスノ音響印象派」と称するラーダの東洋エキゾ志向とは対照的に、ノーヤは故国の民俗文化に深く踏み込んだ独自のエスノ・エレクトロニクスを開花させ、後にSteve Roach、Jorge Reyes、Suso Sáiz、Luis Paniaguaといった海外で活動する同世代の先鋭音楽家とも交流。この「Esferas Vivientes」は、2012年にWorld Sound Bankからデジタルリマスター版が配信された旧作のひとつで、元は1986年に自主レーベルからカセットテープでリリースされたセカンドアルバム。レコーディングには、打楽器奏者Elíazar Yanes、鍵盤奏者Jesús González、MusikautomatikaのメンバーStefano Gramittoらが参加。ギアナ高地一帯に広がる草原地帯グランサバナを題材とした前作「Gran Sabana」のスタイルを踏襲しつつ、本作では「生きている球体」というタイトルが示すように、地球=意識をもつ生命体とする考えに基づく「音楽・芸術・先住民族の宗教的儀式を通じて実現される惑星間のコミュニケーション」というコスモロジカルなビジョンを、エスノの方向へ歩みを進めたディープなサウンドで表現しています。オリジナルリリースから30周年を迎えた昨年5月には、先住民族やアフロベネズエラの楽器と電子音楽を融合するマラカイボのグループEtnoE3を率いた記念コンサートをラ・カステリャーナで開催。ノーヤはPaul Godwinとのデュオ・プロジェクトDogonのほか、博物館でのインスタレーション、音響彫刻、舞踊や映画の音楽、万博のサウンドデザインなど、現在まで国内を代表するサウンド・アーティストとして国際舞台で活動を続けています。


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2017年4月15日土曜日

[123] Masahiro Sugaya - Ao


Label: Sweet Boon Music
Format: Digital, Album
Country: Japan
Released: 2016 (1994)

1 Tessa 20:26
2 Tsuki 30:30
3 Uta 30:15
listen sample

1987年から2000年まで舞台芸術カンパニーPappa TARAHUMARA(パパ・タラフマラ)に所属し、演劇・舞踏・オペラ・美術などの枠組みを越えた新しい舞台作品のためのスコアを担当した東京都出身の作曲・編曲家=菅谷昌弘83年に東京音楽大学作曲科を卒業。作曲を三枝成章、松村禎三、湯浅譲二に師事。大学在籍時の82年から劇団に加入するまでの間は、主に演奏会形式でサキソフォン・オーケストラやウィンド・アンサンブル、ソロピアノのための作品などを発表されていたそうです。また90年代から現在まで、舞台の仕事と並行して、NHKオーディオ・ドラマの劇伴やギターデュオGONTITIの編曲なども手掛けています。本作「青」はパパ・タラフマラが94年に発表した舞台作品のサウンドトラックで、昨年8月に新たにデジタル配信でリリースされた3作品のうちのひとつ。「青」とは “色彩としての青にまつわるさまざまなイメージを時間の痕跡として舞台上に表現した作品” 。その「アオ」という発音から音楽の原初へとイメージを広げたという第一部のための「テッサー」は、ブンブンと回転するブルロアラーのうなりに、鉄道の走行音、飛行機・ヘリコプターの飛行音、アイヌのムックリ、鳥の鳴き声といった異なる尺度のリズムが現れては消えてゆく、個人体験に基づく連想の連なり。第二部のための「ツキ」は、「変化量の少ない30分間連続した音楽」という演出家小池博史のアイデアに呼応したという、縺れと綻びを生みながら絶えず変化を続けるリズム反復。一転して東南アジア的な和声の「ウタ」は、いくつかのセクションから構成されており、夢見心地な雰囲気の中で次々と表情を変えていきます。具体音楽、ミニマル・ミュージック、モダン・ジャズ、日本の童歌やガムランをはじめとした民族音楽のエレメントを取り合わせ、現実と非現実の世界への想像力を刺激する創意に富んだアプローチは、この作曲家独特のものに感じられます。

1982年に始めたときにはコンピューターを使える音楽家はほとんどいなかった。// そこで、コンピューターを使える音楽ということで菅谷が入ってきた。// 菅谷の才能は輝いていた。彼とは、1987年~2000年までピッタリとつき合ってきた。実際に制作した作品数はかなり多くの数に上る。だから、作品をひとつひとつ取り上げたりはしない。とにかくこの14年間のほぼすべてだ。当時、菅谷宅には公演前には二日に一回の割合で通ったものだった。稽古が終わるとバイクを飛ばして国立から荻窪の彼の家に行き、音楽を聴いてはああでもない、こうでもないと数時間、やりあった。そして深夜2時か3時頃に帰ってくる。とても良い時間を送ったと思っている。さほど忙しすぎず、ゆえにじっくりと音楽を作り出し、それを舞台上に反映させる。こういう実に贅沢な時間を作ることができた14年間であった。非常に繊細であり、かつ、破壊力も備わった音楽。このセンシティブな感じがなんとも言えず好きであったし、こういうじっくりと腰を据えた作り方ができた事は以降、まったくなくなっていった。(小池博史「パパ・タラフマラを作ってきた音楽家たち」より抜粋)


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Pappa TARAHUMARA - AO DVD (SAI Inc, 2011)

菅谷昌弘 - 海の動物園 (ALM Records, 1988)

2017年4月10日月曜日

[122] Matthew Hayes - Indigo


Label: Analogue Attic
Catalog#: AAR009
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Australia
Released: 2017

A1 Blue Pool 6:48
A2 Penny Royal 8:31
A3 Express Point 7:58
B1 Smiths 5:18
B2 Home 8:59
B3 Glen Innes 6:32

メルボルンに拠点を置くアンビエント/ハウス・レーベルAnalogue Atticから、初めてのフルレングス・アルバムとしてリリースされる、同地出身のベース奏者Matthew Hayes(マシュー・ヘイズ)のデビュー・アルバム。メルボルンを中心とするビクトリア周辺の土地をテーマに、エレクトロニクス、ベース、ライブ・パーカッション、ビクトリアで録音されたフィールド・レコーディング音源などから構築された、濃藍のエレクトロニック・アンビエント・ジャズ。先頃アナウンスされたJonny Nash & Suzanne Kraftの新作と並び、こちらも傑作の予感。リリース日は4月29日。

Analogue Attic's first full-length album comes from local Jazz musician, Matthew Hayes. Based on themes and memories from around Victoria. Indigo sounds like the feeling of diving through waves and sitting on golden sand. Meditative synth lines and Hayes' stunning bass guitar work ebbs and swells like the ocean.


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2017年4月8日土曜日

[121] R.I.P. Hayman - Dreamsound




ニューメキシコ出身の作曲家Richard "Rip" Hayman(リチャード・ヘイマン)が70年代から行っていた、観衆の睡眠、夢とリラクゼーションのためのサブリミナル・イベント「ドリームサウンド」のアーカイヴより、イントロダクションとモノローグの抜粋。


Richard Hayman (better known as Rip) is a performance artist, musician, and writer who's 3 decades of work in new york city have connected and crossed many mediums and formats -- from sleep concerts to abstract expression, here you can explore a healthy collection of recordings pulled from the archives for your pleasure.


2017年4月2日日曜日

[120] Suso Sáiz & Musikautomatika - Live in Caracas



80年代からプロデューサーとして活動してきたSuso Sáiz(スーソ・サイス)にとって、自身が過去に発表した作品は「不完全さが気になって聴くことができないもの」であり、これまで聞き直したり関心をもつことはなかったそうです。しかし、MFMの頑固な説得の末にコンピレーションのオファーに同意。「Odisea」のリリースを経て、過去の作品に対してポジティブな気持ちを取り戻したと語っています。Bcosof=〈Because Of〉は、40歳離れた甥のPedro Díaz(ペドロ・ディアス)と一緒に昨年立ち上げた未発表作品のアーカイヴ・レーベル。80年代から2000年代始めにかけてレコーディングされた発掘テープの中から、「Smoking Ashes」という一連の作品のリリースがアナウンスされています。3月22日にNTS Radioで放送されたこのプログラムでは、未発表曲 "Soul Cave P. II." と、92年にイベロアメリカ電子音楽祭に出演するためにベネズエラを訪れたサイスと同国の実験音楽グループMusikautomatika(ムジカオートマティカ)とのジャムセッション音源を披露。イベリアとイベロアメリカの実験音楽を結んだサイスの活動にはとても興味を惹かれます。



Bcosof
Music collective based in Madrid, Spain