2016年12月29日木曜日

[101] Tamas Laboratorium - Brain Machine


Label: Innovative Communication

Catalog#: IC 710.100
Format: CD, Album
Country: Germany
Released: 1990
DISCOGS

1 Gateway Of Life 31:07

2 Eternal Cristal 29:42
3 Space Distorion 10:32

ヘミシンク技術を開発した超心理学者Robert Monroe(ロバート・モンロー)の研究所の専門会員であったポーランド出身の物理学者Andrzej Slawinski(アンジェイ・スラヴィンスキー)が、その技術を応用し、自身で立ち上げたタマス研究所でプロデュース、独ディープホルツのレーベルInnovative Communicationから1990年に発表した第一作。
ヘミシンク=Hemi-Syncとは、ヘミスフェリック・シンクロナイゼーション(左右半脳の同調)を意味するモンロー研究所の造語で、左右の耳でそれぞれ波長がわずかに異なる音=バイノーラルビートを聞くことにより、右脳と左脳の脳波を同調させるオーディオ・ガイダンスのこと。元々は、1950年代に体外離脱(OBE)を体験したモンロー博士が、体験中に体内を微妙な振動が流れることに気づき、OBEへの誘導の可能性に着眼。脳波と身体の振動の関係性や脳に対する音の影響を研究し、1975年に特許を取得。リラックス・心身の健全化・睡眠・瞑想、その先にある至高体験へ、通常とは異なる意識状態へ誘導する技術として、現在まで心理学、精神医学、医療機関や教育機関で活用されているそうです。スラヴィンスキーは、ハイデルベルグ大学で物理学を専攻した後、照明技師・俳優として実験的な演劇活動を経て、生物物理学研究所でバイオフォトンや生体構造から発せられる光などの研究に従事。19200hz以上のオーディオストロボ信号=光信号を搭載した、視覚と連動する新しいサイコ・アコースティック技術の開発者として、ヨーロッパのスピリチュアル分野で絶大な評価を受ける存在とされています。
本作のタイトル「Brain Machine」は、おそらくニューロサイエンス(神経科学)における、脳神経と外部機器を接続する医工学技術=ブレインマシン・インターフェースから。収録された3トラックは、フラクタル幾何を生成するアルゴリズムのプログラムとMIDIシーケンサーで作曲され、無限に増殖し続ける複数のサウンドパターンが1トラック内で途切れなく連なり、時間とともにテクスチュアが変化していきます。#1-2は、ジャーマン・エレクトロニクスの系譜となるディープで宇宙的な曲。#3は、モダンクラシカルな鍵盤・打楽器風のアレンジ。いずれもヘッドホンでのリスニングを推奨していますが、#3の水が滴るように無作為に響いては消えてゆく、非反復・自動生成的な構造と静的なサウンドはピュアな環境音楽に近しい表情です。

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2016年12月25日日曜日

[100] Matt Christensen - Fund One Woman's Journey To The Women's March On Washington


Label: -

Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: US
Released: 2016
BUY

1 Women's March 7:00

2 Women's March 6:42
3 Women's March 6:52
4 Women's March 7:33
5 Women's March 9:54
6 Women's March 8:22

トランプ新政権が発足する2017年1月21日、女性の人権を尊重する政治を求めてワシントンDCで行われる「ウィメンズ・マーチ・オン・ワシントン」。その抗議行動に参加される、ひとりの18歳の女性の旅行資金を支援するファンディング・プロジェクトとして、シカゴのサイケデリック・バンドZelienople(ズィリノポ)のシンガー兼ギタリストMatt Christensen(マット・クリステンセン)が自身のバンドキャンプを通じてリリースした新作。止処なく刻まれるミニマルなリズムにトリッピーなエレクトロニクス、モクモクと煙ったい陶酔的グルーヴが立ち込める異境アフロ・フォーク。


Not everyone who should be in DC on January 21st can afford to be there. All proceeds from the sales of this record will go towards funding one 18 year old woman's trip to take part in the Women's March On Washington in Washington DC on January 21st, 2017. This woman has been recommended by a committee, and will remain anonymous. Downloads are $10, but please feel free to donate as much as you'd like! Note that this album will be deleted on Friday, January 20th.


about Women's March on Washington

The rhetoric of the past election cycle has insulted, demonized, and threatened many of us--immigrants of all statuses, Muslims and those of diverse religious faiths, people who identify as LGBTQIA, Native people, Black and Brown people, people with disabilities, survivors of sexual assault—that our communities are hurting and scared. We are confronted with the question of how to move forward in the face of national and international concern and fear. In the spirit of democracy and honoring the champions of human rights, dignity, and justice who have come before us, we join in diversity to show our presence in numbers too great to ignore. The Women’s March on Washington will send a bold message to our new administration on their first day in office, and to the world that women's rights are human rights. We stand together, recognizing that defending the most marginalized among us is defending all of us. We support the advocacy and resistance movements that reflect our multiple and intersecting identities. We call on all defenders of human rights to join us. This march is the first step towards unifying our communities, grounded in new relationships, to create change from the grassroots level up. We will not rest until women have parity and equity at all levels of leadership in society. We work peacefully while recognizing there is no true peace without justice and equity for all.

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2016年12月18日日曜日

[099] Владимир Леви & Ким Брейтбург - Млечный Сад


Label: Ritonis
Catalog#: SP02-0020
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Latvia
Released: 1993
DISCOGS

А1 Смысл 4:12

А2 Отпускаю Тебя 5:14
А3 Волны Покоя 7:01
А4 Не Уходи, Дарящий 5:10
В1 Пробуждение 3:14
В2 Млечный Сад 4:36
В3 Солнечная Сторона Жизни 5:49
В4 Иду 3:06
В5 Сам Попробуй 5:14

70年代後期に結成、メロディアスなプログレッシヴ・サウンドとレーザーの視覚効果を使ったステージ演出で、ヨーロッパを中心に32カ国でツアーを行い、ソビエトを代表するロックバンドとして名声を得たDialogue(ダイアローグ)。そのグループのフロントマンで、現在まで映画・テレビ・ミュージカルのための作曲を手掛けているウクライナ・リヴィウ出身の作曲家Kim Breidburg(キム・ブレイトブルク)。Justinas Marcinkevičius(ユスティナス・マルツィンケヴィチュース)やAndrei Tarkovsky(アンドレイ・タルコフスキー)といった脚本家・詩人らに作詞を依頼し、音楽・文学・映画・舞台芸術の区分を超えたコラボレーションからDialogueの創造性を深めたBreidburgが、グループ解散前後の92年に、著名な心理学者Vladimir Levi(ヴラディミル・リヴィ)と共同制作し、音楽療法のためのレコードとして93年に発表したのが本作「ミルキーガーデン」。リリース元は、元国営出版機関Melodiya傘下でラトヴィア・リガを拠点とするレーベルRiTonis。レコーディングには、Kim Breitburgのシンセとヴォーカルのほか、Vladimir Leviの息子Maxim Levi(マキシム・リヴィ)がギターで、ダイアローグ・スタジオのエンジニアAndrei Usatii(アンドレイ・ウサティ)がベースで参加。 

ライナーノーツには、ヨーロッパで17-18世紀に作曲された「鎮痛」「解熱」「ストレスケア」のための医療音楽や、歌が精神を癒すと信じられていた古代の音楽療法、そして20世紀に再び花開いた「瞑想」「サイケデリック」「ニューロムジカ(神経に作用する音楽)」「催眠音楽」などの例が挙げられ、アルバムのAサイドを自己催眠や瞑想、睡眠、仕事後にリラックスタイムに、Bサイドは気分を向上させ、感覚を研ぎ澄ませ、エネルギーを補充し、意志を強化するために…という各サイドの趣旨と、1日数回のリスニングを1週間続け、2・3日休む、それを数ヶ月繰り返し継続する…という使用方法が記されています。ヒーリングを目的とした作品、とはいえ、ディープなメディテーティヴ・サウンドを期待すると拍子抜けするほどポップなメロディを高らかに歌い上げるオープニングから、潮騒とクラシカルギターに囁くようなリーディングを被せたA3、ツインピークスのサントラを思わせるB1、東洋的なムード漂うコスミック・ナンバーB2、さらには食料品売り場に流れていそうな軽快なインストB4まで。きらびやかなシンセのアレンジと打ち込みドラムによるイージーな曲調が並ぶなか、とりわけ同時期のインディ/ドリームポップへ通じるA4 "Do Not Go Away, Giver" の幻想的な美しさに耳を奪われます。この曲でKim Breitburgと共に歌っているMaria Breitburg(マリア・ブレイトブルク)は、おそらく彼の親類とみられる女性シンガーソングライターで、現在はロシアン・ポップスの作詞家として活動しているようです。

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2016年12月10日土曜日

[098] Planetary Peace - Synthesis


Label: Love All Day
Catalog#: LAD 011
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 2016
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1 Festival of Humanity 6:15

2 I Hear the Drums 1:17
3 Christ is Coming 4:41
4 Silence of Night 5:41
5 Step High 3:44
6 Country of Love 8:24
7 Medicine Wheel 3:39
8 I Am That I Am 6:38
9 Gentle People 6:27
10 Song without Warning 2:13
11 Shepherd's Song 2:25
12 Haré Om 6:00
13 Highland Memories 3:36
14 For Four 2:28
15 I Am Om 10:11
16 The Call 1:15
17 Mountain Horns 7:06
18 Feel the Spirit 2:17
19 Wave Motion 4:30
20 Hear the Om 3:53

Will Sawyer(ウィル・ソウヤー)とKalima Sawyer(カリマ・ソウヤー)のアメリカ人夫妻によるデュオ・ユニットPlanetary Peace(プラネタリー・ピース)が、ロンドンに移住していた80年代初頭に録音を開始、83年にサンタフェに戻り自主リリースした、知られざるシンセフォーク作品「Synthesis」を、シカゴのレーベルLove All Dayがリマスター再発。一部のアコースティック楽器を除き、すべて純正律にチューニングしたSerge製モジュラー・シンセサイザー2台を使って演奏された、心の平安、人々の慈愛、自然の偉大さを讃える20曲のオリジナル・マントラ。当時、ディストリビューションの協力と寄付を募り、友人や仕事仲間に無料で配り歩いていたそうです。夫妻の消息をつかんだレーベルによると、現在2人はマウイ島でオーガニックファームを経営しながら、自分たちで作った太陽光発電スタジオで録音を続けているとのこと。カセットテープとデジタル版で12月20日にリリース。


「1980年の秋、ロンドンにある自宅のリビングルームで、TEACのリールトゥリール・テープ・デッキを使って録音しました。81年3月に初めての子供が生まれる前にこの録音をしようと決め、全ての機器を持って私たちはロンドンに到着しました。恵みや幸運に巡りあい、ロンドン中心部のハムステッド・ヒース近くにある小さなコテージを見つけました。そこは夕方録音するのに十分なほど静かでした。平均律より純正律を好んでいたため、私たちは自分たちでチューニングできる機材を探しました。その目的にあったアナログシンセサイザーのキットを開発したエンジニアSerge Tcherepnin(サージ・チェレプニン)がサンフランシスコにいました。私たちはロンドンに出発前、数ヶ月の間苦労してキットを組み立て、ハンダ付けし、演奏する方法を学びました。信号経路を手動で設定し、オシレーターやフィルターなどに接続するためのパッチケーブルが必要でした。もちろん今はすべてデジタルで行われます…… TEACのリールトゥリール・テープ・デッキ、Shureのマイク、リバーブなど、すべて自分たちで持ち込んだ機材を使いました。おかしかった出来事といえば、私たちがサンフランシスコを出発する際、飛行機の乗客全員が離れたターマックに移動させられ、全ての荷物がチェックされました。そのため、離陸まで数時間の遅れが生じました。彼らは爆弾の恐れがあると話していましたが、私たちのシンセサイザーが原因でアラートを引き起こしたかもしれないと、しばらくして思いました。「テロリスト」というものがつくり出される前だったので、当時はだれもそんな理由を考えませんでした。私たちの娘が生まれてからは、私たちは多かれ少なかれ、すべての音楽制作を止めました。私たちが配り歩いていた非常にレアなカセットの1つにあなたが出会ったことは、実に小さな奇跡です。」 


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2016年12月8日木曜日

[097] Suso Sáiz & Gigi Masin live at Casa Bonay






アムステルダムのレーベルMusic From Memoryと、オンラインラジオ局Red Light Radioの配信による共同主催で、11月19日にバルセロナのホテルCasa Bonayにて行われたMFMのショーケース・イベントの録音アーカイヴ。ライブアクトはSuso Sáiz(スーソ・サイス)とGigi Masin(ジジ・マシン)。DJはレーベル主宰のTakoとJamie Tiller(ジェイミー・ティラー)、RLRのOrpheu The Wizard(オーフィア・ザ・ウィザード)。スペインの電子音楽とポストパンクの交点から民俗的でアトモスフェリックな音響の新生面を切り開き、現在はプロデューサーとしてインディロック・シーンを支えている57年生まれのSuso Sáiz。片や、元はラジオDJで、故郷ヴェネツィアを拠点に、フォーキー気質のソングライティングにシンセを織り交ぜたメランコリックな音楽性で、インディペンデントな作曲活動を続けてきた55年生まれのGigi Masin。アンビエントという共通項で結ばれるとはいえ、おそらくMFMという接点がなければ共演することはなかっただろう2人のマエストロ。ライブはソロセットで、共にそれぞれの演奏のラストに参加しあい、音を交えています。



Music From Memory & Red Light Radio at Casa Bonay
live movies on RLR facebook page
Suso Sáiz / Gigi Masin

Red Light Radio
radio station & international music platform based in Amsterdam


2016年12月6日火曜日

[096] Malcolm McLaren And The Bootzilla Orchestra - Call A Wave


Label: Epic

Catalog#: WALTZ T5
Format: Vinyl, 12", Promo
Country: UK
Released: 1989
DISCOGS

A Call A Wave (DFC Dance Mix) 7:44

B Call A Wave (Breakdown Mix) 6:13
C Call A Wave (Orbital Mix) 6:05
D1 Call A Wave (Return To The Deep Ambient Mix) 4:38
D2 Call A Wave (New Age Mix) 3:39

Sex Pistolsの仕掛人として世界的に知られ、80年代以降はプロデューサー兼コンポーザーとして、ヒップホップやエレクトロといったダンス・ミュージックと、オペラやワールド・ミュージック的エッセンスを独自にクロスオーバーさせた鬼才Malcolm McLaren(マルコム・マクラーレン)。PファンクのベーシストBootsy Collins、イギリスのロック・ギタリストJeff Beckらをゲストに迎え、クラシックのサンプリングとハウス・ミュージックを大胆に融合した89年発表のアルバム「Waltz Darling」から
5枚目のシングル曲で、オリジナルではゆったりとしたドラムビートとパーカッション、ピアノやシンセ・ストリングスに、Jeff Beckのギターソロ、海への回帰を歌う女性のリーディングをフィーチャーした "Call A Wave" を、アンビエント・ハウスにリミックスしたプロモ盤。リミキサーはイタリアのレーベルDFCから、同年「E2-E4」をヒットさせたSueño Latino(スエーノ・ラティーノ)のメンバーMassimino Lippoli(マシミーノ・リポリ)。イギリスの名プロデューサーWilliam Orbit(ウィリアム・オービット)とMark Moore(マーク・ムーア)のコンビ。


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