2017年3月24日金曜日

[118] Elko B. - I Bambini Di Basilisco


Label: Ekster
Catalog#: EKS013
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Belgium
Released: 2017
DISCOGS

A1 Une Fille Dansante 2:24

A2 Krokodil 1:47
A3 Afrikakat 1:22
A4 Crawling Night Bears 4:12
A5 Aurelia 3:26
A6 Save The Knight 1:55
B1 Chyena 2:11
B2 Une Fille A La Plage 2:58
B3 Nachtelijke Verwelkoming 1:28
B4 Cochon Torrero 3:11
B5 Karabair (Solo) 3:49
B6 Basilisco 2:58

バジリスクとは、雄鶏の卵を蛇あるいはヒキガエルが温めて孵化させると生まれるとされる、中世ヨーロッパの幻の生き物だそうです。カバーにはそれらしき獣の影。そして夜暗くなるとこの影が浮かび上がる仕掛け。ベルギーのオルタナティヴ・シーンで、90年代から数々のプロジェクトで活動してきたギタリストElko B.ことElko Blijweert(エルコ・ブライヴィアト)が、2月にリリースしたキャリア初となるソロアルバム「バジリスクの子どもたち」は、元々コンテンポラリー・ダンスや人形劇のために録音したマテリアルを使って作り上げたというもの。女の子や熊や騎士らが登場する空想世界を彩る、ゆるゆる南国ムードと魅惑のラテン音楽、似非東洋音楽、ジャーマン・エレクトロニクスなどの趣味を折衷させた、人懐っこくユーモラスなエキゾチカ・サウンド。近年レフトフィールドな電子音楽やアンビエントの中にある第四世界音楽やエキゾチカの流れ、特に後者においてヨーロッパ側からの発信源となっているEksterのユニークな異境志向を示す、2017年版クワイエット・ヒップともいうべき好作です。


Considering Elko Blijweert's been active in the Belgian music scene for about fifteen years now, it comes as quite a surprise that "I Bambini Di Basilisco"is only his first ever solo album. Known mainly for his virtuoso yet ever idiosyncratic guitar playing, Elko B. treats the listener to much more than just that. With the exception of the heavily guitar-driven western pastiche "Cochon Torrero", the emphasis here lies on dark Carpenteresque synthesizer sounds as well as jolly child-friendly melodies. The twelve pleasantly concise songs, mainly based on compositions Blijweert made as soundtrack material for contemporary dance theatre and children's puppet theatre, beautifully blend together into a whole as the listener is presented with a unique glimpse inside the wide-ranging imagery that is Elko B.'s ever-expanding musical world.


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De Morgen: Elko B. ‘I Bambini Di Basilisco’

2017年3月21日火曜日

[117] va Ambience


Label: ABC Records, Festival Records

Catalog#: L 43030
Format: Vinyl, LP, Compilation
Country: Australia
Released: 1987
DISCOGS

A1 Andrew Thomas Wilson - Movement One (Beginnings) 7:09

A2 Gondwanaland - Ephemeral Lakes 10:59
A3 The Umbrellas - Orpheus 3:54
B1 Not Drowning, Waving - Water Drops 4:54
B2 Not Drowning, Waving - The Chesire Cat 3:53
B3 John Elder - Bin Dancing 2:35
B4 Michael Atherton - Twirly-Birly 1:49
B5 Chris Abrahams - CFD 4:49
B6 Steve Kilbey - A Sad Little Piano Piece 1:00
B7 Steve Kilbey - Napoleon's Army, Christmas Eve, Outside Moscow 2:40

国内のアーティストやオルタナティヴな音楽を重視した選曲で、1980年開局から音楽ファンの支持を集めたシドニーのFMラジオ局トリプルJ(2JJJ-FM)。AM時代(2JJ)から、局のレコードライブラリーと番組制作の管理を任されていた音楽ディレクターArnold Frolows(アーノルド・フロローズ)のホストにより、84年から毎週日曜日の夜、4時間にわたって放送されたアンビエント専門の音楽番組「Ambience」のコンピレーション・アルバム。リリース元はオーストラリア放送協会が運営するレーベルABC Records。A面は、EMIから日本デビューも果たしたシンセ奏者Andrew Thomas Wilson(アンドリュー・トーマス・ウィルソン)。民族楽器ディジリドゥとシンセ・サウンドを織り交ぜたアボリジナル・ニューエイジの先駆的グループGondwanaland(ゴンドワナランド)。ピアニストPeter Dasent率いるジャズ・アンサンブルThe Umbrellas(ザ・アンブレラズ)。B面は、オルタナティヴ・ロック方面からNot Drowning, Waving(ノット・ドラウニング・ウェイビング)と、The Churchのギタリスト/シンガーソングライターのSteve Kilbey(スティーヴ・キルベイ)。映画のサウンドトラックを手掛けたシンセ奏者John Elder(ジョン・エルダー)。Southern Crossingsのリーダーでマルチ奏者のMichael Atherton(マイケル・アザートン)。後のインプロ・ジャズトリオThe Necksのピアニストで、Room40からのリリースでも知られるピアニストChris Abrahams(クリス・アブラハムズ)。80年代中頃というと、日本ではニューエイジ・ミュージックがジャンルにとらわれない新しい器楽として注目を集め、Shi ZenやGreen & Water、
Sound Forestといったレーベルやシリーズから日本古来の自然観を融合させた新しい環境音楽のスタイルが生まれていた時期。オーストラリアでも日本とおおむね同じ傾向にあって、それが革新的なラジオ番組を通じて、入眠のために、または無音のTVのBGMとして聴かれていた。そんな当時のアンビエント・ミュージックの概観や空気感を、夜のしじまの気配とともに今に伝えてくれる興味深い作品に感じられます。選曲・監修を手掛けたフロローズは長年番組制作を続けた後、メディアから「古過ぎる」と批判を受け、やがて若いディレクターにその座を譲り、トリプルJを退社。その後は、ABC Radioと共同で新しいデジタルラジオ局ABC DiGを開局し、現在も番組制作者として働いているそうです。


Ambience: surrounding, on all sides, relating to mood, atmosphere, environment or milieu. This definition can refer to almost any rhythmic, aural or visual circumstance you may like to choose or find yourself in and it was the unrestricted nature of this word that suggested itself as a title for the four hour 'ambient' programme which I present on the ABC's 2JJJ-FM on Sunday nights. The intention is to offer a body of sound and music which can be utilised as a foreground or background depending on the mood of the listener. Some people use the show to fall asleep to, others for watching TV with the sound off... each to their own. What matters is that the music never deliberately interferes. I hope this album provides you with these options. In late 1984 when Ambience was originally conceived Australian made music of this kind was quite scarce. The situation has changed due in part to the musicians on this compilation.


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2017年3月14日火曜日

[116] 37°C - Sidarta


Label: Discom

Catalog#: DCM-004
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Germany
Released: 2017
DISCOGS  BUY

A1 Sidarta 18:00

B1 Trag 4:22
B2 Pescani Sat 8:17
B3 Izmoreni Putnik 8:12
B4 Vrteska 5:16

東欧セルビアの首都ベオグラードのパーティDisco Not Discoのクルーによって立ち上げられ、旧ユーゴスラビア圏の埋もれた音楽のリサーチ・発掘の拠点となっているレーベルDiscom。電子音楽に焦点をあてた「Yugoslavian Space Program」に続く第4弾タイトルは、ベオグラードで70年代末から短期間活動した、キーボード奏者Zdenko Radeta(ズデンコ・ラデタ)率いるフュージョン/プログレッシヴロック・グループ 37°Cが、1979年にロンドンのスタジオで録音した未発表アルバムを初音盤化。カバーの写真は、クロアチアの著名な彫刻家Dušan Džamonja(ドゥシャン・ジャモニャ)による1973年制作の巨石モニュメント。


1979年、Gary Numan(ゲイリー・ニューマン)がロンドンのグースベリー・スタジオで "Friends' Electric?" を録音していた時、Boban Petrović(ボバン・ペトロヴィッチ)のバックバンドとしても知られる腕利きのミュージシャン達はアルバムを録音するために同じスタジオを予約した。これがKim BandのメンバーBebi Dol(ベビ・ドル)とSilva Delovska(シルヴァ・デロヴスカ)の初めての録音だった。アルバムはヘルマン・ヘッセの小説「シッダールタ」にインスパイアされた曲で幕を開ける。アンビエントでサイケデリックで実験的なこの18分の壮大な曲は、多少なりとも70年代に電子音楽を見据えていたクラウトロックやプログレッシヴロック・バンドのスタイルに符号するが、しかし曲のアレンジは例外で、眠りに誘うようなチェレスタ、表現力に富んだギター、旋律の美しいベース、魅惑的なキーボード、崇高なヴォーカル、慈悲深いサックスとフルート、様々なサウンドやテクスチャーから成り立っている。アレンジのグラデーション、特にそれら楽器の現れ方が非常にエキサイティングである。例えばドラムは、ボーカル、フルート、サックスの後に曲の結尾に現れ、特定のイメージを呼び起こす役割を担っている。非常に珍しいが、しかし歌詞が一切含まれていないことを考えると、その意味は一段とミステリアスである。実際に、曲の構造は小説のシーンに基づいている。主人公シッダールタは、自身の道を見つけて自己を発見するために逆方向に歩みを進めた後に、最高原理=ブラフマンを体験した。曲の中で、バンドメンバーは演奏の極致に達する瞬間まで、最高の知識とスキルをもってムードを高めてゆく。小説と同様に、極致に至った後のパートは、音数の多いその前のパートよりも重要であり、演奏ははるかに複雑になっている。そこに自己を見つけられるかもしれない。B面の4曲は、A面とは構造も雰囲気も異なっている。最初のトラック "Trag (Trace)" は、ベビ・ドルの独特な歌声、2つのキーボードとギターソロが見事な70年代のグルーヴを生み出している。次のインスト曲 "Pescani Sat (Sand Watch)" は、オープンフォームでさらにプログレッシヴな雰囲気。そして、全員の演奏のスキルがフルに発揮された "Izmoreni Putnik (Weary Traveler)" へ続く。
アルバムの最後の曲 "Vrteska (Merry-go-round)" は、11/8拍子のリズムで、奇妙な「ストリートオルガン」のメロディでエンディングを迎える。


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2017年3月8日水曜日

[115] Fergus Clark - Left Alone Mix



昨年6月、Dices & AEM Rhythm CascadeのコラボレーションEP「Thoughtstream」でレーベル活動をスタートさせたグラスゴー拠点のコレクティヴ12th Isle。そのクルー4人のうちの1人で、Warp傘下のオンライン・ミュージックストアBleepのスタッフでもあるというFergus Clark(ファーガス・クラーク)が、昨夏にロンドンのプロモーターLeft Aloneのゲストミックス・シリーズに提供したフォーク/ジャズ/アンビエントのセレクション。Fergus Clarkは、今年2月にNic Tasker主宰の新レーベル88T(88 Transition)からミックステープ「Ode To Pescadoria」をリリース。4月にはOptimo Musicから、同郷のDJデュオOptimoの片割れでレーベルオーナーのJD Twitchとともに第四世界音楽をテーマに選曲・監修を手掛けたコンピレーション「Miracle Steps」がリリースされるとのこと。楽しみです。


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Fergus Clark - Ode To Pescadoria 

va Miracle Steps: Music From The Fourth World 1983-2017

2017年2月28日火曜日

[114] Estancia La Mar - Sesiones de Panamá


Label: Music For Dreams

Catalog#: ZZZV16018
Format: Vinyl, 12", Album
Country: Denmark
Released: 2016
DISCOGS

A1 Botavara 7:43

A2 Términos & Condiciones 6:27
B1 La Casa Del Torero 11:18
C1 Isla Margarita 10:33
D1 El Pacifico Mexicano 8:44
D2 Polaris 7:35

2月のリスニングから。チリ・サンディエゴを拠点に活動するトリオ・プロジェクトEstancia La Mar(エスタンシア・ラ・マル)の新作「パナマ・セッション」。メンバーは、Discos PegaosのオーナーでMotivado名義で活動するハウスDJ/プロデューサーMario Martínez(マリオ・マルティネス)。広告やテレビ向けの音楽を作曲し、オルタナティブ・ポップ・アーティストのプロデュースを手掛けているPablo Muñoz(パブロ・ムニョス)。もう1人は、エレクトロポップ・デュオLos Días Contadosの片割れで、主にクラシックのフィールドでオーケストラやアンサンブルのための曲を作曲しているJuan Pablo Ábalo(フアン・パブロ・アバロ)。3人がムニョスが持つスタジオに集まり、ジャム・セッション形式で録音。メロウなリズム・シーケンス、アトモスフェリックなシンセのコード、マリンバ風のメロディを主軸とするチル・バレアリック・サウンドに、美しい南国の土地をどこまでも旅するようなイメージを喚起させられます。子が生まれて心も体力も余裕なく過ごしていた1ヶ月間、普段のペースに落ち着いたときの安心感やポジティブな気持ちと同調するような、自分のパーソナルな部分に触れた作品でした。Kenneth Bager(ケネス・ベイヤー)が主宰するデンマークのレーベルMusic For Dreamsから2016年12月にリリース。


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