2016年8月28日日曜日

[069] R.I.P. Hayman - Dreamsound, India Transformed


Label: New Wilderness Audiographics
Catalog#: 7914A
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 1980

1 India Transformed 29:20

2 Excerpts from dreamsound, an event for a sleeping audience 29:09

詩人Jerome Rothenberg(ジェローム・ローゼンバーグ)と作曲家/詩人Charlie Morrow(チャーリー・モロー)により、74年にニューヨークで設立された非営利組織New Wilderness Foundation。その音声部門Audiographicsのコレクションが、7月にデジタルリイシュー。77年から84年にかけてカセットテープで出版された全40タイトル中、特に興味をひかれたのが、現代音楽雑誌「EAR Magazine」の編集者であったR.I.P. Hayman(R.I.P. ヘイマン)の作品。A面は、インド旅行中に録音した自身の作曲と、旅先のフィールドレコーディング素材をミックスし、同行者によるスライドやオブジェとあわせ、旅の追体験を通じてインドの民族的霊性を喚び起こすパフォーマンス。B面は、ヘイマンが1976年頃からはじめた、音と睡眠(夢・潜在意識・記憶)の相互作用に焦点をあてたオールナイトイベント「ドリームサウンド」からの抜粋。音楽や美術、または民族儀式と睡眠に関連した事例を取り入れたユニークなプログラムで、Robert Rich(ロバート・リッヒ)の「スリープコンサート」と並ぶ、睡眠音楽史に残る先駆的試みだったそうです。


India Transformed

1975年の冬、音楽家であり「ミュージック・オブ・ザ・ホール・アース」の著者David Reck(デイヴィッド・レック)による企画で、私はインドへ音楽の旅をした。帰国後私は同行者のSari Dienes(サリ・ディネス)とともに「インディア・トランスフォームド」というパフォーマンスをエクスペリメンタル・インターメディア・ファウンデーションで行った。私達は旅行で得た素晴らしい体験や考え方を濃縮し、それを変換した。サリと補助役Virginia Quesada(バージニア・ケサダ)は、スライドと収集したオブジェのアサンブラージュを提示した。私は数時間の習作を録音し、様々な民族楽器を集めてきた。私はこれらを自由な方法でパフォーマンスに混ぜ合わせた。このテープはフォートエドワードのZBSメディア・ファウンデーションで製作され、インドの楽器の演奏と歌「Ganapati」はインド製のテープを使って録音された。実際の旅と同じように、このテープもまた短く多様である。素晴らしい土地のスピリットとマジックを少しでも感じられたらと願う。

Excerpts from dreamsound, an event for a sleeping audience

イベント前の午後の休息のため、私は人前で、様々な音色を生み出す笛を使った長い昼寝のパフォーマンス「スリープホイッスル」を行った。40人に及ぶオーディエンスは、その夜11時以降に寝具を持って温かいスペースに召集された。ホットミルク、カモミールティ、キャンドル、静かなテレビ、暖炉のフィルム、夢をメモするノートを持って到着した客はもてなしを受けた。バックグラウンドの音は、こおろぎ、睡眠や夢をイメージさせる古いポピュラーソング、1/2倍速再生のバッハ作曲ゴルドベルク変奏曲(不眠症のカイザリング伯爵から依頼を受けて18世紀に作曲された「睡眠のため音楽」の初期実例)、アイヌ・シャーマンのチャント、マレーシア・テミアル族のドリーム・ソング、サインウェイヴのビート・・・聴衆は一度腰を落ち着かせてから、イベントの目的とプランについてレクチャーを受けた。「睡眠・夢と音の効果」に関する科学的事実、古代から現代までの睡眠儀式の歴史、宗教と芸術における「夢」・・・その間、人々はゆっくりフォーマル・スーツから寝巻に着替えて、話をききながら歯を磨いた。
「ダリの居眠り」のパフォーマンス:椅子に座りスプーンを持って、リラックスして眠りに入ってゆく。スプーンが手から落下すると、床に落ちた音で目が覚め、リフレッシュする。(眠りに入った時に見る夢を描きとめたというダリの逸話から)
幽霊に関する会話を盗み録りした「ゴースト・カートゥーン」テープはビジュアル・エフェクトとともに再生された。チベタンベルのテープは、睡眠中の自己暗示的なプレイバックの声を記録する際に再生された。深夜のテレビ番組が始まる前、熱した物体をドライアイスに入れてガスの音を発生させるパフォーマンスが行われた。
徐々に暗くなっていった。ピアノとエレクトロニクスを使った "spirits"、スローなフルートの "taps"。ポイントレイズ国定海岸の波とフォグホーンのテープは皆が眠りにつくまで再生された。夜の静けさと間欠的な音響効果は、足音、雨、走り去る車、心拍音、電話の受信音、笑い声、時計、ゴボゴボいう川、ゴロゴロいう猫、風、赤ちゃんの寝息など・・・眠る人のソフトな寝言。お香・チーズ・スパイスの香り。枕元にはいい匂いの花。夜明けには鳥が鳴き出した。キッチンでの朝食:コーヒー、お茶、ジュース、フルーツ、パン、チーズ、ペイストリー、そして夜に体験した夢に関する質問と議論と、無くなるコーヒーの連続。

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2016年8月21日日曜日

[068] Daniel Schmidt - In My Arms, Many Flowers


Label: Recital
Catalog#: R17
Format: Vinyl, LP, Album
Country: US
Released: 2016

A1 And the Darkest Hour is Just Before Dawn 12:29

A2 In My Arms, Many Flowers 7:06
B1 Ghosts 13:56
B2 Faint Impressions 10:17

1970年代、サンフランシスコ・ベイエリアの現代音楽シーンに現れた
ダニエル・シュミット(b. 1942年)は、アメリカのミニマリズムと伝統的なガムランをミックスさせた作曲家。ルー・ハリソン、ジョディー・ダイアモンド、ポール・ドレシャーとコラボレートし、アメリカにおけるガムラン音楽の発展に寄与した主要な存在である。現在、彼はミルズ・カレッジで楽器製作を教えている。「In My Arms, Many Flowers」は、1978年-82年の間に録音されたシュミット自身のパーソナルなカセット・アーカイヴから選ばれた、2のスタジオ録音と2つのライブ・パフォーマンスで構成されている。ジョン・アダムス委嘱による "Dawn" は、ポーリン・オリヴェロスから提供されたデジタル・サンプラーを使った曲で、弦楽四重奏のサウンドを感じることができる。滑らなガムランのもとで波打つ弦の海息をのむほど美しいインタープレイ。続くタイトル曲では、伝統的な弦楽器ラバーブがフィーチャーされている。後半の2曲は、忠実なガムランのコンポジション。"Ghosts" は、彼の精巧なスキルがよく表れた、多幸感に満ちたダイナミックな曲。"Faint Impressions" は、暗く沈んだ哀歌。夕刻のピアノソナタのように鳴り響くこの曲は、ガムランが有する可能な限りの繊細さと気品を実証してみせる。このアルバムは、共鳴する金属の断片に隠された複雑な感情と不思議な美しさを映し出す、アメリカ現代音楽に埋もれたムーブメントのユニークなドキュメントである。 - Recital


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2016年8月19日金曜日

[067] Jeff Tobias - Some


Label: Soap Library

Catalog#: SL001
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 2016

1 Rex 6:25

2 Serene Clientele 6:21
3 Fire and Rain (Take 2) 5:30
4 Before and After Nature 20:05

Over the course of an exceptionally active decade living in the psychotropic scene of Athens, Georgia, Jeff Tobias claimed membership to heaps of bands (Dark Meat, Pegasuses XL, We Versus The Shark, Nutritional Peace, and Quiet Hooves are perhaps known to those of you the wiser.) “In 2011, all of my bands broke up at the same time” - here begins the story of 'Some', an offering of solo and collaborative works spanning the years 2011-2014 by composer and multi-instrumentalist Jeff Tobias. 

Creatively suspended and mulling over next steps, a cogent vector arrived in the form of a loaned DVD-R copy of Alan Licht’s 'Minimal Top Ten / The Next Ten / Minimalism Top Ten III', spurring a powerful shift in Tobias’ artistic identity. “I was an avowed fan of the greats of minimalism - Steve, Phil, Terry, et. al. - but apparently I'd never dug in with sufficient vigor. Giusto Pio, Roberto Cacciapaglia, The Lost Jockey, Anthony Moore, and most saliently, Arnold Dreyblatt, all made immediate and indelible impressions on my idea of what a composer could be.” 
'Some' contains singular moments from this existential and creative tide change. Side A closer “Fire & Rain,” a raw ensemble piece performed live by Tobias and friends on his final day in Athens, foretells later experimentations at Brooklyn College’s composition program. See: the ecstatic yet refined Side A opener “Rex,” recorded in a ramshackle studio after a particularly inspiring breakfast. 
Tobias conversely shows intriguing range in his unaccompanied works. The meditative and continuous “Serene Clientele,” recorded at home in Athens, examines the relationship between time and improvisation, as Tobias reveals: “That piece was started by setting a keyboard arpeggiation on a loop, going for a walk, then returning and doing whatever else felt natural.” Twenty-minute environmental piece, “Before & After Nature,” magnifies this exploitation of the ephemeral: “I recorded a saxophone improvisation on my rooftop in Crown Heights a few hours before Hurricane Sandy struck...the organ improvisation during the storm, and a second saxophone improvisation on my rooftop after the storm had passed.” 
'Some' is a product of the liminal spaces in Tobias’ development as a composer. Jeff currently lives and works in New York City, where he continues to perform in groups including Sunwatchers, Reps, KATIEE, and in collaboration with artists including David First, Matana Roberts, Dan Friel, Greg Fox, Justin Frye, and others. - Soap Library

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2016年8月12日金曜日

[066] Monte Maxwell - Midnight In The Caverns


Label: -

Catalog#: -
Format: CD, Album
Country: US
Released: 2001
DISCOGS

1 Shenandoah (American Traditional) 2:37

2 Danny Boy (Irish Traditional) 3:36
3 Amazing Grace (John Newton) 3:10
4 Red River Valley (American Traditional) 3:07
5 America The Beautiful (Samuel A. Ward) 3:03
6 Eternal Father (Charles Villiers Stanford) 2:58
7 Prelude In C Minor (Frédéric Chopin) 2:00
8 Moonlight Sonata (Ludwig van Beethoven) 6:56
9 Traumerei (Robert Schumann) 3:42
10 Greensleeves (English Traditional) 3:07
11 Pastoral Symphony (George Frederick Handel) 4:28
12 Für Elise (Ludwig van Beethoven) 3:35
13 Simple Gifts (Shaker Traditional) 2:42
14 Silent Night (Franz Grüber) 3:28
15 Four Of The Musical Clocks (Franz Joseph Haydn) 5:39
16 Beautiful Dreamer (Stephen Foster) 2:55
17 Prelude In A Major (Frédéric Chopin) 3:04

1878年に錫職人と地元のカメラマンによって発見された米ヴァージニア州シェナンドー渓谷の鍾乳洞の1つ、ルーレイ洞窟。その奥深くにある鍾乳石の部屋に仕組まれ、名物となっているのが56年製造のグレート・スタラクパイプ・オルガン。スタラクパイプとは、鍾乳石を意味するstalactite(スタラクタイト)とpipe(パイプ)を組み合わせた造語で、その名の通り、通常の金属パイプのかわりに西洋音階に調律された37本の鍾乳石をゴムマレットで響かせるという大掛かりなリソフォン。古いポストカードを見ると、20世紀初頭には鍾乳石を楽器として叩くパフォーマンスが行われていたようです。スタラクパイプ・オルガンの発案は科学者でありオルガン奏者のLeland W. Sprinkle(リーランド・W・スプリンクル)。コンソールの設計は北米の老舗パイプオルガン・メーカーKlann Organ Supply。世界最大級の楽器として人気観光スポットとなったルーレイ洞窟のギフトショップでは、当初Sprinkle自身による演奏を収めたレコードが販売されていましたが、そのオリジナル音源にシンセを使ってアレンジを施したのが本作。演奏者はテキサス州出身のチャペル・オルガン奏者Monte Maxwell(モンテ・マクスウェル)。気の遠くなるような歳月をかけて形成された幻想的な空間に響き渡るシェナンドーやアメイジング・グレイスといった民謡・賛美歌・クラシックの有名曲──その厚みのあるやわらかな音色と、時おり滴り落ちる雫の音。ウトウトと眠くなるような何とも懐かしい心地に誘われます。


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2016年8月11日木曜日

[065] Julio Pimentel - Kriya Instrumental


Label: -

Catalog#: -
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Brasil
Released: 1992-93?

A1 Chá 5:27

A2 Bambú 5:29
B1 Gersal 4:43
B2 Banho De Césio 6:17
B3 Vinheta 2:07

身体を使って音を出すボディビートボックスのワークショップや、打楽器アンサンブルとして活動しているオランダ・ロッテルダム在住のピメンテル一家=Kriya Familia(クリヤ・ファミリア)。その一人、8歳の頃に活動をはじめた息子Julinho(ジュリニョ)ことJúlio César Hagen Pimentel(ジュリオ・セサー・ハーゲン・ピメンテル)は、ジャグリングボールを打楽器のように操りながらリズムを刻むジャグリング・アーティストで、若きリーダー的存在。彼らがコンサートの成功を期にオランダに移住したのが2001年。その以前はブラジル・リオデジャネイロ隣の町ニテロイを拠点に、陰陽思想に基づく玄米菜食や自然療法を実践し、ヨーガやダンス、音楽を勤しむコミューン的規模の創作生活を送っていました。その一家の支柱が、Julinhoの父親であるJúlio César Pimentel(ジュリオ・セサー・ピメンテル)。本作「クリヤ・インストゥルメンタル」は、マルチ奏者である父Júlioが作曲・コンセプト・振り付けを主導し、馴染みのジャズ・プレイヤーたちと録音した自主制作盤。8人兄弟の写真の中に1-2歳のJulinho(90年生まれ)の姿が写っているので、おそらく92-93年頃のリリースと思われます。父Júlio以外の主なメンバーは、Geraldo Brandãoがシンセ、Ezio Filhoがベース、Marcelo Martinsがサックスとフルート、Caetano Rotundoが打楽器という編成。水甕のヒタヒタとした音が響く "Chá" は、代謝を整え病気を治すために彼らが飲むハーブティのこと。玄米食に欠かせない胡麻塩を作る "Gersal" は、胡麻を炒るチリチリという音にはじまり、小刻みに打ち鳴らされるコンガ・ボンゴ、乳鉢を搗くリズム、ガスボンベの金属音。"Banho De Césio"(セシウムのお風呂の意)は、放射性廃棄物用の黄色いドラム缶を再利用したお風呂を叩く音、南インドの太鼓ムリダンガム、子ども達の声やバシャバシャという水の音クリヤ・ファミリアの生活に息づく様々な音を使い、その理念をパーカッシヴなエスニック・ジャズで表現した、迸るような生命感を放つ作品です。



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