Catalog#: Heresy 017
Format: CD, Album
Country: Ireland
Released: 2015
DISCOGS
1 Chalant 9:15
2 Voices Of Parents 5:14
3 Back In Time 4:12
4 Jonathan Prelude 2:21
5 Coat-hanger Kisses 9:58
6 Wassane 10:27
7 Back From Hospital 2:33
8 It's Very Serious 3:09
9 Salomé At The Gate 10:14
10 Birth 3:55
11 Departure 10:37
1949年ダブリン生まれ。「アイリッシュ・エレクトロニカの祖」と称えられる作曲家Roger Doyle(ロジャー・ドイル)。9歳で作曲をはじめ、アイルランド王立音楽学校在籍時に管弦楽に取り組むかたわら、ジャズ/ロックの打楽器奏者として活動。ユトレヒトのソノロジー研究所やフィンランド放送実験音楽スタジオで電子音響を攻究し、同時期にエレクトロアコースティック曲「Fin-estra」、その手法に室内楽や民族音楽を混成させた奇態な初期作「Oizzo No」「Thalia」などを制作。80年代に入ると、女優Olwen Fouéré(オルウェン・フエレ)と音楽劇団Operating Theatreを組織し、戯曲や映画のためのスコアなど、劇場を中心としたマルチメディアな活動を展開。その後もソロでは、ピアノを中心とした小編成のアンサンブルやシンセの多重録音で、10年の歳月を費やした大作「Babel」をはじめ、古い時代のシアターを夢想するような薄暗いノスタルジアと実験性が交差する「耳のための映画」を創作しています。本作「Time Machine」は、御齢66歳のDoyleが、オペラ・ディレクターEric Fraad主宰のレーベルHeresyから発表した2015年作。80年代の終わり、ダブリンのメリオンスクエアの最上階でボヘミアン的生活を送っていたというDoyleの自室にあった留守番電話、そこに残されていた家族や友人たちのメッセージ、さらに本作制作中に生まれた孫と息子パーヴォへ送った電報をめぐり、過去に感じていた作曲家の孤独感、そして未来に目を向けはじめた現在へ至る、人生の回想録的な眼差しをオーバーラップさせながら、ひとつの劇として組み上げたもの。元々はPsychonavigationからリリースした「Chalant - Memento Mori」(メメント・モリは「死を想え/死を記憶せよ」というラテン語の警句)を、曲を少なくし、タイトル/ビジュアルとも「音の記憶性=タイムマシン」を前面に発展させた内容ですが、Doyleのアルバムには古いモチーフが度々現れたり、過去のアルバムの構成に手を加え、作曲年の隔たりを越えた様々なアイデアを組み合わせたりと、作品の形を変えることをいとわずに更新/派生させてゆくスタンスをとられているようです。
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曲中のメッセージについて(CDブックレットより)
2) 1989年の元日、私はブルージュ実験音楽集会からフランス革命200周年祝典へ向けた32人の作曲家のひとりに委任された。
3) 息子パーヴォが10か11歳の時にメッセージを残してくれた。
5) 80年代の終わり、私はメリオンスクエアの同じ建物に住んでいたアナウンサー/ジャーナリスト、ジョナサン・フィルビン・ボウマンと親しい仲になった。2000年、悲しいことに彼は事故で31歳でこの世を去った。この即興的な「意識の流れ」は89年、彼が20歳だったときのもの。
6) 孫のオイシンのために2011年に作曲。
7) 喘息のため入院することになった87年5月、女優オルウェン・フエレ、友人のハイケ・ハイリヒ、トリニティ・カレッジの論理学/哲学者ロス・スケルプトン、息子パーヴォがお見舞いのメッセージを残してくれた。彼らは私に禁煙することを決意させた。
8) 発信者不明だった。1年後、それが友人のダニエル・フィギスとヴィンセント・ドハーティによる悪戯だと分かるまで恐ろしく、とても気がかりだった。
9) これらのメッセージは主に88年の4月19日、ダブリン・ゲート劇場での「サロメ」(オスカー・ワイルドの戯曲)公演初日を終えた朝に録音された。オルウェン・フエレは「サロメ」を演じ、その監督を務めたのがスティーヴン・バーコフだった。私はその2時間にわたる付帯音楽を作曲し、舞台でライブ演奏を行った。
10) 息子パーヴォと私。2011年1月28日、祖父になったことを告げるコンピュータ合成音声(Eircom: アイルランドの通信会社)。
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