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2017年5月24日水曜日

[129] Old Man Archive

Sense of Guilt
The Remnants of Love
Across the River

OLD MAN ARCHIVESは、日常のふとした場面で遭遇する老人たちの生きた語りをフィールドレコーディングで採集し、 カセットテープ(不可逆的な記録メディア)に封じ込めるプロジェクトです。 そこには個人の名や顔ではなく、ただ記憶だけが、背後に鳴り響く日常のノイズと共に刻み付けられます。/ 各作品は老人の年齢の数だけ生産し(例:93歳 = 93本)、追加生産は行いません。

OLD MAN ARCHIVES is a project which conducts field-recording of living monologues by elderly people whom we met in various daily situations. In the cassettes, memories echoing behind everyday noises are recorded aside from the individual’s name nor face.

Old Man Archive
publishing project based in Japan

2015年11月27日金曜日

[015] Tiny Music - Epitaph


Label: Notice Recordings
Catalog#: NTR019
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 2011
DISCOGS

1 Side A 14:46

2 Side B 16:19

フォークロア・リスニング②。「樹木はもちろん、ホラ貝や骨、あるいは太鼓類に使う皮革やバグパイプに使う内蔵など、生き物のカラダや亡骸を使うことによって成立する、他の生命やその死との共有によって成り立つのが楽器の音」。古雑誌をめくっていたところ、民俗楽器に関する記事の中にこのような興味深い文章がありました。楽器は古くから霊性を媒介するための道具として用いられ、また、長い進化過程では人々の生死が刻み込まれてきたもの。そこには固有の歴史性・記憶・時間感覚が残り、演者の意にかかわらず楽器自身が無言で語るメッセージがあるだろうと考えました。

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Tiny Musicはシカゴの即興カルテット。2009年から2010年にかけて録音。クレジットによると貝製シャンデリア、トーンジェネレーター、塩ビ管、風船、ソケットレンチ、ヤギの皮で作った楽器、カセットプレーヤー、オルガンの足、ボウル、ハーモニカ、ブロンズ製オーナメント、コートハンガーのゴムバンド、サイレンホイッスル、バイオリン弦で結われた木馬、チェーン、シンバル、金属板の欠片、パイプオルガンの木製パイプ、ノコギリ、ワイングラス、バグパイプの主唱管など、不完全な楽器を本来とは異なる方法で用いたり、身の回りの壊れた道具に細工を加えたりと、様々なサウンド・オブジェクトを床に雑然と並べ、四者が思うままに手にとって音を出す。A面は物音中心で、ギシギシとした軋み、カタカタ、カラカラと重なる音の小片に、動物のようなうなり声。B面は壊れたアコーディオンやオルゴール、バンジョーなど楽器をメインに、酷く歪なチェンバー・ミュージックの様相。タイトル「墓碑銘」はおそらく「道具の墓場」のことと思いますが、道具と人との営みの終局に「老いた道具たちの語り」を起こすオーラリティ(聞き書き)としての演奏が記録されているようにも聞こえます。Notice RecordingsはEvan Lindorff-ElleryとTravis Birdにより2009年にシカゴで設立、現在はポートランドを拠点とする実験音楽レーベルで、2015年秋の最新リリースはLoren ChasseとRafael Toral。


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 Loren Chasse - The Sodden Floor (2015)

Rafael Toral - Space Collective 2 Live (2015)

2015年11月24日火曜日

[014] Michael Tanner - Music For Three Hills


Label: -
Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: UK
Released: 2015

1 The Green Crown i 11:27

2 The Green Crown ii 11:34
3 Phase Shift 16:11

フォークロア・リスニング①。ある演奏会に参加したとき、静かに発せられる音に演奏者の内面性が滲んで見え、ふと「弧のフォークロア」という言葉が頭に浮かびました。フォークロアとは人々(folk)の知恵(lore)という意味で、一般的には村や郷といった集合体の中で生まれた習俗や伝承を指す語。でも、その最小単位である人間一人が、自分自身のために身につけた知恵も同じようにフォークロアといえるのだろうかと。それは悩みや憂いといった他者に容易に伝えることのできない感情を含み、たとえ自分の子であっても委ねることができず、静かに抱えて死んでゆくような寡黙なものかもしれない。誰かに継承できないほど私的なもので、次の代も同じようにくり返す。フォークロアは、そのように「個人性」と「集合性」の両面で成り立っているように思いました。人が死ぬ時、そのフォークロアはすっと消えてしまうのではなく、エッセンスやスピリットとしてその場に残り続け、道具であり、建物であり、人の通ったところに経験として蓄積されるとしたら、それは道具や建物のフォークロアといえるのかもしれません。フォークロア・リスニングとは、大きな区分のエスノロジーに限らず、人・物・場所に内在する固有の記憶や気配への耳を差し出し、その音を一旦音楽の域から離すことで、楽器・空間・時間による独り語りの先を想像してみること。

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イースト・サセックスを拠点に活動する作曲家/エンジニア、PlinthことMichael Tanner(マイケル・タナー)によるサセックス・ワークス最終作は、2014年の春、キーが壊れた古いアコーディオンを携えてモーリングダウンの3つの丘を登り、コテージに泊まりながら丘ごとの頂上で録音した3つの即興演奏。「音楽」や「曲」ではなく「シンプルに風景と対話した記録」。古いアコーディオンは和音ボタンのみが生きていて、それも気まぐれに予想外の音を発したといい、グレインサックのような粗い触り心地のドローンが、時おり鳥や羊たちの鳴き声や飛行機の音と交わる。作者はこれまでも民間伝承や古い音楽機械をモチーフとしていますが、ロングフォームのサセックス・ワークスでは特にメランコリックな詩情や静かな祈りのようなアンビエンスが醸成されていて、フォークロアの両面(土地と個人)と音との関係を意識させられます。


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