2026年7月22日水曜日

ayanama - ayanama


Label: Uncharted Worlds
Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: UK
Released: 2022

1 Home Phone 3:20
2 Palmetto Cove 5:34
3 East River Lawn 4:01
4 Where To? 3:29
5 Offset Wave 3:21
6 Kala 5:39
7 Water Mirror 3:06
8 Blue Like Clouds 11:14

夢のなかの通勤時間。都市の境界を越え、海岸線の向こうに広がる深い緑の野原へ。振り返ると遠くに街がぽつんと佇んでいる。───アルバムに添えられた短いテキストには、そのような空想の風景が淡々と描かれています。
本作は、「Ayanama」という架空都市を舞台にしたサウンドトラックのような作品。通り過ぎることはできても、行こうとすると不思議と辿り着けない、淡く儚いユートピアめいた場所。ギターを中心にエレクトロニクスや環境音で構成された、軽やかで心地よいインストゥルメンタル。前半でどこか懐かしい感覚を覚えるのは、2001年の夏(25年も経つのですね)に繰り返し聴いていたRay BarbeeのEPの記憶と重なるからかもしれません。後半へ進むにつれ、より穏やかなアンビエントへと表情を変えていきます。

Ayanama is a sprawling metropolis of glittering spires and shimmering iridescent textures. A city of a future that will never arrive, where silent transit systems glide smoothly past manicured public parks and towers that arc and twist towards the sun. They carry you as you look out the window at the shining city below, slipping beyond its borders – down to the old grey coastline and the deep green fields beyond it. Walking out, you sink into the long grass and look back at the city behind you.

...

2026年7月20日月曜日

A Past Mix Inspired by the Windham Hill Sound



以前LYL Radioで担当していた「Mori To Kiroku No Ongaku」のアーカイブをYouTubeに公開しました。拙いトークや特集部分を省き、純粋なミックスのみで再構成しています。2019年1月放送の第9回前半は、Windham Hillサウンドに着想を得たセレクション。Fred SimonやMark Ishamといった同レーベルゆかりの作家のほか、直接つながりのないアーティストの楽曲も多く交えながら、Windham Hillのイメージを自分なりに解釈した選曲になっています。

A selection of new age/ambient, inspired by the Windham Hill sound, comprising the first half of the 9th episode of Mori To Kiroku No Ongaku. Originally broadcast on LYL Radio on January 4, 2019. I hope you enjoy it.


tracklist:
Erik Wøllo - Hjallepallo
Karsten Brustad - Eve
Peter Maunu - Broken Blossoms
Paul McCandless - Cloudy This Morning
Fred Simon - That Fall
Conrad Praetzel - Harlequinade
Shur-I-Kan - Awakenings
Schönherz & Scott - Gold Or Ivory Or Purple
Mark Isham - The Invitation
Nobukazu Takemura - Pastral Waltz
Michael Whalen - Close Your Eyes, The Right Approaches
Altocamet - Triste Calor (Wechsel Garland Remix)
Alieno De Bootes - Giorni Di Vento (Edit)

2026年7月17日金曜日

Vasco Martins - Island Of The Secret Sounds


Label: Celluloid
Catalog#: 66975-2
Format: CD, Album
Country: France
Released: 1996

1 Secret Sound No.1 5:51
2 Secret Sound No.2 4:16
3 Secret Sound No.3 4:22
4 Secret Sound No.4 2:57
5 Secret Sound No.5 9:18
6 Secret Sound No.6 4:03
7 Secret Sound No.7 4:01
8 Secret Sound No.8 3:56
9 Secret Sound No.9 6:38
10 Secret Sound No.10 2:59
11 Secret Sound No.11 2:13

Canela En Surcoからの再発で注目を集めた、カーボベルデの音楽家Vasco Martins(ヴァスコ・マルティンス)。彼が昨年秋に逝去されたことを最近になって知りました。享年69歳。
モルナやコラデラといった伝統音楽をベースにしながら、同国初となる本格的な現代クラシック交響曲を作曲し、芸術音楽の土壌を築いた人物。また、国内にフルオーケストラが存在しない環境のなか、表現の手段として80年代からシンセサイザーとMIDIシステムを積極的に導入。当時の保守的な音楽界から激しい批判を受けながらも、カーボベルデにおける電子音楽の可能性を切り拓いた孤高の先駆者でもありました。
マルティンスの作品が海外リスナーに広く知られるようになったのは、ニューエイジ再評価が進んだ2010年代以降のこと。しかし本人はそのジャンルで括られることを好まず、シンセサイザーを用いた創作においては「South Bound Music(南へ向かう音楽)」という理念を掲げていました。チベット仏教や東洋の瞑想音楽、宇宙へのイマジネーション、大西洋の豊かな自然。アフリカ西海岸の島国というごくローカルな地から、「人間と空の間にある垂直の宇宙」を見上げるように、普遍的な領域へと意識を開いていくスピリチュアルな音響表現を探求し続けました。本作「Island Of The Secret Sounds」は、「South Bound Music」シリーズの一環として1996年に発表されたアルバム。サン・ヴィセンテ島の砂浜や平原、丘陵、街を歩き巡り、そこに潜む「Secret Sounds(秘密の音)」に耳を澄ませ、シンセサイザーの音響へと変換させています。マルティンスの創作と自然との関係を追ったドキュメンタリー映画のタイトルにもなっていますが、その芸術思想が最も純粋な形で結実した作品の一つだと思います。

過去に一度、マルティンスさんに「Oceano Imenso」(1986年発表のシンセ作品)をデジタル配信してほしい旨のメールを送ったことがありました。残念ながら現在も配信されていませんが、その時期に制作していると話されていて、後にリリースされたアルバムが「MAR」。海からインスピレーションを得たという作品で、オーバーダブや編集を施さずに仕上げられています。

...

2026年7月14日火曜日

Kevin McCormick & David Horridge - Light Patterns


Label: Smiling C
Catalog#: SC#07
Format: Vinyl, LP, Album
Country: US
Released: 2021 (1982)

A1 Glass Dreams 4:51
A2 Last Chances 3:12
A3 Coast Lines 4:07
A4 Dance For Two Strangers 2:23
A5 Jules & Jen 3:13
B1 Sandpatterns 3:55
B2 Reflections 3:07
B3 Quickdance 3:31
B4 Highlife 4:19
B5 Sunshowers 2:12
B6 Special Places 3:12

マンチェスターを拠点に活動していた2人のギタリスト、Kevin McCormick(ケヴィン・マコーミック)とDavid Horridge(デヴィッド・ホーリッジ)。初期Pink Floydのプロデューサーとして知られるPeter Jennerが設立したSheet Recordsから1982年に発表された唯一のアルバムを、カリフォルニアのレーベルSmiling Cが正規再発。発掘されるまで存在すら知らなかった作品ですが、近年のリイシューの中でも特に印象に残っている一枚です。
2人が出会ったのは1970年。地元の小さなクラブで演奏していたマコーミックと、いくつかのバンドを掛け持ちしていたホーリッジ。ともに空気感や間を重視した音楽を志向し、その感覚を共有できる相手を探していたことから意気投合。マコーミックの実家でジャムセッションを重ねながら、デュオとしてのサウンドを少しずつ形にしていきました。70年代後半のマンチェスターは、Joy DivisionやThe Fallをはじめとするポストパンク勢が台頭していた時代。しかし彼らはそうしたシーンとは距離を置き、John MartynやDavid Crosbyらの影を追いかけながら、シンプルな編成でジャズとフォークの境界をたゆたうような独自のインストゥルメンタルを追求しました。本作に収められた11曲は、自宅の簡素な録音環境で古いアナログ機材とカセットデッキを使って制作されたもの。ミニマルなアルペジオの反復、メランコリックな旋律に即興性を織り交ぜた静かなアンサンブル。2人の楽曲がほぼ交互に並べられ、アルバム全体がローファイでくぐもった質感に貫かれています。同郷ということもありThe Durutti Columnを引き合いに出されることも多いですが、彼らの音楽はよりメロウでリラックスした雰囲気があり、もやがかった淡い白昼夢のような佇まいと繊細な感性は、フランスのDidier BoninやドイツのG. B. Beckersにも近しく感じられます。
この再発盤で目を引いたのが、オリジナルLPのジャケットを手がけたグラフィックデザイナーBarney Bubbles(バーニー・バブルス)に関する資料。インナースリーブには、ジャケットのラフスケッチやコンセプトを書き記した2人宛ての手紙をはじめ、代表的なデザインワーク、1983年に亡くなった際のNME誌の追悼記事が掲載されています。バブルスの手紙によると、オリジナル盤はライトグレーを基調に淡いピンクとグリーンを配色することで、ハレーションを起こしてゆっくりと動いて見える視覚効果を意図していたとのこと。2色の淡いインクは、2人の音楽を光に見立てたものだったのかもしれません。再発盤ではタイポグラフィの配色がモノトーンに置き換えられ、よりモダンな印象へと再構築されています。音楽だけでなく、デザインの背景にもフォーカスを当てた素晴らしいリイシューワークだと思います。

...

[related]

2026年7月12日日曜日

Ex-Terrestrial - Blue Smoke



カナダ・モントリオールを拠点に活動するプロデューサーEx-Terrestrial(エクス・テレストリアル)が、バンクーバーの地下レーベル1080pから2016年に発表したデビューEP「Paraworld」より。90年代チルアウト直系のレイドバックしたミッドテンポ・ブレイクビーツと、靄がかかったようなアトモスフェリックなシンセによる鎮静的なムードが心地よいトラック。ニューエイジ・ダンス/ローファイ・ハウスの潮流において重要作と評価されたのも頷ける、古びることのないクラシック。2019年には自身が運営に関わるレーベルTempleから再発。


Ex-Terrestrial - Paraworld EP
reissue on Temple (2019)

2026年7月9日木曜日

The George Shearing Quintet and Orchestra - Blue Chiffon


Label: Capitol Records
Catalog#: TOCJ-9708
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2011 (1959)

1 Love-Wise 3:00
2 For Heaven's Sake 2:45
3 Nocturne 2:31
4 Young And Foolish 2:43
5 Nina Never Knew 2:59
6 Kinda Cute 2:54
7 I'm Old Fashioned 2:58
8 I Love You 2:44
9 Welcome To My Dreams 2:47
10 My One And Only Love 5:46
11 I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life 2:33

「シフォン」とは、絹糸で織られた薄く柔らかな生地のこと。ブルーを基調とした美しい紙ジャケットに惹かれるまま、特に深く掘り下げることもなく親しんできた作品。当時のジャズについて知識もなく疎いのですが、優美なストリングスと落ち着いたタッチのピアノ、絶妙なラテン風味が心地よく、体温を少し下げてくれるようなムーディなチルアウトジャズとして聴いています。リーダーであるジョージ・シアリングは1919年イギリス生まれ、2011年2月に91歳で逝去。紙ジャケットCDはその報せを受けて追悼盤として再発されたものでした。かつてイージーリスニングやライトミュージックと呼ばれた音楽は、決してイージーでも軽々しくもなく、妥協せずしっかりと作られた贅沢なものだったのだと改めて気付かされます。

...

2026年7月6日月曜日

The Opposition - Blue Alice Blue


Label: Opposition Declic
Catalog#: BSD 012-2
Format: CD, Album
Country: France
Released: 1990

1 The Man Who Almost Shaves 4:56
2 Calling Home 4:03
3 Do You Know How That Feels ? 4:08
4 Crawl To Me 3:27
5 War Cries 3:03
6 Deep Down Blue 5:28
7 Her First Migraine 4:36
8 Digging For Water 3:54
9 Blue To Grey 2:27

最近出会って愛聴している一枚。アートワークの雰囲気から2000年以降のインディポップ作品かなと思いましたが、そうではなく1990年リリース。英サウスロンドンを拠点に80年代初頭のポストパンク期から活動を続ける3人組ロックバンドThe Opposition(ジ・オポジション)の通算5作目。ポッププロジェクトSo名義の活動を経て、バンド再始動後初のアルバムなのだそうです。シングル向きの軽快なオープニングから、ギターカッティングが印象的な「Calling Home」、ミドルテンポの佳曲「Do You Know How That Feels」や「Her First Migraine」など、聴き込むほどに味わいを増すメロウな楽曲ばかり。80年代後期から90年代初頭にかけて成熟したAOR系ネオアコースティック・サウンドの魅力が詰まっていて、聴きどころが多い好盤ですが、The Bible「Eureka」やThe Big Dish「Creeping Up On Jesus」に通じる渋好みな作風ゆえ、当時のシーンでは商業的に苦戦したであろうことも容易に想像できます。リリースされたのは本国イギリスではなく、フランスとポーランド。このフランス盤は自主制作とみられます。

An album I recently discovered and have been enjoying quite a bit. Based on the vibe of the artwork, I thought it might be an indie pop release from the 2000s or later, but it was actually released in 1990. This is the fifth album by The Opposition, a three-piece rock band based in South London that has been active since the early ’80s post-punk era. Apparently, this was their first album after reviving the band following their activities under the pop project name “So.”
From the breezy, single-ready opener to “Calling Home” with its striking guitar cutting, and fine mid-tempo tracks like “Do You Know How That Feels” and “Her First Migraine,” the album is filled with mellow songs that reveal their depth the more you listen. While it is a fine record packed with the charm of the mature, AOR-inflected neo-acoustic sound of the late ’80s and early ’90s, it’s also easy to imagine that it struggled commercially at the time due to its understated, connoisseur-appealing style—reminiscent of The Bible’s Eureka and The Big Dish’s Creeping Up On Jesus. It was released not in their home country of the UK, but in France and Poland. This French pressing appears to be a self-released edition.

...

2026年7月4日土曜日

Max Essa - Lanterns


Label: Music For Dreams
Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: Denmark
Released: 2018

1 Lights Painted For A Road Trip To Spain 5:49
2 Beautiful Western River 2:46
3 Orange Trail 5:06
4 I Love You Today Too 4:09
5 Orbis Sensualium 2:25
6 Lanterns 7:02
7 Breakfast In Yutenji 4:44
8 Twenty Types Of Dusk 5:47
9 Fanfare For Shadows 2:54

東京を拠点に活動するDJ/プロデューサーMax Essa(マックス・エッサ)が、デンマークの名門Music For Dreamsから発表したフルレングスアルバム。リリースから8年経った今も変わらず、折に触れては聴いている作品です。心地よいグルーヴを軸としたニューディスコ路線の前作「Won Ton Sunset」から趣を変え、本作は旅先で出会った静かな時間や風景を映し取るような内省的でパーソナルなリスニング・サウンドへ。後に和製アンビエント/チルアウトの編集盤「Oto No Wa: Selected Sounds of Japan 1988-2018」を共同監修するMax Essaですが、本作にも環境音楽のエッセンスが随所に織り込まれ、とりわけInterior(s)の美学を現代的な視点でアップデートしたような佇まいが感じられます。アートワークはサンセットの光と影を抽象化したイメージでしょうか。ダンスとメディテーション、イージーとディープの穏やかな汀線。本作の延長線上にある「Miró In The Bathroom」とあわせて。

A full-length album by Tokyo-based DJ/producer Max Essa, released on the renowned Danish label Music For Dreams. Even now, eight years after its release, it remains a piece I find myself returning to from time to time.
Shifting away from the comfortable, groove-driven nu-disco approach of his previous work, Won Ton Sunset, this album turns toward an introspective, personal listening sound, reflecting the quiet moments and landscapes encountered on a journey. While Max Essa would later co-curate the Japanese ambient and chill-out compilation Oto No Wa: Selected Sounds of Japan 1988–2018, the essence of environmental music is woven throughout this work, creating a presence that feels like a contemporary update of Interior's aesthetics. The artwork seems to abstract the light and shadow of a sunset. A gentle shoreline between dance and meditation, the easy and the deep. To be enjoyed alongside "Miró In The Bathroom," which lies on the same continuum.

...