2016年6月22日水曜日

[056] Osso Exótico - V


Label: AnAnAnA

Catalog#: III001
Format: CD, Album
Country: Portugal
Released: 1997
DISCOGS

1 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #1 0:24

2 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #2 0:39
3 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #3 0:18
4 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #4 0:27
5 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #5 0:26
6 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #6 0:31
7 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #7 0:20
8 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #8 0:33
9 9 Esteiras Para 1 Acorde De Piano #9 1:06
10 Ciclo #1 13:39
11 Ciclo #2 6:03
12 Fuga Doméstica 27:45
13 Corrimão / Comunidade Das Mãos [1° Lanço / Todos Os Andares] 5:38
14 Corrimão / Comunidade Das Mãos [Patamar / Rés-Do-Chão] 3:40
15 Corrimão / Comunidade Das Mãos [2° Lanço / Cave] 5:43
16 Corrimão / Comunidade Das Mãos [Cisterna] 1:18

ポルトガルの作曲家David Maranha(デヴィッド・マランハ)率いる実験音楽アンサンブルOsso Exótico(オッソ・エクゾティコ)。89年結成から作品を重ねる毎に少しずつ作風を変え、マランハ兄弟とパトリシア・マチャスのトリオ編成になった前作以降は、民族楽器のマイクロトーナルと西洋楽器のトーナル、2つの構造を並列させたミニマリズムへの追求姿勢をより強めています。TelectuNuno RebeloRafael Toralら実験音楽家が集ったリスボンのレーベルAnAnAnAからリリースされた5作目は、兄デヴィッド作の#1-9, 12、弟アンドレ作の#13-16、パトリシア作の#10-11、各々のスコアをグループで演奏した4つの楽曲を収録。中でも注目したいのが兄デヴィッド作「Nove Esteiras Para Un Acorde De Piano(ピアノの1和音による9つの模様)」。この曲は、冒頭フォルティシシモで指示されるピアノの強い和音の後、減衰・余韻部にバイオリンやグラスハーモニカ、ボウルとビー玉など異なる音色を組み合わせて、9通りの精妙な模様を描いた組曲。エステイラは「水面にできる波紋」や「ゴザ・ムシロ」を意味する語で、静かな水面に大きな石を投げ込む衝撃から、激しく揺れる水面が徐々に静まり、再び静穏さを取り戻すまでの一連の推移をイメージします。音楽における「minimal」というと、装飾を削ぎ落としたミニマルテクノやプリミティブなシンセ・パンク、微音・沈黙を多用する現代音楽やマイクロスコピックまで、多様なフォームの音楽で「最小限」をこえた意味で使われていますが、アコースティック楽器の音をシンセサイズするように、新しい楽器や響きへの想像力をわずかな時間に凝縮させる「
一石のミニマリズム」は、多くのミニマル音楽の中でも異彩を放つ作風だと思います。


...