2017年5月30日火曜日

[132] va Looking East: Bulgaria


Label: Erdenklang
Series: Looking East - Electronic East
Catalog#: 29542
Format: CD, Compilation
Country: Germany
Released: 1992

1 Vladimir Djambasov - 33:8 4:32
2 Vladimir Djambasov - Breath 4:17
3 Ljubomir Velev - My Aunt Has 3:05
4 Ljubomir Velev - Sunbirth 6:34
5 Ivan Vulkov - A New Song 2:55
6 Lubomir Denew - Submarine Life 4:34
7 Lubomir Denew - Piano Deformations 4:52
8 Danail Draganov - Somethin' Isn't Enough 3:39
9 Simo Lazarov - Nature 4:08
10 Simo Lazarov - Voices 5:04
11 Krasimir Timov - Legend 3:10
12 Sergey Djokanov - Thracian Heros 5:21
13 Sergey Djokanov - Haven 4:27
14 Sergey Djokanov - The Last Supper 2:23
15 Anguel Kotev - A Game 4:23
16 Anguel Kotev - Morning Dew 5:02
17 Anguel Kotev - A Song 4:49

ポーランド、東ドイツ、ハンガリー、チェコスロバキア、ブルガリア、エストニアといった、旧ソ型社会主義体制下にあった東ヨーロッパ諸国のシンセサイザー音楽にスポットを当てた、全6作にわたるコンピレーション・シリーズ「Looking East - Electronic East」のブルガリア編。レーベルは81年に独ディープホルツを拠点に設立された、Innovative Communicationと並ぶハイテック・ニューエイジの名門Erdenklang。当地の電子音楽分野を切り開いたSimo Lazarov(シモ・ラザロフ)を筆頭に、バルカン半島の複雑なリズムや旋律を織り交ぜたVladimir DJambasof(ウラディミール・ディアンバソフ)、フォークバラッドをフィーチャーしたLjubomir Velev(リュボミール・ヴェレウ)やSergey Djokanov(サーゲイ・ディオカノフ)など9名の作曲家による、プログレッシヴ・ロック、ニューエイジ、ジャズ、とりわけ民俗的要素と結びつくことで独自の進歩を遂げたブルガリアのシンセサイザー音楽を、作曲家ごとのバイオグラフィとともに紹介。選曲・監修はAnguel Kotev(アンゲル・コテフ)。

ブルガリアでは、ラジオスタジオの1つが充分な機器を備えた1977年になってはじめて、電子楽器を音楽に組み込むことが可能になりました。そのスタジオで最初に働き、同時に他の音楽家を育て上げたのはシモ・ラザロフでした。彼はその後の数年間、新しい可能性を用いた作品制作に強い興味をもつ音楽家たちから注目を集めました。間もなくして、他の音楽家は独立して活動できるように各々のスタジオを探しはじめました。これに関連して、他の音楽家のレコーディングを支えたFSBグループのスタジオについて言及する必要があります。この数年、ソフィアではディレンマとクラスのグループがスタジオを設立しました。電子楽器を駆使した実験主義の音楽家に加え、現在ブルガリアでは多くのポップ〜ロック界の音楽家が現代的な電子機器を使っており、MIDIはもはや外来語ではありません。このCDで紹介された音楽家が、まったく異なる経路から電子音楽に至ったことは注目に値します。先述のシモ・ラザロフと、サーゲイ・ディオカノフの場合、その原動力は当初からエレクトロニクスへの関心でした。他の音楽家、例えばアンゲル・コテフは、音楽学校で十分なクラシックのトレーニングを受けた後、エレクトロニクスとコンピュータの実験的な可能性に惹かれました。最後に、1989年の秋、ゴツェ・デルチェフの街の小さな作曲家グループが、ブルガリア初の国際電子音楽祭を成功させたことは特に強調したいです。- アンナ・マリア・トンコワ

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[related]
Simo Lazarov - Nature (Balkanton, 1988)

Sergey Djokanov - The Green Desert (Balkanton, 1985)

2017年5月28日日曜日

[131] TV Victor - Deep Entry



私はグルーヴのない音楽を聴くこと、作ることが好きです。音楽で空想の空間を作りたい。音の聞こえない音響次元の旅へリスナーを誘う、もっと抽象的でナラティヴな音楽。その旅ではリズムは邪魔になります。リズムはあまりに具象的で窮屈です。2005年に、私はディープ・アンビエント・プロジェクトを始めました。音の素材を100%までピッチダウンして音の時間を拡大する「タイム・ズーム」という手法で作曲しています。素材とはまったく異なる体験が広がります。この音楽はTV Victorの必然的な発展型だと思います。 - ウド・ヘイトフェルド 


Udo Heitfeld began with the guitar at age four, but studied piano until the influence of experimental electronic music took hold of him in the 70′s. When Heitfeld moved to Berlin in the early 80′s, he became vital parts of diverse projects within Berlin’s underground art scenes, the most significant one of which was the heavily rhythmic and hypnotic Ethno-oriented No Zen Orchestra. Their CD was released in 1988 via Tresor’s parent label Interfisch. Heitfeld’s first solo productions started in 1990 under his TV Victor pseudonym, the first fruit of which was the “Moondance” album (Interfisch): experimental music with classic Pop structures but more an indicator of his move in more Ambient directions.



Udo Heitfeld aka TV Victor

2017年5月27日土曜日

[130.1] 季刊デザイン 音




季刊デザイン14号 1976・夏
a quarterly review of design │ summer 1976
special feature: Sound

特集 音
・音・音楽・環境 一柳慧
・楽器 10人のアーティストのつくる楽器
 新宮晋 鈴木昭男 戸村浩 宇野亜喜良 桜井郁男 湯村輝彦 山口勝弘 福田繁雄 内田繁 仲条正義
・音幻の世界 環境とオブジェ 山口勝弘
・錬音術 羽良多平吉

Ears Cleaning
音のデザイン・エッセイ
・もう鳩なんか出やしない 高梨豊
・黄金の耳へ 諏訪優
・旅の宿のベッドで聞く音のことなど 長谷川尭
・音はまぎれもなく文化だと思う 片岡義男
・The Sound in the Box 秋山邦晴
・ロールス・ロイスの時計 小林彰太郎
・写真の中の量子雑音 松岡正剛

・音のポスター 音楽環境のはざまで 神田昭夫 
・音のパッケージング ロック・ジャケット・イン 小島武
・音響機器デザインの修辞学 技術神話へのフェティシズム 和爾祥隆

Questionnaire
・音体験、音のイメージを、20の設問で20人の音にフィットしたデザイナーに聴く
ほか

昭和54年7月1日発行
編集 田淵裕一
出版 株式会社美術出版社

2017年5月25日木曜日

[130] Manongo Mujica & Douglas Tarnawiecki - Paisajes Sonoros


Label: Buh Records

Series: Sounds Essentials Collection
Catalog#: BR75
Format: CD, Album
Country: Peru
Released: 2015 (1984)
DISCOGS


1 Paisajes Naturales 37:51

2 Paisajes Urbanos 18:07


「Paisajes Sonoros」(Soundscapes)は、1984年にカセットで自主リリースされました。この作品は、Manongo Mujica(マノンゴ・ムヒカ)とDouglas Tarnawiecki(ドウグラス・タルナヴィエッキ)による、ペルー音楽に関する大規模な研究の成果でした。彼らは一年かけて、パラカス砂漠からジャングル、リマの市場や大通りを訪ね歩き、海の音、風の音、通りの話し声、ラジオの音を採取しました。このすべての録音素材を使って、サンドロ・リ・ロジーのスタジオでサウンドトラックを構成。そこに様々な楽器を追加し、個人性と民族性が交差する具体音楽とコラージュの探求、アンビエント、ドローンから民族音楽に及ぶ作品を作り上げました。タルナヴィエッキは1982年にムヒカと出会いました。タルナヴィエッキはアカデミックな作曲の出身で、米ロチェスターで学び、ギリシャのプロジェクトのために世界の様々な伝統音楽を研究していました。ムヒカは打楽器奏者として即興とサイケデリック・ロックに専念していましたが、1983年にリマに戻った後、民族音楽、ドローン、具体音楽、フルクサスのようなコンセプチュアルな音楽を追求しはじめました。ムヒカと、アフロペルーの伝説的な打楽器奏者Julio "Chocolate" Algendones(フリオ・チョコラテ・アルヘンドネス)との出会いは、アフロペルー音楽と自由即興を介して霊的交感を探るきっかけになりました。アルヘンドネスはアフロペルーのパーカッションの伝統において異端の存在でした。彼はキューバとハイチに住み、彼の考えるパーカッションの手法に多くの影響を与えた「サンテロ」の儀式やそのリズムに精通していました。彼の特異性はムヒカを魅了しました。彼らのもとに、ロンドンで学び、ポピュラー音楽で作曲を始めた電子音楽作曲家Arturo Ruiz del Pozo(アルトゥーロ・ルイズ・デル・ポゾ)が合流しました。このように、「Paisajes Sonoros」は異なるバックグラウンドをもつ4人のミュージシャンの出会いでもありましたが、しかし彼らは共通して、アカデミックとポップの関係を探求し、自由即興の手法によってネイティブと前衛音楽の共有領域を見つけることに関心を持っていました。1983年には既に、ルイズ・デル・ポゾ、ムヒカ、Omar Aramayo(オマル・アラマヨ)の3人による、アンデスの響きと電子音楽と民族ジャズ・パーカッションを融合した冒険的な作品「Nocturno」がリリースされていました。「Paisajes Sonoros」も、ペルーが社会的に危機的な段階にあった時期につくられました。1980年のFernando Belaúnde Terry(フェルナンド・ベラウンデ・テリー)による民主主義への復帰は、都市のスカイラインの必然的な変容と並行して行われました。インフォーマルな経済が出現し、農村部から都市住居への大規模な移住の結果、首都にアンデス文化が定着しました。80年代まで、リマは深刻な経済危機やテロ集団の問題に直面したため、不安定な状態にある都市でした。当時のリマの状況は、すべて「Paisajes Sonoros」の背景となるサウンドトラックでした。 しかし、自然のドキュメンタリーという性質を超えて、これらの音は、演奏された音楽と対話する精神音響の投影として機能します。周囲の音に触れることは、それが何であるかという現実のサンプリングであり、音楽の設定とそれ自体を具現化し、聴き方の幅を広げて創造的な活動に変えるものです。 - 
ルイス・アルヴァラード


「Paisajes Sonoros」は、私たちの内面の音世界と外の世界、2つの異なる世界を同時に聞く必要性から生まれた音楽研究プロジェクトです。 2つの世界には、異なる振動の性質があります。これら「世界」の間にある矛盾を聞くことを学ぶことは、ひとつの存在の2つの側面の両方の対立を含む「サウンドスケープ(パイサヘ・ソノロ)」を認識することにつながります。これに続く3番目の要素は、複雑な聴覚プロセスの暗黙智としてのユーモアです。それぞれの音のディスプレイの背後には、他の、より静かで見えにくく、さらに捉え難いものが隠れています。それはおそらく、すぐには理解できない起源・砂漠の風景の音。 そのひとつひとつに、音楽的に等しいものはありますか?「Paisajes Sonoros」は、起源の物語を語ろうとしています。それは、主役としての音の発達と死。そして、自然、風・水・雨の発生、次の都市へと続くジャングルの入り口、矛盾と聴覚の豊かさ有するリマの物語です。私たちが音楽を固定的かつ定義可能なものとして判断する習慣や予感を放棄するとき、サウンドスケープの概念が現れます。そうすることによってはじめて、もっとも取るに足らないノイズからもっともありふれた生活音まで、すべての聴覚環境、すべての鳴り響く行為が、別の次元・別の意味にかわり、サウンドスペクトルを生きるキャンバスとして感じる手段になり、私たちが今ここに存在する他の音楽に気づくための手がかりになります。 - 
マノンゴ・ムヒカ


This CD is part of the Sounds Essentials Collection, a rescue project of several fundamental works of Peruvian Avantgarde music, which will be published periodically. The project is made possible through the support of VICERRECTORADO DE INVESTIGACIÓN, DE LA PONTIFICIA UNIVERSIDAD CATOLICA DEL PERÚ Y ALTA TECNOLOGÍA ANDINA (ATA)


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[related]
Aramayo, Mujica, Ruiz Del Pozo - Nocturno (1983)

Luis David Aguilar - Hombres De Viento / Venas De La Tierra, 1978​-​1982
(Sounds Essentials Collection Vol 3)

2017年5月24日水曜日

[129] Old Man Archive

Sense of Guilt
The Remnants of Love
Across the River

OLD MAN ARCHIVESは、日常のふとした場面で遭遇する老人たちの生きた語りをフィールドレコーディングで採集し、 カセットテープ(不可逆的な記録メディア)に封じ込めるプロジェクトです。 そこには個人の名や顔ではなく、ただ記憶だけが、背後に鳴り響く日常のノイズと共に刻み付けられます。/ 各作品は老人の年齢の数だけ生産し(例:93歳 = 93本)、追加生産は行いません。

OLD MAN ARCHIVES is a project which conducts field-recording of living monologues by elderly people whom we met in various daily situations. In the cassettes, memories echoing behind everyday noises are recorded aside from the individual’s name nor face.

Old Man Archive
publishing project based in Japan

2017年5月19日金曜日

[128] Michel Banabila - Sound Years


Label: Tapu Records
Catalog#: 020TR
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Netherlands
Released: 2017
DISCOGS  BUY

Side A 19:08 

- Close To The Moon (previously unreleased / 2016) 
- Earth Visitor (from Earth Visitor / 2016) 
- E.T. (from Traces / 2007) 
- Gorlice (from Live in Gorlice / 2014) 
- 47 Voice Loops (from 47 Voice Loops / 2013) 
Side B 16:08
- Stone Bridge (from Hilarious Expedition / 2005) 
- Niki Jumpei (from Gardening / 2012) 
- TAPE (mix 3) (from Bouwwerk / 2010) 
- Shortwave (from Hilarious Expedition / 2005) 
- Radio Spelonk (from Music for viola and electronics II / 2015) with Oene van Geel 
- Vuka Vuka! intro (from Songs from Vuka Vuka! / 2005) 
- The Turtle Came Back (from Gardening / 2012) 
- Yarra (from Travelog / 2013) with Machinefabriek

アンビエントという視点からオランダの音楽を探していた時に知った、世代もバックグラウンドも異なる2人の作曲家が、ジャーマン・エレクトロニクス周辺の復刻を手掛けるbureau Bのカタログに加わったことが、とても印象深いことでした。ひとりは、1925年ハールレム出身、著名なクラシック音楽一家に育ち、96年デン・ハーグで死去したJurriaan Andriessen(ユリアーン・アンドリーセン)。もうひとりは、1961年アムステルダムでオランダ人の母とイエメン出身の父との間に生まれた、現在ロッテルダムを拠点に活動するMichel Banabila(ミシェル・バナビラ)。ユトレヒト音楽院で父に作曲を学び、メシアンに師事したアンドリーセンは、元々アカデミックな現代音楽の世界で活躍していましたが、50歳代にさしかかった70年後半にPhilip GlassやWendy Carlosの影響から、自ら「トランス・シンフォニー」と呼ぶミニマルなシンセサイザー・ワークに開眼。先のbureau Bに取り上げられた「The Awakening Dream」は、Clusterや初期Kraftwerkにも通じるアナログでトリッピーなコズミック・サウンドを作り上げたシンセ期の代表作。プレアンビエントなアンドリーセンに対して、かたや次世代のバナビラはEno & ByrneやJon Hassellといったオリジネーターに直接的な影響を受けた、ポストパンク以降のオランダにおけるアンビエント・ミュージックの先覚者と見ることができます。

バナビラが同郷の映像作家Hero Wouters(ヘロ・ヴォウタス)のスタジオでアルバム制作に取り組みはじめたのが、彼が19才であった80年前後のこと。インドネシア、ガーナ、レバノンといった国々の民族音楽と、ジャズやミニマル・ミュージックといった要素をポストパンクの越境的感覚で再構築した「マリリ」、連作「発見された痕跡」などのソロ作を発表。Hanyo van Oosterom(ハンヨ・ファン・オーステロム)率いる第四世界音楽グループChiでの活動を経て、80年代末から90年代にかけては、トルコ、スリナム、ベルギーなどの多国籍フォーク・グループEast Meets Westや、トルコ出身のマルチ奏者Yaşar Saka(ヤシャール・シャカ)とのデュオなど、イエメン人の血を継ぐ自身の音楽的ルーツを探す旅のように、民族音楽志向をさらに広げた精力的なライブ活動を繰り広げ、ワールド・ミュージックの潮流の中で大きな評価を獲得していきました。その後トリップホップ〜クラブジャズから、グリッチ〜デジタル・ミニマリズム、実験的なエレクトロアコースティック、サティを思わせるピアニズムや室内楽に及ぶ多様なアプローチで、舞台芸術、ドキュメンタリー、映画、ビデオアートのための音楽を制作。初期のイマジナリーな民族性やミニマリズム的手法は、時代ごとに様相を変えながら、現在まで途絶えることなくバナビラの音楽の基幹になっていると思います。
この「Sound Years」は、過去12年の間に制作した既発アルバムから選ばれた13の楽曲からなるコンピレーション・アルバム。00年代以降の主要作を俯瞰しつつ、しかし単なるサンプラーではなく、遠く離れた広大無辺な宇宙空間と顕微鏡内のミクロな世界との間を漂泊するバナビラ特有の離郷的詩情を各作品から拾い集めるように、セルフミックスによって新しい物語へと昇華した、近年の最高作と呼ぶにふさわしい内容。昨年リリースされた初期編集盤「Early Works」と対比をなし、近年に初期作を発見した新しい層のリスナーにとっては数多くのバナビラ作品を辿るためのひとつの切り口となる(おそらく新作では最後の)ヴァイナル・フォーマットでリリースされたことにも少なからぬ意義を感じます。

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2017年5月17日水曜日

[127] Yaki Kandru - Yaki Kandru


Label: Fonoson

Catalog#: 0031
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Colombia
Released: 1986
DISCOGS

A1 Indigenas Carina Mare Mare Esta melodia fue tomada en el estado de Anzoategul 3:24

A2 Yaki Kandru Musica con piedras Variaciones sobre el paleotico 4:18
A3 Yaki Kandru Creacion colectiva para fotutos 8:04
A4 Indigenas Cuna A'chu "perro" 3:15
B1 Indigenas Aymara Yahuar Malicu 2:42
B2 Cuentas De La Danza Del Venado De Los Indigenas Yaki 7:30
B3 Indigenas Yaki Burabambo 3:01
B4 Canto Papago - Chu Churi Jimi Nama 3:49
listen

スペイン入植以前のアニミズムに基づく先住民族文化研究を目的に、1970年にボゴタのコロンビア国立大学で結成されたグループYaki Kandru(ジャキ・カンドル=「飢えている」の意)。リーダーは人類学者のJorge López Palacio(ホルヘ・ロペス・パラシオ)。70年代はボゴタ国立演劇学校でボーカルテクニックの講師を務め、コロンビア国立交響楽団所属のテノール歌手として、またスペイン伝承歌謡のスペシャリストとして活動。82年からフランスを拠点とし、パリの国際音楽療法センターなどヨーロッパの大学・研究機関で人類学を教える傍ら、北はアラスカ、南はパタゴニアに及ぶアメリカ大陸全域に残された儀式・歌・楽器を研究を続け、コンサートシリーズ「Music of the World」やワークショップを通じて、先住民族文化の理解普及に寄与しました。今作はその研究と実践の成果として、82年にドイツのFolk Freakから、86年にコロンビアのFonosonから異なるカバーアートで発表されたセカンドアルバム。独盤のタイトルは「Indianische Musik Aus Kolumbien(コロンビアのインディアン音楽)」。サンポーニャやビリンバウといった民族楽器と伝承歌唱法により構成された8曲は、同時期メキシコで古代を夢想したAntonio ZepedaやLuis Pérezにも通じる実験的志向を垣間見せつつも、こちらはエレクトロニクスは一切使用せず。土や木や雨の香りを放つ土着霊性と神話的宇宙を現代の録音空間に呼び起こす、ラフでプリミティブなプレヒスパニック・フォークを演じた一枚。


In 1971, in Colombia, Jorge Lopez Palacio, singer and anthropologist, share with his group for the desert of Goajira charged with an immense basket full of musical instruments, it is to offer to Goajiros a concert made up of music and songs amérindiens, and to make known to them thus, the existence and the culture of other Indian groups. This teaching work based on solidarity with the Indian communities, it will learn the musical, philosophical and human lessons which will give direction to the artistic step of Yaki Kandru whose creations will be presented in very many concerts, in Latin America then in Europe. In this long history, this concert inaugurates a new stage. It affirms the fundamental role of the song in the indigenous cultures and the value symbolic system of the voice, voice which knows the world, poetizes it. This concert, testimony of alive cultures, is a homage to the indigenous people of Americas, their creativity, their philosophies, their fights. This concert " Music of the World " invites to the meeting, opens with new spaces of poetry and creation. Of its foundation at our days, this group carried out several discs and of the hundreds in concerts in Latin America, Europe and Africa.


2017年5月15日月曜日

[126] Suiho Tousha - The Garden of Meditation


藤舎推峰 - 静寂~古都の瞑想

Label: CBS/Sony
Series: Sound Forest
Catalog#: 32DG 63
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 1986

1 涼~清流をわたる風 11:35

2 瞑~瞑想の庭 13:51
3 爽~深山の朝 11:46
4 哀~竹林の夕暮 12:15

ツトム・ヤマシタや佐藤允彦、前田憲男など、ジャズ/現代音楽の演奏家とも積極的にセッションを行なっていた笛の名手、藤舎推峰(現・二代目 藤舎名生)による自然との共演。山鳩、ホトトギス、鈴虫やヒグラシの鳴き声。遠くから梵鐘や読経が低く聞こえる中、その環境の一部として響く笛の調べ。息の長いフレーズと、さらに長く取られた空白は、日本の伝統文化に根付く閑寂・枯淡・余韻ヘの美意識を強く感じさせます。CBS・ソニーレコードの「サウンド・フォレスト」は、その名の通り自然をテーマとしていますが、環境音をムードの演出やSE的に使うのではなく「音楽の構成要素として完全に音楽の一部に取り込んでしまったり、音楽と対話したり」、また「アコースティック・サウンドにこだわらず」「日本の伝統音楽も取り込んでいる点に特徴があり」(解説文より)、当時の環境音楽やイージー・リスニングの分野に新風を吹き込もうとする野心的なシリーズであったようです。ブックレットには環境音楽の成り立ちから発売当時の動向について掲載。


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Satoshi Sumitani - Forest Marvelously (1986)

Mayumi Miyata & Midori Takada - Nebula (1987)

2017年5月14日日曜日

[125] Slagerij Van Kampen - A Long Walk On A Short Pier


Label: Tomato
Catalog#: 2696712
Format: CD, Album
Country: Netherlands
Released: 1989
DISCOGS

1 The Impi 2:03

2 Mosi Oa Tunya 5:04
3 Dance Of The Impi / The Mountain To Mohammed 8:17
4 Return Of The Impi / Les Vieux Griots 6:53
5 Wakarimasen 8:31
6 Tellem Mallets 7:05
7 A Long Walk On A Short Pier 21:50

「なぜ打楽器はバンドの主役になれないのか?」という問いから、Mies Wilbrink(ミース・ヴィルブリンク)とWillem van Kruijsdijk(ヴィレム・ファン・クルイシュダイク)のオランダ人カップルにより80年代初頭に旗揚げされたパーカッション・グループSlagerij van Kampen(スラフライ・ファン・カンペン)。1982年からオルタナティヴなクラブシーンで、パーカッショニスト4名編成によるアコースティック・ライブを積み重ね、86年に初作となるライブ・アルバムを低予算で制作。
その後、MIDIとサンプリング技術を導入し、87年のアルバム「Out Of The Doldrums」ではパーカッションとエレクトロニック・サウンドを融合した新機軸を打ち出し、彼らのスタイルを確立させました。続く3作目となるアルバム「A Long Walk On A Short Pier」は、ニューヨークのレーベルTomato Recordsから。ミックス/プロデュースは、NYダウンタウンの先鋭ギタリストRobert Musso(ロバート・マッソ)。今作の題材となっているのは、南アフリカのズールーやマリのテレムといった先住民族。アパルトヘイト政策撤廃前夜の89年、かつて南アフリカの地に入植し白人社会が生まれる発端となったオランダ側から、ブラックアフリカの音楽と、世界中で迫害を受けてきた先住民族へのオマージュを込め、反人種差別や環境保護といった社会的メッセージを発信しつつ、精気漂うイマジナリーなトライバル・ミュージックを全編にわたって展開した、当時のワールド・ミュージック熱も感じさせる作品です。創立者の2人は健康上の理由からステージでのパフォーマンスから退きますが、以降は監督・プロデューサーとして、4名のマルチ・パーカッショニストと複数の楽器を加えた新編成メンバーとともに現在も精力的に活動中。

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