2015年11月27日金曜日

[015] Tiny Music - Epitaph


Label: Notice Recordings
Catalog#: NTR019
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 2011
DISCOGS

1 Side A 14:46

2 Side B 16:19

フォークロア・リスニング②。「樹木はもちろん、ホラ貝や骨、あるいは太鼓類に使う皮革やバグパイプに使う内蔵など、生き物のカラダや亡骸を使うことによって成立する、他の生命やその死との共有によって成り立つのが楽器の音」。古雑誌をめくっていたところ、民俗楽器に関する記事の中にこのような興味深い文章がありました。楽器は古くから霊性を媒介するための道具として用いられ、また、長い進化過程では人々の生死が刻み込まれてきたもの。そこには固有の歴史性・記憶・時間感覚が残り、演者の意にかかわらず楽器自身が無言で語るメッセージがあるだろうと考えました。

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Tiny Musicはシカゴの即興カルテット。2009年から2010年にかけて録音。クレジットによると貝製シャンデリア、トーンジェネレーター、塩ビ管、風船、ソケットレンチ、ヤギの皮で作った楽器、カセットプレーヤー、オルガンの足、ボウル、ハーモニカ、ブロンズ製オーナメント、コートハンガーのゴムバンド、サイレンホイッスル、バイオリン弦で結われた木馬、チェーン、シンバル、金属板の欠片、パイプオルガンの木製パイプ、ノコギリ、ワイングラス、バグパイプの主唱管など、不完全な楽器を本来とは異なる方法で用いたり、身の回りの壊れた道具に細工を加えたりと、様々なサウンド・オブジェクトを床に雑然と並べ、四者が思うままに手にとって音を出す。A面は物音中心で、ギシギシとした軋み、カタカタ、カラカラと重なる音の小片に、動物のようなうなり声。B面は壊れたアコーディオンやオルゴール、バンジョーなど楽器をメインに、酷く歪なチェンバー・ミュージックの様相。タイトル「墓碑銘」はおそらく「道具の墓場」のことと思いますが、道具と人との営みの終局に「老いた道具たちの語り」を起こすオーラリティ(聞き書き)としての演奏が記録されているようにも聞こえます。Notice RecordingsはEvan Lindorff-ElleryとTravis Birdにより2009年にシカゴで設立、現在はポートランドを拠点とする実験音楽レーベルで、2015年秋の最新リリースはLoren ChasseとRafael Toral。


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 Loren Chasse - The Sodden Floor (2015)

Rafael Toral - Space Collective 2 Live (2015)