2016年8月27日土曜日

[069] R.I.P. Hayman - Dreamsound, India Transformed


Label: New Wilderness Audiographics
Catalog#: 7914A
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 1980

1 India Transformed 29:20

2 Excerpts from dreamsound, an event for a sleeping audience 29:09

詩人Jerome Rothenberg(ジェローム・ローゼンバーグ)と作曲家/詩人Charlie Morrow(チャーリー・モロー)により、74年にニューヨークで設立された非営利組織New Wilderness Foundation。その音声部門Audiographicsのコレクションが、7月にデジタルリイシュー。77年から84年にかけてカセットテープで出版された全40タイトル中、特に興味をひかれたのが、現代音楽雑誌「EAR Magazine」の編集者であったR.I.P. Hayman(R.I.P. ヘイマン)の作品。A面は、インド旅行中に録音した自身の作曲と、旅先のフィールドレコーディング素材をミックスし、同行者によるスライドやオブジェとあわせ、旅の追体験を通じてインドの民族的霊性を喚び起こすパフォーマンス。B面は、ヘイマンが1976年頃からはじめた、音と睡眠(夢・潜在意識・記憶)の相互作用に焦点をあてたオールナイトイベント「ドリームサウンド」からの抜粋。音楽や美術、または民族儀式と睡眠に関連した事例を取り入れたユニークなプログラムで、Robert Rich(ロバート・リッチ)の「スリープコンサート」と並ぶ、睡眠音楽史に残る先駆的試みだったそうです。


India Transformed

1975年の冬、音楽家であり「ミュージック・オブ・ザ・ホール・アース」の著者David Reck(デイヴィッド・レック)による企画で、私はインドへ音楽の旅をした。帰国後私は同行者のSari Dienes(サリ・ディネス)とともに「インディア・トランスフォームド」というパフォーマンスをエクスペリメンタル・インターメディア・ファウンデーションで行った。私達は旅行で得た素晴らしい体験や考え方を濃縮し、それを変換した。サリと補助役Virginia Quesada(バージニア・ケサダ)は、スライドと収集したオブジェのアサンブラージュを提示した。私は数時間の習作を録音し、様々な民族楽器を集めてきた。私はこれらを自由な方法でパフォーマンスに混ぜ合わせた。このテープはフォートエドワードのZBSメディア・ファウンデーションで製作され、インドの楽器の演奏と歌「Ganapati」はインド製のテープを使って録音された。実際の旅と同じように、このテープもまた短く多様である。素晴らしい土地のスピリットとマジックを少しでも感じられたらと願う。

Excerpts from dreamsound, an event for a sleeping audience

イベント前の午後の休息のため、私は人前で、様々な音色を生み出す笛を使った長い昼寝のパフォーマンス「スリープホイッスル」を行った。40人に及ぶオーディエンスは、その夜11時以降に寝具を持って温かいスペースに召集された。ホットミルク、カモミールティ、キャンドル、静かなテレビ、暖炉のフィルム、夢をメモするノートを持って到着した客はもてなしを受けた。バックグラウンドの音は、こおろぎ、睡眠や夢をイメージさせる古いポピュラーソング、1/2倍速再生のバッハ作曲ゴルドベルク変奏曲(不眠症のカイザリング伯爵から依頼を受けて18世紀に作曲された「睡眠のため音楽」の初期実例)、アイヌ・シャーマンのチャント、マレーシア・テミアル族のドリーム・ソング、サインウェイヴのビート・・・聴衆は一度腰を落ち着かせてから、イベントの目的とプランについてレクチャーを受けた。「睡眠・夢と音の効果」に関する科学的事実、古代から現代までの睡眠儀式の歴史、宗教と芸術における「夢」・・・その間、人々はゆっくりフォーマル・スーツから寝巻に着替えて、話をききながら歯を磨いた。
「ダリの居眠り」のパフォーマンス:椅子に座りスプーンを持って、リラックスして眠りに入ってゆく。スプーンが手から落下すると、床に落ちた音で目が覚め、リフレッシュする。(眠りに入った時に見る夢を描きとめたというダリの逸話から)
幽霊に関する会話を盗み録りした「ゴースト・カートゥーン」テープはビジュアル・エフェクトとともに再生された。チベタンベルのテープは、睡眠中の自己暗示的なプレイバックの声を記録する際に再生された。深夜のテレビ番組が始まる前、熱した物体をドライアイスに入れてガスの音を発生させるパフォーマンスが行われた。
徐々に暗くなっていった。ピアノとエレクトロニクスを使った "spirits"、スローなフルートの "taps"。ポイントレイズ国定海岸の波とフォグホーンのテープは皆が眠りにつくまで再生された。夜の静けさと間欠的な音響効果:足音、雨、走り去る車、心拍音、電話の受信音、笑い声、時計、ゴボゴボいう川、ゴロゴロいう猫、風、赤ちゃんの寝息など・・・眠る人のソフトな寝言。お香・チーズ・スパイスの香り。枕元にはいい匂いの花。夜明けには鳥が鳴き出した。キッチンでの朝食:コーヒー、お茶、ジュース、フルーツ、パン、チーズ、ペイストリー、そして夜に体験した夢に関する質問と議論と、次々無くなるコーヒー。

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