2016年10月10日月曜日

[082] Wayne Siegel - Early Works


Label: Black Sweat Records

Catalog#: BS 028
Format: CD, Album
Country: Italy
Released: 2016
DISCOGS

1 Autumn Resonance 26 :06

2 Domino Figures 18 :45
3 Voices Recurrent 13 :15
4 Music For 21 Clarinets 15 :43

1983年にデンマークのクラシック音楽レーベルPaulaから出版された「Autumn Resonance / Domino Figures」収録曲を中心に、当時20代半ばであったWayne Siegel
(ウェイン・シーゲル)
が専念していたカノン(模倣反復)に基くミニマルな楽曲に焦点をあてた初期ワークス。コンサートホールで音響/距離を測定し、デジタルディレイを使って録音されたピアノ曲 "Autumn Resonance" は、0.187秒後に左スピーカーから、さらに0.187秒後に右のスピーカーから、僅かな時間差でフィードバックされる音型のズレ、そのトレモロ効果により靄がかった美しい音像が立ち上る最初期のライブエレクトロニクス。ギタリストErling Møldrup(アーリング・モルドラップ)に捧げた "Domino Figures" は、10人から最大100人のギターのために書かれたアンサンブル曲。この録音では半円形に並んだ42人のギタリストが、ドミノ倒しのように傾けたギターネックを合図に、左から右へ時計回りに、97にも及ぶ音型を連鎖させることで、波状雲を思わせるテクスチュアの変化と持続音的効果を生み出しています。デンマーク放送交響楽団のチェリストMorten Zeuthen(モルテン・ツォイテン)の委嘱を受けて書かれた "Voices Recurrent" は、#1同様のディレイシステムを使った、チェロのソロ演奏による三声のカノン。最後の "Music For 21 Clarinets" は、#2のドミノ式のプロセスを応用した、21人のクラリネットのための曲。1974年からオーフスを拠点に、作曲・演奏活動に留まらず、研究者・キュレーター・教師としてデンマークのクラシック音楽界に寄与しているシーゲル。出身地は米ロサンゼルス。影響を受けた音楽家としてGyörgi Ligeti(ジェルジュ・リゲティ)とSteve Reich(スティーヴ・ライヒ)の名を挙げていますが、特に初期の作風は、米西海岸ポストミニマル世代の音楽家(レンツやドレシャー)とも共通する、ミニマルな語法と演奏のプロセス、空間特性の相互関係によるアンビエント性が強調されています。「Autumn Resonance / Domino Figures」のリイシューとあわせ、ニューエイジや実験音楽作品の復刻を手掛けるイタリアのレーベルBlack Sweat Recordsからリリース。


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[related]

Autumn Resonances / Domino Figures (Paula, 1983)

Terra (Dacapo Records, 2012)