2018年3月27日火曜日

[190] Quiet City ‎- Public Face, Private Face


Label: Koch Records

Catalog#: KOC-CD-8451
Format: CD, Album
Country: US
Released: 2002
DISCOGS

1 Pocket Juice 1:11

2 Due North 8:46
3 Knee-Jerk Reaction 2:22
4 Stones Of Time 6:04
5 Ticker Tape Welcome 2:32
6 Never Leave Me 6:29
7 Rude Dude 1:52
8 Ocean Deep 6:05
9 Goodnight, My Baby 4:18
10 The Dirty Dozen 1:50
11 Things We Should Say 7:57
12 Easier To Stay 6:46
13 7 Miles High 6:55

ロンドン王立音楽大学で初めてのティンパニ研究家であり、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団やロンドン交響楽団の首席奏者に就任するなど、現在までオーケストラの舞台で活躍している打楽器のマエストロ=ナイジェル・トーマス。ロック〜ポップ作品におけるスタジオ・ミュージシャンとしての実績も多岐にわたり、特にグラスゴーの至宝ブルー・ナイルにはファースト・アルバムの頃からセッションやライブに参加してきた、第4のメンバーといえる人物の一人です。そんなトーマスが作詞・作曲・編曲と全ての指揮を執り、ポップス界で長いキャリアを持つスタジオ・ミュージシャンや、ロンドン交響楽団、BBCビッグバンドの団員らをゲストに迎えて制作した、クワイエット・シティ名義の唯一のアルバムが本作。ブルー・ナイルのフロントマン=ポール・ブキャナンが2曲で参加していることでもそのファンに語り継がれる一作ですが、うち5曲ではトーマス自身がリードを執り、ブキャナンに引けを取らない歌声を披露しています。ブキャナンの枯れた味わいに比べると、トーマスの声質はスムースでウェット。両者のボーカルをフィーチャーした曲はストリングスを配したゴージャスなアレンジにより、ブルー・ナイルの世界観をダイレクトに継ぐロマンチックなサウンドとなっています。加えて、ブラス・セクションをフィーチャーした軽快なジャズ・ファンク〜ビッグバンド・インストが6曲。対比的なムードを持つボーカル曲とインスト曲がほぼ交互に配置され、深夜のアダルト・オリエンテッドなラジオを聴いているような一連の流れを形作っているのも印象的です。当時トーマスが、どのような経緯でこのアルバムを制作しようとしたのか──ブルー・ナイルの音楽性に憧れ、自身がその主役になりたかったのか、またはオーケストラ(パブリック・フェイス)とポップ(プライヴェート・フェイス)という2つのキャリアを融合させたかったのか──かつてのウェブサイト www.quiet-city.com が閉鎖されている今では詳しく知る術はありませんが、いずれにしても、このまま廃盤状態が続くには惜しい秀作です。


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