Label: Smiling C, Séance Centre
Catalog#: SC#13, 39SC
Format: Vinyl, 2LP, Compilation
Country: USA & Canada
Released: 2024
A1 Arbol Perenne (Gabo) - Preludio S/N 2:40
A2 Antonio Zepeda Y Eugenio Toussaint - Viento de Lluvia 5:17
A3 La Fábula - Acuarela Crepuscular 5:09
A4 Antonio Zepeda Y Eblen Macari - Brisa 5:10
B1 Armando Velasco - Dafne 6:17
B2 Eblen Macari - Clarion 3:24
B3 Vistas Fijas - Dias De Margarita 3:53
B4 Arbol Perenne (Gabo) - Era Venus 2:42
B5 Armando Velasco - Una Vez 2:21
C1 Isaac Alva - Valle De La Luna 6:58
C2 La Fábula - Changanyika 3:28
C3 Germán Bringas - Non Observan 5:49
C4 Antonio Zepeda Y Jorge Reyes - Nosotros Éramos Los Colibrís De Tus Sueños 3:50
D1 José Luis Fernández Ledesma - La Primera Luz 2:07
D2 Vistas Fijas - Gotas 5:04
D3 José Luis Fernández Ledesma - Evos Luz 8:06
D4 Isaac Alva - Vuelo Azul 6:01
欧米や日本ではサイケ/プログレッシブ・ロックの辺境を探求するごく一部の数奇者たちに愛好され、レコード店の棚でもかなり分類の難しい存在であったと思われるイベロアメリカ諸国の非主流なエレクトロニック/エクスペリメンタル音楽。2017年にMusic From Memoryからリリースされたブラジル産オブスキュア音源集「Outro Tempo」を端緒として、近年では従来のワールドミュージック的視点ではなく、アンビエントとレフトフィールド・ダンス双方の文脈からこうした音源を紐解く再発掘・編集が進められていて、新しい発見が多く今なお興味深いです。本作「Triángulos De Luz Y Espacios De Sombra」は、そのメキシコ編を担うコンピレーション作品。監修は、米カリフォルニアのSmiling Cと、カナダ・トロントのSéance Centreが共同で手掛けています。
音楽ジャーナリストDavid Cortésのライナーノーツによると、1971年の「アバンダロ・フェスティバル」(メキシコ版ウッドストック)以降、若者文化の台頭を反乱の兆しであると危惧したメキシコ政府によって、ロックシーンは厳しい抑圧下に置かれていたとのこと。音楽家たちはメディアの厳しい検閲を逃れるため、シンセサイザーやドラムマシンなどを用いた電子的アプローチへと移行し、メジャーな商業流通に頼ることなく、メキシコシティのティアンギス・クルトゥラル・デル・チョポ(エル・チョポの蚤の市)を拠点に草の根的コミュニティを形成。電子音楽やミニマリズムの語法に、メソアメリカの先住民楽器や宅録的手法を組み合わせながら、メキシコ独自の音楽アイデンティティを模索していきました。本作は、そうした1980年代半ばから90年代にかけての地下実験音楽シーン軌跡にスポットを当てたもの。収録されているのは一部を除いて、単独のリリース作品もほとんど見当たらないような無名に近い宅録アーティストばかり。その中でも特に素晴らしかったのが、このコンピレーションで初めて耳にしたArmando Velasco、Isaac Alva、Arbol Perenne (Gabo)の3者による音源。
Armando Velasco(アルマンド・ベラスコ)は、当時オルタナティヴな文化拠点であったエル・チョポを中心に、自身でレーベルAl Ejandraを主宰し、音楽家たちの交流を促したキーパーソン。Arturo MezaやOxomaxomaらを収録した1988年の重要なコンピレーション「Los Valses De Al Ejandra」の発起人であり、本作のタイトルでもある「光の三角形と影の空間」も、彼らが企画した地下イベントに由来しています。Isaac Alva(アイザック・アルヴァ)は、その音楽イベントにも出演した主要アーティストのひとり。Arbol Perenne(Gabo)(アルボル・ペレネ・ガボ)は、Gabriel Castillo-Herreraによるソロ・プロジェクト。いずれも当時の地下音楽コレクティブにおいて、象徴的な存在として紹介されている人物です。
Séance Centreといえば、本作以前にプレ・ヒスパニック/エスノ電子音響の重要作であるEblen Macariの1987年作「Música Para Planetarios」を復刻していますが、本作ではメソアメリカ先住民文化の参照よりも、ポストパンク以降のミニマルで静謐な音響感覚を取り入れた内省的な宅録アンビエントを積極的に取り上げているのが実に印象的です。メキシコ音楽におけるアンダーグラウンド/オルタナティヴ・カルチャーのクリエイティヴな熱気を伝える、素晴らしきアーカイヴ作品だと思います。
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