Label: Pork Recordings
Catalog#: pork 031
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 1996
1 The Last Of The Red Hot Brethren 2:15
2 Big Saddle 4:58
3 Space Hearse 6:07
4 Half Man Half Granary Thorax 1:39
5 But Momma 4:55
6 Laying Down The Law On The Lard 5:03
7 Wavy Gravy 4:37
8 Soft Music Under Stars 10:10
9 Hairy Insides 6:50
10 Dp's R Us 2:32
11 On Yer Haunches 4:51
12 Howard Dan Ryan 5:34
13 Blood 5:33
14 The Return Of The Red Hot Brethren 2:13
掴みどころがなく、なんとなく入り込めずにいたFila Brazillia。それがふとしたきっかけで腑に落ちて耳に馴染むようになり、それからは初期から中期にかけての作品を繰り返し聴くようになりました。なかでも特に気に入ったのが、フロア志向から生バンド的なアプローチへの移行期にあたる「Mess」と「Black Market Garden」。
彼らのサウンドは、大まかにダウンテンポやチルアウトに分類されるもの。しかし、その実態はとても複雑でプログレッシヴな折衷主義で、一つの楽曲から特徴を捉えようとすれば、次の曲であっさりとはぐらかされることもあります。カウチに座ってテレビをザッピングし、積み上げられた雑誌を斜め読みし、棚から古いレコードを気まぐれに選んだりする。そんな散漫な好奇心が、いつの間にか自分が宇宙飛行士やロックスターであるかのような妄想遊泳へと繋がっていく。男臭くも繊細で、夢見がちでいたずらな感性を備えた英国趣味人たちが集う、メゾンやコーポ、あるいは秘密基地。そうした場所が、彼らの拠点としていたインディペンデント・レーベルPork Recordingsであったように感じます。
1996年発表の3rdアルバム「Mess」は、自然体で力の抜けた彼らの美学が高い純度で具現化された一枚。初作に見られた電子的なダンスグルーヴはさらに抑えられ、よりオーガニックで緻密なリスニング志向のサウンドへと移行しています。テクノ/ハウスやヒップホップのフォーマットを前提としながらも、自分たちのバンド経験に裏打ちされたサイケデリック・ジャム的な反復、ズレやヨレといった呼吸感に重きを置いたルーズでレイドバックしたファンクネス。さまざまな音楽からの引用や奔放なアイデアを感性の赴くままに詰め込んだようでいて、アルバム全体としてはミックステープを聴いているような作家性のある統一感があり、いずれの楽曲も人の手が作り上げた生々しい感触が充溢しています。
過度に主張せず、手も抜かず。飄々として粋を尊ぶ、彼らなりの音楽愛。現代のインターネット・ブラウジングやプレイリスト文化を先取りするような雑食的な編集感覚と、決して意味を捨てないバランス感覚こそが、本作を色褪せない名作たらしめている所以なのかもしれません。掴みどころがないゆえに、聴くたびに意外ところで仕掛けや遊び心に気付かされることもあり興味深いです。
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