2016年5月17日火曜日

[044] Osso Exótico - III


Label: Carbo Records

Catalog#: CR003
Format: CD, Album
Country: Portugal
Released: 1992
DISCOGS

1 Detendeur 4:44

2 Untitled 3:53
3 Untitled 4:33
4 Untitled 11:36
5 Untitled 7:04
6 Untitled 4:12
7 Untitled 3:33
8 Untitled 7:42
9 À Medida (...) 3:12

89年に
ポルトガルで結成された実験音楽アンサンブル=Osso Exótico(オッソ・エクゾティコ)。初期メンバーは建築・彫刻・音響の分野で活動するサウンドアーティストDavid Maranha(デヴィッド・マランハ)を中心に、弟André Maranha(アンドレ・マランハ)、後にビデオクリップやドキュメンタリーなど映像制作の道に進むAntónio Forte(アントニオ・フォルチ)、シンガーソングライターとして分派するBernardo Devlin(ベルナルド・デブリン)の4人。90年、Vítor Rua(ヴィトル・フア)をプロデューサーに迎え、ロックフィル構造研究機関内の地盤学試験室で録音した初作「I」を発表。
当初はポエトリーやノイズの要素が濃く、Current 93やNWWといったUKノイズ/インダストリアルが引き合いに出される奇怪なサウンドでしたが、フォルチとデブリンがグループを離れ、Patricia Machás(パトリシア・マチャス)が新たに参加するなど、作品毎に流動的に編成を変えながら、徹底してアコースティック楽器によるミニマルな音響/ドローンを追求していきます。
92年8月にリスボンで録音、自主レーベルから発表した3作目が本作「III」。中東の水煙管・ナーギレの奇妙な音に囁くようなポエトリー・吐息が聞こえる弟アンドレ作、ガラス瓶の笛・パンパイプ・チベットホルンの掠れや唸りにシロフォンのアルコ奏法が重なるデブリン作、カリンバやレインスティックの音粒から弦の不安定なトレモロへ移ろう兄デヴィッド作など。いずれも楽器をコンテクストから切り離して、響きの木理や質感のみを写し取るような手法。おそらくスコアは使わずに、曲毎に作曲者のアイデアをもとに各者の役割を決め、半ば即興的に録音したものと見られます。粗織りの布地に印字された「passivo em madefacção(湿される)」、CDのラベル面の「demorar a voz de muito perto, bafo sobre vidro da boémia(ボヘミアンガラスのそばに、いつまでも息が残る)」は、この作品の鍵となる「ガラス/息」「水煙管/水音」に関係した弟アンドレによる詩句。簡素枯淡の佇まいとラディカルな空白感は、ボヘミアの音楽家夫妻Irena & Vojtěch Havelに近い志向を感じさせます。

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