2026年9月25日金曜日

Diskette Romances - Diskette Romances


Label: Sunup Recordings
Catalog#: SR067
Format: Digital, Album
Country: US
Released: 2012

1 Eden 0:31
2 Fentanyl Flowers 1:48
3 Fortune Gardens 1:08
4 Midnight Ferry 1:09
5 Haneda 0:49
6 Miro's Dream 1:35
7 Gin & Tonic 1:29
8 Candlelight Email 0:58

「New Dreams Ltd.」をきっかけに、ニューエイジとヒップホップとローファイがごちゃごちゃになったような謎のムーブメントが起きていることに静かな興奮を覚え、bandcampやmediafireから音源を拾い集めては聴いていた2012年春頃。Laserdisc Visions、Internet Club、骨架的、Midnight Television、18 Carat Affair、bitterTV───。当時、そうした動きを面白がって反応していたのが、自分よりも一回り若い20代の人たちで、ネットカルチャーへの理解が柔軟な世代に気後れしつつも情報を追っていたところ、イギリスの音楽評論家Adam Harperが寄稿したDummy Magazineの記事と、同氏が手がけたミックス「Welcome to the Virtual Plaza Mix」により、ようやくそれが「vaporwave」と呼ばれるものなのだと把握するに至りました。
半分冗談で、残りの半分も空虚のような、曖昧模糊とした初期vaporwave。その中でもとりわけ惹かれたのが、ニューヨークの匿名作家=骨架的。骨架的のスタイルは、悪ノリ・破壊・嘲笑といった類はおおよそ控えめで、自身が敬愛するR&Bやブラコンといったスムースな80年代サウンドから最も好きな瞬間だけを切り取り、アンビエントのサンプルカタログを量産していくような、宅録プロデューサー的な作家性が強く感じられました。同年9月に「Reflections」(透明なクリスタル製表彰トロフィーのアートワーク▲)、10月に「Lost Memories」「Liquid Fantasy」「Illegal Antenna」を3日連続でリリースしたあたりが、個人的なvaporwave体験のハイライトだったと思います。
骨架的と同じくらいよく聴いていたのが、このDiskette Romancesによる最初のカセット作品。リリース元は初期vaporwaveの重要な発信地のひとつだったDIYレーベルSunup Recordings。内容はわずか10分に満たないオフィスジャム。しかし何度再生したか分からないほどリピートしていました。通常のカセット仕様はA/B両面に同じ内容が録音されていたようですが、Lasership Stereo「On Board」と一緒に注文した私のもとに届いたのは、A面にDiskette Romances、B面にLasership Stereoが抱き合わせでコピーされた風変わりな仕様でした。
昨年、WhoSampledを眺めていて、本作のサンプリングソースとして登録されていた五十嵐浩晃「ふたりのSONG BOOK」「風のデュエット」を発見。実際に聴いてみると、もはや80年代なのか2012年なのか、どこへ帰着するのかも分からない懐かしさの感覚は何なのだろうと。元ネタの回収を経て、vaporwave体験(子供がまだ幼かった頃の記憶)のエコーがひとつ完結するのだなという、なんとも不思議な感慨を得た気がします。

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