2015年10月31日土曜日

[008] Terre Thaemlitz - Tranquilizer


Label: Instinct Records
Catalog#: EX-283-2
Format: CD, Album
Country: US
Released: 1994
DISCOGS

1 040468 8:18

2 Fat Chair 5:48
3 Raw Through A Straw 11:05
4 Meditation Of The Mountain Oyster 9:14
5 A City On Springs 10:57
6 Hovering Glows 9:11
7 2am On A Silo 8:41
8 Fina · Departure 4:57

Terre Thaemlitz(テーリ・テムリッツ)=DJ Sprinklesの活動は、ミネソタ時代から集め続けたレコード・コレクションに対してルームメイトやパートナーから「捨てるか何かして!」と言われたことがきっかけだったという。エイズやフェミニズムのアクティビスト・グループの寄付のために、ディープハウスのDJとしてデビューしたのが80年代末。ゲイバーやトランスセクシュアル売春婦クラブなどマイノリティが集うパーティで、頑なにメジャー・ヴォーカルものを拒否したプレイにこだわり、人気があったにもかかわらずレジデントを解雇されることに。自分のレコードを作りはじめたのは、その状況に疲れたからだと語っています。自身のレーベルComatonseから12"「Raw Through A Straw/Tranquilizer」をリリース後、94年にInstinctからリリースされた最初のフルアルバムが本作「トランキライザー=精神安定剤」。安眠のための音楽、というより、衛生管理された潔白な空間での施術、麻痺〜昏睡〜仮死冷凍まで及ぶプロセスをイメージさせる鎮静的なアンビエント・サウンドは、眠らない街(NY)のカオスに向けたテムリッツ流のクリティシズムであったと見て取れます。1曲目の「040468」は人種差別撤廃を訴えたキング牧師が暗殺された日。枕をモチーフとしたグラフィックはInstinct専属のTaylor DeupreeではなくThaemlitz自身によるもの。


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2015年10月26日月曜日

[007] Pacific 231 - Tropical Songs Gold


Label: Transonic Records
Catalog#: TRS-25017
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 1997

1 Traveling 231 5:52
2 Jewels Of The Ocean 7:22
3 Special Guide Book 9:38
4 Café Équatorien (Original Mix)
5 Have A Nice Trip! 5:51
6 Adventures In A Tropical Temple 12:05
7 The Best Of Mineral Springs 9:02
8 Jewels Of The Ocean (Bon Voyage Mix) 7:25

96年に刊行された「モンド・ミュージック2」を手にして、当時モンドという現象はスペースエイジやストレンジ・サウンドを再評価し、数年前までタダ同然だったレコードの値を跳ね上がらせたマーケット面の一方で、フィールドレコーディングされた民族音楽も、最先端の録音技術が注がれたリッチな娯楽音楽も、どこかでひそりと録音された出来損ないのレコードも全て、地球人の遺産、地球音楽として肯定するメンタリティであったように感じました。David Toopが「Ocean Of Sound」をリリースし、アンビエントが地球全体とその音楽史を俯瞰する聴き方として提示されたのも同じく96年。リスニングに新たな好奇心をもたらすきっかけになっていたのだろうと思います。
95年刊行の前号「モンド・ミュージック」の選者別カタログページで、ラヴェルやミヨーのストレンジな試みを紹介していたのが、山口優率いる職業作曲家集団の一人であった蓮実重臣。本作は蓮実重臣が、Organization(w/永田一直)で活動していた三宅剛正と組んだアド(広告)ベンチャー・ユニットPacific 231のファーストアルバムで、南洋航海というテーマに、転がったり揺らいだり心地よいエレクトロニクスと、様々なヴィンテージ・レコードからのサンプリングを使い、50年代エキゾチカのフェイク感と、何とも暢気な秘境感を演出した架空のサントラ的作品。両氏とも近代音楽や軽音楽などの多彩な素養を身につけていたと見られ、音楽史の断片の間を浮遊しているような感覚も。暑い日に涼聴、寒い日に温聴できるラウンジ・ミュージックの秀作。

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2015年10月20日火曜日

[006] Morgan Fisher / John White - Play Loud / Play Quiet


Label: ZG Music

Catalog#: 3
Format: Cassette, Album
Country: UK
Released: 1983
DISCOGS

side A: Morgan Fisher - Play Loud

A1 We Three Kings 3:27
A2 Coventry Backtrack 4:50
A3 Emergency 2:07
A4 D'Ya Think I'm Sexy 1:50
A5 MacArthur Park 2:39
side B: John White - Play Quiet
B1 Play Quiet 14:48

80年代のイギリスで現代美術や音楽を紹介したZGマガジン。その3号のために、インタビューと音源提供の依頼を受けたMorgan Fisher(モーガン・フィッシャー)が、既作のマテリアルやパフォーマンス音源を再利用して制作したカセット作品。A面はCherry Red傘下のPipeからリリースされた82年のフェイク・オムニバス作「Hybrid Kids」のデモやアウトテイクで、すべてFisherの自作自演によるもの。大きな音で聞くニューウェイヴのA面に対して、小さな音で聞くB面は、サキソフォニストLol Coxhillとの80年共作「Slow Music」のリミックス素材と、The Nordic Reverie Trio(北欧幻想三重奏の意)の演奏のテープ・コラージュ。三重奏のメンバーは、作曲者のJohn Whiteがハーモニウム、Gavin Bryarsがコントラバス、Dave Smithがグロッケンシュピールと打楽器という編成で、Fisher編集による小品集「Miniatures」の発表記念パーティで演じられた、どこかトボケた味わいの簡素な室内楽曲と、静かに浮かんでは消えるアンビエンスが奇妙なコントラストをなしています。


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[related]

Morgan Fisher's Miniatures Blog
M1-34 John White
M1-42 Gavin Bryars

2015年10月18日日曜日

[005] va A Storm Of Drones: The Sombient Trilogy


Label: Asphodel
Catalog#: ASP 0966
Format: CD, Compilation
Country: US
Released: 1995
DISCOGS

1-01 Robert Normandeau - Tangram 13:36

1-02 Denis Smalley - Valley Flow 7:07
1-03 Francis Dhomont - Marine 2:03
1-04 Patrick Ascione - Lune Noire 4:44
1-05 Annette Vande Gorne - Terre 6:36
1-06 Francis Dhomont - Il Ritorno (Section 1) 2:27
1-07 Stéphane Roy - Crystal Music 12:19
1-08 Gilles Gobeil - La Où Vont Les Nuages… 7:44
1-09 Mario Rodrigue - Cristaux Liquides 3:36
1-10 Jonty Harrison - Hot Air 3:57
1-11 Paul Dolden - Veils 9:25
2-01 Michael Stearns - Reky Into Dark Territory 6:49
2-02 Steve Roach - Merciful Eyes 5:04
2-03 Alan Lamb - Primal Image 4:43
2-04 Darren Copeland - Maritime Vision 5:39
2-05 Stuart Dempster - Morning Light 9:40
2-06 Fred Szymanski - It Is Hard To Know 4:10
2-07 Ellen Fullman - Change Of Direction 4:18
2-08 Darren Copeland - Reaching For Tomorrow 3:05
2-09 Maggi Payne - Moiré 13:04
2-10 Aloof Proof - The Last Leaf 8:31
2-11 DJ Spooky - In The Valley Of Shadows… (DJ Spooky Takes A Walk Through New York City) 2:23
2-12 Naut Humon - Twinge Of Lunge 6:08
3-01 Maryanne Amacher - KARYON Sound Character 15:31
3-02 David Kwan - +/­-1V 5:37
3-03 Elliott Sharp - Klystron 4:46
3-04 Iso Ambient Orchestra - Idle Sunder 5:36
3-05 Antimatter - Flyback Transformer 5:16
3-06 Greg Lenczycki - Temporal Filter Coefficient 5:35
3-07 Mortal Engines - Passage IV 3:04
3-08 Robert Rich - Ephemera 3:11
3-09 Jeff Greinke - Out From Under 4:04
3-10 Voice of Eye - Sirens At Propolis 6:34
3-11 Vidna Obmana & Asmus Tietchens - VOT 3/2 (A Remix) 8:16
3-12 Maryanne Amacher - PLAYTHING Sound Character 6:22

サンフランシスコのターンテーブリズム/イルビエント・レーベルAsphodelのSombientから95年にリリースされた「Drones」シリーズの第3弾。「ソムビエント3部作」と題され、「Audio」「Environmental」「Immersion」とサブタイトルが付けられた3枚のディスクによる構成で、様々な具体音を変調/加工したエレクトロアコースティックやドローン、アンビエンス主体の器楽曲まで、それぞれ特性を持つ35の楽曲を無記名的なノイズ・マテリアルとしてシームレスにミックス。音の放射性降下物、情報の雨が降り注ぐ現代社会の脈動、そこに伏在する文明崩壊の姿をシュルレアリスティックな手法で提示する「オンランド」の終末論。


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va The Throne Of Drones (1995)

va Swarm Of Drones (1995)

2015年10月12日月曜日

[004] Michael Klausman - Gown Control IV (Piano)


2011年からドローン/アンビエント作品をリリースし、知られざるニューエイジ/フォークのビンテージ・カセット作品を発掘/紹介しているシカゴ拠点のレーベルLove All Day。オフィシャルブログより、NYのレコード店Other MusicのスタッフMichael Klausman(マイケル・クラウスマン)のMixシリーズ「Gown Control」の4番。ピアノ曲に焦点をあてたニューエイジ/クラシカルのセレクション。

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[related]

Love All Day: Gown Control  I / II / III

2015年10月11日日曜日

[003.1] Femke Strijbol


hand printed poster by Femke Strijbol
for tape label dauwBelgium


2015年10月7日水曜日

[003] Go Hirano - Reflection of Dreams


Label: P.S.F. Records
Catalog#: PSF-71
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Japan
Released: 1995
DISCOGS

A1 Pearl 0:37

A2 Windpapers 2:03
A3 緑の流れ(風に) 3:21
A4 Dream 2:52
A5 春草の流れ 5:45
A6 輝きの国 3:47
A7 Iceberg (夢の氷山) 1:03
B1 Old Melodies 3:51
B2 廃墟の風 3:07
B3 漂い 4:07
B4 幻燈(夢の残骸) 1:12
B5 Night Vision 2:49
B6 Reflection Of Dreams 1:16
B7 Faith 4:44

風や光に捧げられた、孤のフォークロア・スケッチ。橋本一子に師事し、90年よりカナダを中心に活動を始めたという鎌倉市在住のピアニスト平野剛が、P.S.F. Recordsからリリースした2作目。ピアノ、ピアニカ、ウィンドチャイム、グロッケンシュピール、打楽器、時に口笛やハミングも交わる。楽器の中に眠る音のエッセンスを静かに揺り起こす14篇の即興演奏は、古くは91年から録音されたもの。触ろうとすると指の間から溢れてしまい、近くに寄ると消えてしまう。幼い頃に目にした不思議な出来事のように信じ難い、しかし確かに存在する永遠のイノセンスを秘めた作品。


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