2026年4月17日金曜日

PJ Moore & Co - When A Good Day Comes


Label: Mozie Records
Catalog#: MOZIE080CD
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 2022

1 Need To Believe 3:56
2 Good Until It's Gone 5:10
3 Halfway Crazy 5:42
4 Pale Moonlight 3:52
5 All That You Wanted 4:33
6 Next Time It Rains 3:26
7 When A Good Day Comes 4:34
8 Windows For Submarines 4:32

近年、アンビエント・ポップの一つの指標として語られるスコットランドの至宝The Blue Nile。フロントマンであるポール・ブキャナンの切なる歌声。その溢れ出るような感情が安直なバラードに流れてしまわないよう、ストイックなまでに音を制御し、膨大な時間を費やしながら音響設計を追求し続けたのが、バンドのもう一人の核であるポール・ジョゼフ・ムーアの存在でした。都市の孤独と温もりが同居する、あのエレクトロニックな質感は、サウンドデザイナーたるムーアの職人的気質と、静かな執念の積み重ねから生まれていたのだと思います。またその反面、執拗なこだわりゆえに寡作なバンドでもありました。
2004年に発表された4thアルバム「High」を最後に、バンドは活動を休止。他のメンバーがそれぞれの道を歩む中、ムーアは表舞台から完全に姿を消します。息子が大学を卒業するまで見守り、一人の生活者として平穏に暮らす日々。それでも自宅のスタジオでは、誰に聴かせるためでもない音源が少しずつ録り溜められていきました。その断片的な音源を世に出すべきだと背中を押したのが、クラシック作曲家である旧友マルコム・リンゼイ。パンデミックという困難な時期を経て、およそ18年ぶりに届けられたアルバムがこの「When A Good Day Comes」。ムーア自身は歌わず、若きシンガーのマイク・マッケンジーを起用。独りでは成し遂げられなかったという証として、名義は「PJ Moore & Co(共同体)」とされています。
いまだ重苦しい現実の中にいることをどこかで受け入れながら、それでもいつか訪れるかもしれない「良い日」に向けて静かに息を整える。かすかな希望のような音楽。The Blue Nileの「その後の物語」を編み直すように、一人の男の半生が刻まれた、実直で普遍的なポップネス。マッケンジーの歌声が実に素晴らしいです。すべての曲に魅力があり、若さをとうに通り過ぎた者として深く心に染み入るものがあります。

...