2026年1月3日土曜日

Morgan Fisher - Water Music


Label: Cherry Red
Catalog#: CDMRED178
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 2000

1 Water In The City 6:34
2 Ice Melting 7:41
3 The Great Lakes 11:41
4 After The Rain 6:26
5 We Are All Water 13:24
6 Breathing Rain 5:56
7 On The Brink 8:22
8 We Are All Water (Oceanic Remix) 9:12

元ロックグループのメンバーという出自を持ちながら、早い時期から「アンビエント/環境」をめぐる多様な文脈に深く関わってきたイギリス出身の鍵盤奏者/プロデューサーMorgan Fisher(モーガン・フィッシャー)。環境音楽の黎明期にLol Coxhillと共同制作した「Slow Music」をはじめ、サティ作品を独自に解釈した「Inside Satie」、英国実験音楽家による1分間の小品を集成したコンセプトアルバム「Miniatures」、さらには環境ビデオや鈴木大拙記録映画の音楽、自然療法書籍の付属CDに至るまで、その活動は多岐にわたっています。
本作は、1980年代半ばに日本に移住したFisherが、自身のハンドメイド・スタジオで録音し、Veetdharm名義で発表したオリジナルアルバム「Water Music」収録の4曲に、ボーナストラックやリミックスを加えてアートワークを新装した拡張再発盤。テープ・ディレイを駆使して幾重にも重ねられたシンセサイザーのレイヤーと、リリカルなピアノの即興演奏。春の雪解け、鏡のように静まり返った湖面、都市に降る雨。小さなしずくの滴りから果てしない海原まで、移ろいゆく水のさまざまな表情を、潤いに満ちたサウンドで描き出した「水アンビエント」の名作です。
電子楽器の蒐集家としても知られるFisherは、2004年以降、長年にわたり「モーガンのオルガン」と題した月例ソロ演奏会を開催。希少なヴィンテージ・キーボードを多数用いた独自の演奏活動を、現在も続けています。

...

※旧ログ整理のため一部リライトして再投稿しました

2026年1月2日金曜日

Winter Hours - Wait Till The Morning


Label: Link
Catalog#: LINK CD022
Format: CD, Album
Country: US
Released: 1989

1 Hyacinth Girl 4:36
2 Wait Till The Morning 2:42
3 Simple John 3:44
4 Island Of Jewels 5:10
5 Incendiary 2:47
6 Churches 2:57
7 Walk Away 4:17
8 At A Turtles Pace 4:11
9 I Want 2:35
10 All Along The Watch Tower 4:03

アメリカ・ニュージャージー出身の5人組ロックバンドWinter Hours(ウィンター・アワーズ)の初期インディー時代をまとめたコンピレーションCD。1986年にリリースされた「Wait Till the Morning」に、1985年のデビュー作「Churches」を追加収録した内容で、同名EPの拡張版と言える構成となっています。
Winter Hoursは、Joseph Marques(ボーカル/リリック)、Michael Carlucci(リードギター)が中心となり、前身バンドWard 8から発展する形で1983年に結成。1991年の解散まで精力的にライヴツアーを行い、東海岸のアンダーグラウンド・シーンやカレッジ・ラジオを中心に熱心なリスナーからカルト的な支持を集めました。彼らのサウンドの特徴は、The Byrdsを彷彿とさせる12弦ギターの繊細なアルペジオとジャングリーなトーン。当時この界隈を象徴する存在であったR.E.M.からの影響は明らかですが、単なるフォロワーにとどまらず、個々のプレイには確かな個性があり、とりわけフロントマンJoseph Marquesの内省的で深みのある歌声とインディヒーロー然とした佇まいは、Michael Stipeとは毛色の異なるカリスマ性を放っています。
1980年代半ば、R.E.M.の成功の陰で、同様の感性を共有しながらも商業的評価に恵まれなかったバンドが数多く存在したアメリカの地下オルタナティブ・シーン。近年では、アメリカ版C86とも言えるジャングル・ポップの発掘プロジェクト「Strum & Thrum: The American Jangle Underground 1983-1987」などの動きがあり、こうした埋もれたバンド群が少しずつ再評価され始めているのかもしれません。

...

2026年1月1日木曜日

DSK - Thinking About Freedom


Label: Crue-L Records
Catalog#: KYTHMAK086D
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2004

1 Empty Box 3:05
2 Song For Snow 3:12
3 Still Reminds Me 5:08
4 Take Me To The Countryside 3:39
5 Gentle Slope 5:16
6 Guitarring Blue 4:43
7 Visionareality 5:03
8 Catch A Clear Sky 6:38

Port of NotesやAurora Acousticでの活動で知られる小島大介が、DSK名義で発表したソロ2作目となるフルレングスアルバム。歌声を交えた前作「Man and Guitar」から趣を少し変え、本作は全編インストゥルメンタルで統一されています。
エレクトリックギターによるメロウなフレージングと淡い旋律。そしてプログラミングと最小限の鍵盤を添えたシンプルな編成で奏でられるメランコリックなサウンド。フュージョン/クロスオーバーと呼ぶには風景的で、イージーリスニングと呼ぶには深い青さを感じさせる。チルアウトや癒やしといった言葉もおおらかに受け入れる。そんな既存のジャンルの境界に浮かぶような、タイムレスなギターアルバム。CDショップの試聴機でDISC番号ボタンを押し間違えたことをきっかけに知り、今も変わらず愛聴している思い入れ深い1枚です。ヨーウィーかイェティのような空想のモンスターが描かれたジャケットデザインはYosuke Kojima氏によるもの。

...

2025年12月31日水曜日

Estratos - Estratos


Label: La Reserve Records
Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: US
Released: 2025

1 Incantation 1:29
2 Puzzle 3:23
3 Gameover 3:17
4 Vesper (ft. Michael Mayo) 2:35
5 Paddy's Interlude 1:18
6 Battlecry 2:32
7 Donal's Sequence 3:03
8 Crush (ft. Julia Easterlin) 3:23

父はグアテマラ人、母はヤキ族のネイティブ・アメリカン。幼少期からアメリカ西部、アムステルダム、アイルランドを旅しながら多様な音楽に触れてきたという多文化的なバックグラウンドを持つドラマー/作曲家Diego Joaquin Ramirez(ディエゴ・ホアキン・ラミレス)によるソロプロジェクトEstratos(エストラトス)のデビュー作。浮遊感に満ちたギターのフレーズループから、緻密なリズムワークに鍵盤やサックスが折り重なるレフトフィールドなジャズ/クロスオーバー、Michael MayoやJulia Easterlinをフィーチャーしたアトモスフェリックなボーカル曲、短いインタールード的なミニマル小品まで。Ramirez自身の旅の記憶や心象描写が投影されたノスタルジックなサウンドスケープが静かに広がっていきます。全21分というコンパクトな構成ながら、緩急自在なトラックの満ち引きが心地よく、一年通して移動中や仕事中に何度も繰り返し聴いた一作です。

Diego Joaquin Ramirez AKA Estratos is an Irish-born drummer and composer based in NY. Known for his vibrant sound, versatility and effortless groove, he has worked with a wide range of world-class artists, including Marc Cary, Carrtoons, Melanie Charles, Kiefer, Jeremy Pelt, and Wayne Tucker. He has performed on world-renown stages such as NPR Tiny Desk, The Blue Note, and The Kennedy Center.

...

2025年12月30日火曜日

Azure Lounge featuring Little Big Bee


Label: Imperial Records
Catalog#: TECI-1006
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2000

1 Still Dreaming 6:26
2 Fingers 6:59
3 This Wave 6:35
4 Emerald Mountain 5:34
5 Frigid (I Used To Be) 5:54
6 Fancy Woman 7:16
7 Reminiscence 5:37
8 Urban Young Deers 6:28
9 Against Opprssion 7:03
10 Finder 7:20

テイチク傘下のImperial Recordsが展開した「カラー・ラウンジ・シリーズ」。ホワイト、アジュール、イエロー、ミント、バイオレットの5色をテーマにそれぞれ異なるアーティストをフィーチャーした本シリーズの中で、このアジュール(青)編は、90年代中頃から国内クラブシーンで活動してきたプロデューサーチームLittle Big Beeが楽曲監修を務めています。
レコーディングには、Flower Records主宰の高宮永徹(プログラミング)を中心に、神宮寺謙次(ベース)、PLAZA藤崎(ピアノ/キーボード)に加え、奥山みなこ(ボーカル)をはじめとするReggae Disco Rockersのメンバーが参加。穏やかな波のように揺れるビート、鍵盤の優しいメロディ、ギターやエレクトロニクスに、St.GIGAの自然音素材が織り交ぜられ、ほどよい温度感と余白を残しながら、ゆったりとした午後や夜のクールダウンに寄り添う心地よいチルアウト/ラウンジ・ミュージックを演出しています。
アートワークを含め、シリーズ全体のコンセプトが強く打ち出されているため、オリジナルアルバムとしての記名性は控えめに感じられますが、「Still Dreaming」から「Fingers」へと続く冒頭の流れは、名曲「Scuba」に並ぶクラシックだと思います。

...

2025年12月28日日曜日

Heights Of Abraham - Electric Hush


Label: ZTT
Catalog#: ZTT99CD
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 1998 (1995)

1 The Cleric 6:43
2 Boogie Heights 6:44
3 High Time 10:31
4 Dolphins 3:51
5 What's The Number 6:50
6 Olive Branching 9:32
7 E.V.A. 10:30
8 700 Channels 7:07
9 Sunyatta 6:51
10 Make Love 8:39

シェフィールドのポストパンク/インダストリアル・アクトChakkの元メンバー、Sim Lister(サックス/プログラミング)とJake Harries(ボーカル/リリック)。そしてFila Brazilliaで知られるSteve Cobby(ギター/プログラミング)の3人によるプロジェクトHeights Of Abraham(ハイツ・オブ・エイブラハム)。Chakkの熱心なリスナーだったというCobbyが80年代半ばに地元シェフィールドで二人と出会い、彼らが運営するFon Studiosでの交流を経て90年代初頭に始動。本作はCobbyが共同主宰するレーベルPork Recordingsから1995年に発表された2ndアルバム。
The Blue Nileを彷彿とさせるアーバンソウル路線だった前作から、本作ではヴォーカルを抑え、陽性のダンスグルーヴとディープなアンビエントの中庸をゆくレイドバックしたダウンテンポへと移行。穏やかに浮遊する電子音に、Chakk組の甘美でシルキーなヴォイスとサックス、ジャズやダブの感触が溶け合う、踊らせず眠らせもしない低軌道のリスニング・サウンドが展開されます。当時のコンピレーションに繰り返し収録されたクラシック「E.V.A.」をはじめ、静と動のコントラストを配したアルバム全体の流れも心地よく、UKチルアウトの文脈においては過小評価されがちながらも、隠れた名作として挙げられる一枚です。初版のPork盤ではデザイナーズ・リパブリックによる抽象的なグラフィックが採用されていましたが、このZTT盤では海をモチーフとしたビジュアルへと刷新。本作に漂う深海のようなエーテル的質感を、より直感的に伝えるものとなっています。

...

2025年12月27日土曜日

George Bishop - Mountain Path


St.GIGAアーカイヴ「Easy wind B」より。フィラデルフィア出身のサックス/マルチ奏者George Bishop(ジョージ・ビショップ)が1992年に発表した初のリーダーアルバム「Like A Butterfly」の収録曲。リリース元はドイツの名門Innovative Communication。プロデュースは同レーベルの看板アクトDancing Fantasyのメンバー2人が担当しています。スムースジャズ的なクールで都会的なタッチでまとめられたアルバムの中、この「Mountain Path」では風の音のSEが添えられ、ひときわ牧歌的で穏やかなサウンドスケープを感じさせます。

Smooth all the way, love-jazz vocals of the finest sort, great tunes, warm and soft as silk with a laid- back touch of cool. This thing simply grooves along while you slide through the night, a breeze of music gently ruffling the air-waves. One of New York's finest sax players merges his distinct sound and talents with the DANCING FANTASY producer team of Chris W. Williams & Curtis McLaw and the fine voice of singer Romy Camerun. ▲

2025年12月25日木曜日

Howard J. Davidson - Discoveries Underwater


Label: BBC Records
Catalog#: REB 677
Format: Vinyl, LP, Album
Country: UK
Released: 1988

A1 B'breath (Theme From Discoveries Underwater) 8:58
A2 Panarea 8:03
A3 (As A Mark Of Respect) No One Shall Enter The Ship 6:41
B1 Aqua Sub Aqua 6:18
B2 Isle Royal 5:56
B3 Atocha 2:59
B4 Truk Lagoon 5:32

イギリスの公共放送局BBCで1988年に放送されたドキュメンタリーシリーズ「Discoveries Underwater」のサウンドトラック盤。海を舞台とするドキュメンタリーというと、シャチやイルカなどの海洋生物を扱ったネイチャー番組を連想しますが、このシリーズは海底に眠る歴史的遺物の発掘とリサーチに焦点を当て、それまで一般にあまり知られていなかった「水中考古学」という分野を、歴史的なロマンと科学的検証の両面から探究するというもの。取り上げられているトピックは、先史時代の遺跡、古代の港町、大航海時代の財宝船、第二次大戦時の軍艦など。サウンドトラックの作者は、同国出身の作曲家/マルチ奏者Howard J. Davidson(ハワード・J・デイヴィッドソン)。ダイバーの水中呼吸音と環境音から始まり、アトモスフェリックなシンセのレイヤーとフレーズ反復、アコースティック楽器によるモチーフがバランスよく配置された、Vangelis KatsoulisやMark Ishamを彷彿とさせるミニマル/コンテンポラリー楽曲。未知なる海底世界に潜入してゆく高揚感と、暗闇に包まれたような孤立感。その動と静の対比を鮮やかに描き出すアルバムとしての演出構成も素晴らしいです。

...

2025年12月23日火曜日

Apricot 15: Tomoyuki Fujii


オーストラリアの港町ホバートを拠点とするミックスシリーズ「Under The Apricot Tree」のために作った1時間のセレクション。最近のものではなく、ブログ休止中の2021年5月に公開されたものです。シリーズのキュレーターはNathaniel Rose。2020年の立ち上げから現在まで、彼のローカルな友人たちを中心に国内外のDJによるミックスを紹介されています。Nathanielさん、あらためてありがとうございました。

Tracklist:
Hiroshi Fujiwara - Universal Dub
Leo Takami - Children On Their Birthdays
Kettel - Sorry, But We Don't Hear You
Albrecht La'Brooy - Mailing Road
James Maloney - Full Colour
Andrew Wasylyk - Through The Field Beyond The Trees Lies The Ocean
Karel Arbus & Eiji Takamatsu - Tracer
Another Fine Day - Child's Play
Robert Haigh & Silent Storm - Air Caprice
Gigi Masin - Silver Wheel
Tomoyuki Hayashi - Misty Rain
Gene Bowen - Amethyst
? - Moon Garden
Takao - Bird Ensemble
Henning Schmiedt - 110g Butter
Everything is - Walk Away
Kyo Ichinose - Nagori
Shabason, Krgovich & Harris - The Flowers In My Parent's Yard

Under The Apricot Tree 
a mix series based in nipaluna/Hobart, Australia

2025年12月22日月曜日

Kamal - Quiet Earth


Label: New Earth Record
Catalog#: NE 2802
Format: CD, Album
Country: Germany
Released: 2008 (1993)
DISCOGS

1 Dreamscapes 11:06
2 The Quiet Earth 11:50
3 The Tides Of Time 10:54
4 Healing 9:39
5 Meeresleuchten 14:10

「一日、一ヶ月、一年。それは自然のサイクルであり、人間の肉体、精神、感情に響き渡ります。良い時もあれば悪い時もあります。人生のサイクルが、私たちを永遠に同じ状況に留めておくことは決してないと知ることは、どれほど素晴らしいことでしょう。」▲

ドイツ人シンセシストMartin Oberschelp(マルティン・オーバーシェルプ)によるソロプロジェクトKamal(カマル)が93年に発表した、7作目となるフルレングスアルバム。初版は4曲構成でしたが、このリエディションでは「Healing」が追加され、アートワークも刷新されています。Kamalとは「蓮」を意味するヒンディー語。その名の通り、ドイツにおけるオリエンタリズム(瞑想・霊気)に傾倒したヒーリング音楽の草分け的存在。初期作品はメロディやリズムの輪郭が幾分はっきりとした作風でしたが、Brian Eno、Steve Roach、Morgan Fisherといった古典作家にインスパイアされたと自身が語る本作では、果てしない海原をテーマに、夕方から夜に連なるゆったりとした時間の移ろいと、その時間を超越した長大なサイクルを、よりミニマルなアンビエントサウンドで描いています。St.GIGAで幾度となく選曲された「Meeresleuchten」(海の燐光)は、水中の微細な海洋生物によって海面に幻想的な青い光の帯が現れる現象のこと。本作のハイライトとして挙げたい、静謐で美しい1曲です。

【ブログ投稿の再開について】
6年間ご無沙汰しておりました。ふと思うことがあり投稿を再開することにいたしました。大きな理由は、過去に残しておいた投稿が後々自分のためになっていたという気づきがあったこと。もう一つはここ数年でyoutubeで公開されているSt.GIGA音源に触れ、たいへん深い感慨を得たことです。ブログのタイトルも心機一転変更いたしました。青さを感じる音楽。青をテーマにした音楽。青いカバーアートの作品。その括りに縛られない作品についても、気ままに投稿できたらと思います。I'm here. I'm glad you're there.

...